分子栄養学で考える鉄分の本当の役割~貧血・疲れ・若さを左右するエネルギーの起点とは

お役立ち情報

「以前より疲れやすく、寝ても回復した感じがしない」
「なんとなく調子が上がらず、頭もぼんやりする」

こうした感覚に、心当たりはありませんか。

多くの方は、「年齢のせいかな」「忙しい時期だから仕方ない」「気持ちの問題かもしれない」と、自分の中で納得させてしまいがちです。しかし分子栄養学の視点で体を見ていくと、こうした状態はやる気や根性の問題ではなく、体の中でエネルギーが十分に作れていない・使えていないだけというケースが非常に多く見られます。

体は、エネルギーが安定して供給されていれば、疲れにくく、思考も自然に回り、回復もスムーズです。逆に、その流れが滞ると、はっきりした不調ではないのに、「なんとなく重い」「キレが出ない」そんな状態が続くようになります。

そのエネルギーの流れを支える起点として、最初に見直したい栄養素。それが鉄分です。その不調、「年齢」や「気合」の問題ではないかもしれません。

まずは、漫画でざっくり鉄分を解説!

なぜ鉄分は「貧血の栄養」で止まってしまうのか

鉄分というと、「貧血の人が飲むもの」「女性に必要な栄養」というイメージが強いかもしれません。もちろん、それは間違いではありません。鉄は血液をつくるために欠かせない栄養素だからです。

ではなぜ、世間一般での鉄の話はいつも「貧血」だけで止まってしまうのでしょうか。
その理由はとてもシンプルです。一般的な医療や健康情報の多くが、鉄を 血液の数値”という側面でしか評価してこなかったからです。

血液検査の数値だけでは見えない「隠れ鉄不足」

一般的な血液検査では、以下の数値が基準値に入っていれば「鉄は足りている(異常なし)」と判断されます。

  • ヘモグロビン
  • 赤血球数

しかし、分子栄養学では鉄をもっと広い視点で捉えます。これらが基準値内であっても、体の中では「エネルギーを回すための鉄」が不足しているという状態は、決して珍しくないのです。
「検査では異常がないのに、なぜか不調が続く」という現象の多くは、この評価基準のギャップに原因があります。

「動く・治す・若さを保つ」エネルギーの源としての鉄

分子栄養学において、鉄は単なる血液の材料ではありません。生命活動のエネルギー代謝において、以下のような中枢的な役割を担っています。

  • 血液中で酸素を全身に運ぶ
  • 細胞内のミトコンドリアを動かす
  • 活動エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を作る

つまり、鉄不足はそのまま「エネルギー不足」に直結します。その結果として、はっきりした病気ではないものの、日常の違和感として次のような症状が現れます。

  • 疲れやすい、寝ても疲れが取れない
  • 思考が鈍く感じる
  • 傷や疲労の回復が遅い
  • 年齢以上の老け感を覚える

分子栄養学が鉄をこれほど重視するのは、単に貧血を治すためだけではありません。
鉄を、体を元気に動かし、ダメージを回復させ、若さを保つための「エネルギーの起点」として捉えているからなのです。

鉄で動き出す分子栄養学が考えるエネルギーの起点

分子栄養学では、健康を単に「何をどれだけ摂ったか」ではなく、体の中で「エネルギーがどう作られ、どう使われているか」という視点で捉えます。その役割を整理すると、以下のようになります。

  • タンパク質 = 体を構成する「材料」
  • ビタミン・ミネラル = 代謝を「働かせる役」
  • ATP = 実際に使われる「エネルギー」

まず大前提として、タンパク質が満たされていなければ、どの栄養素も本来の力を発揮できません。 体を構成する材料が不足した状態では、いくらビタミンやミネラルを補っても、エネルギーは安定して回らないからです。

この「土台」が整ったうえで、エネルギー回路を回し始めるために不可欠なのが「鉄」なのです。

エネルギーのスイッチを入れる「鉄」とミトコンドリア

タンパク質という土台の上で、エネルギーを作る一連の流れの「最初のスイッチ」を入れる役割を担うのが鉄です。特に重要なのが、細胞内のエネルギー工場である「ミトコンドリア」の働きです。

ミトコンドリアが安定して機能し、エネルギー(ATP)を生み出すためには、以下の栄養素がチームとして揃っている必要があります。

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • その他のビタミン・ミネラル

しかし、ここで鉄が不足していると、材料(タンパク質)や潤滑油(ビタミン)が揃っていても、ATPはうまく作られず、エネルギーとして安定供給されません。
そのため分子栄養学では、タンパク質を前提としたうえで、鉄を「エネルギー代謝の最重要ミネラル」として位置づけています。

「一番えらい」のではなく「順番がある」

ここで誤解してはいけないのは、鉄が最重要だからといって「他の栄養素をおろそかにしてよい」という意味ではない、という点です。体はあくまでチームで働くものです。

  • タンパク質という「材料」がある
  • 鉄が「スイッチ」を入れる
  • ビタミンや他ミネラルが「働き」を支える

これらが揃ってはじめて、ATPというエネルギーが安定して使える状態になります。
その中で鉄は、「一番えらい存在」なのではなく、「最初に整えておかないと、他がどれだけ揃っていても回り始めないボトルネック」という位置づけです。

だからこそ分子栄養学や藤川理論では、「すべてが大切。ただし、順番がある」と考えます。
まずはタンパク質。その前提の上で、まずは鉄。そこから、ビタミンや他のミネラルがはじめて本来の力を発揮し始めます。この「順番」という視点こそが、分子栄養学における「鉄=エネルギーの起点」という考え方の本質なのです。

【実践】鉄分を働かせるための基本

分子栄養学において、鉄分補給は単にサプリを飲むだけでは成功しません。体の受け入れ態勢を整えることが最優先です。以下の3ステップで進めていきましょう。

STEP1|まずはタンパク質が前提

分子栄養学において、何よりも優先したい栄養素がタンパク質です。一つの目安として「体重1kgあたり1g以上」を推奨していますが、数字だけを聞いてもピンとこないかもしれません。たとえば体重60kgの人であれば、1日に必要なタンパク質は約60gになります。しかし、この量を毎日、普段の食事だけで安定して摂り続けるというのは、実際にはかなり難しいものです。

そこで、現実的な選択肢として大いに役立つのがプロテインの活用です。最近ではコンビニでも、1本あたり15〜20gのタンパク質を含むプロテイン飲料が手軽に手に入ります。これを1日2本取り入れるだけで30〜40gを確保でき、残りを肉・魚・卵といった普段の食事で補えば、「体重1kgあたり1g」という基準はぐっと現実的なものになります。

もしプロテインが苦手な場合は、卵で代用するという手もあります。卵1個にはおよそ6g前後のタンパク質が含まれているため、毎日3個以上食べるように意識すれば、それだけでも大きな助けになります。大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。

プロテインを使う、あるいは卵を増やす。そのどちらか一つを取り入れるだけでも、タンパク質不足は確実に改善していきます。この土台があってはじめて、ビタミンやミネラルは単に「摂っている」状態から、体内でしっかりと「働いている」状態へと移行します。タンパク質が満たされていない体では、どれだけ他の栄養素を補っても本来の力は発揮されません。だからこそ分子栄養学では、何より先にタンパク質を整えることを基本とするのです。

関連ページ:【分子栄養学と藤川理論】タンパク質とサプリメントで健康を最大化する方法!

STEP2|分子栄養学的 鉄分摂取法

鉄の摂取において、タイミングと同じくらい重要なのが「量」です。分子栄養学では1日36mg前後を一つの基準としていますが、これは即効性を求めるものではなく、体内でエネルギーを安定して回すために、毎日淡々と積み重ねていくことを前提とした量です。具体的なサプリメントとしては、藤川徳美先生の著書でも紹介されている「NOW Foods(ナウフーズ)の鉄サプリメント36mg」が目安となり、形状は一般的なヘム鉄ではなく、吸収性と扱いやすさを考慮したキレート鉄が適しています。

摂取のタイミングについては、鉄とビタミンEを同時に摂らず、少なくとも8時間以上あけることが望ましいとされています。そのため、もしビタミンEを服用しているなら、朝にビタミンE、夕方以降に鉄という風に時間を分けるのが最もシンプルで安全な方法です。夕方以降にまとめて摂る形にしておけば、細かい時間管理に迷うこともありません。

量の調整に関しては、体の状態が整っていれば、36mgを1粒として最大で3粒程度まで問題なく摂取できるケースもあります。ただし、ここで何よりも重要になるのがタンパク質です。タンパク質が不足した状態で鉄の量を増やすと、胃のむかつきや不快感が出やすくなるため注意が必要です。

もし不調を感じた場合は無理に続けず、いったん鉄の摂取を中断し、まずはタンパク質を十分に摂ることに専念してください。その後、必要に応じてカプセルを外して半量から再開するなど、体の反応を見ながら慎重に調整します。

鉄を増やすこと自体が目的ではありません。タンパク質という土台があってはじめて、鉄はその力を発揮します。正しい量を正しいタイミングで継続することこそが分子栄養学における鉄摂取の基本であり、より正確な実践法を知りたい方は、藤川徳美先生の『メガビタミン健康法』や『すべての不調は自分で治せる』をあわせて読むことで、理解がさらに深まるはずです。

STEP3|ビタミンCと一緒に

鉄を摂る際は、ビタミンCと組み合わせて摂取することが分子栄養学の基本となります。ビタミンCには、鉄が体内で利用されやすい形を保つ働きがあり、特にサプリメントや食事由来の鉄が腸でスムーズに吸収されるのを助けてくれるからです。

鉄を単独で頑張らせるのではなく、ビタミンCがその環境を整えることで、鉄はエネルギーの材料として本来の機能を果たしやすくなります。どちらか一方が主役というより、鉄がエネルギーの材料として機能しやすくなるよう、ビタミンCが環境を整えている、そんな関係性だと捉えると理解しやすいでしょう。

関連ページ:分子栄養学でわかるビタミンCの本当の役割〜メガビタミンが体と美容を同時に支える理由〜

よくある勘違いとNGパターン

「鉄を摂れば元気になるはず」と期待してスタートしたものの、途中で挫折してしまうケースは少なくありません。その背景には、鉄という栄養素の特性を誤解していたり、体の準備が整っていないまま進めてしまったりする共通の原因があります。せっかくの努力を無駄にしないためにも、まずは次のような「落とし穴」にはまっていないか確認してみましょう。

・鉄だけ飲んでタンパク質不足のまま

・数日で体感がないとやめてしまう

・「貧血じゃないから必要ない」と思い込む

また、鉄の状態を正しく知るためには、一般的な健康診断で見る「ヘモグロビン」や「赤血球数」だけでは不十分な場合があります。これらはあくまで、今まさに血液中を流れている鉄の量を示しているに過ぎないからです。

そこで分子栄養学や藤川徳美先生の理論において重視されるのが、「フェリチン」という指標です。フェリチンは体の中にどれだけ鉄が「貯蔵」されているかを表す数値で、これからエネルギーを作るための備蓄量を見るものだと考えると分かりやすいでしょう。

たとえ血液中を流れている鉄が足りていても、この貯蔵庫であるフェリチンが枯渇していれば、体は余裕を持ってエネルギーを回すことができず、疲れやすさや回復力の低下といった「はっきりしない不調」につながります。

フェリチンは通常の健康診断には含まれないことが多いですが、医療機関によっては1,000円〜4,000円程度のオプション検査として追加が可能です。「フェリチンも測れますか」と一言確認するだけで、自分の鉄の状態をより具体的に把握できるようになります。

「今は足りているか」だけでなく、「これからも安定して回せるか」そのカギを握るフェリチンは、鉄摂取を考える上で一度は意識しておきたい重要な指標です。

動画で理解を深めたい方へ

鉄がなぜ「エネルギーの起点」なのか。

理屈と感覚を同時に整理したい方は、こちらも参考になります。

文章だけでは掴みにくい

「まず鉄から」の意味が、非常にわかりやすく整理されます。素晴らしい動画でした。

筋トレや運動と藤川理論、そして鉄分の関係性

私たちパーソナルジムが分子栄養学(藤川理論)を取り入れているのには、明確な理由があります。それは、トレーニングの効果を最大化させるための「体の仕組み(土台)」がそこに集約されているからです。

藤川理論の大前提は「タンパク質で体を満たすこと」です。タンパク質が筋肉の材料であることは言うまでもありませんが、それだけで十分というわけではありません。材料があっても、それを組み立て、動かすための「エネルギー」が不足していては、トレーニングの成果は積み上がらないからです。

筋トレの本質は「ATP(エネルギー)の生産と回復」

筋トレは筋肉に物理的な刺激を与える行為ですが、分子レベルで見ると「ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを大量に使い、それを回復させること」の繰り返しです。

  • タンパク質 = 筋肉そのものの「材料」
  • ATP = 筋肉を動かし、修復するための「燃料」

どれだけ良いトレーニングをして刺激を入れても、この「ATP」を十分に作り出せない体では、回復が追いつかず、筋肉は成長しません。つまり、ATP不足のまま行う筋トレは、アクセルを踏みながらブレーキをかけているようなものなのです。

鉄分は「筋トレが効く環境」を作るカギ

ここで重要になるのが「鉄分」です。鉄は、体内でATP(エネルギー)を作り出す工場(ミトコンドリア)において、極めて重要な役割を果たしています。

  • 鉄が不足している状態
    エネルギー産生がスムーズにいかず、トレーニングの質が上がらない。回復も遅い。
  • 鉄が満たされている状態
    ATPが効率よく作られ、筋トレの刺激がしっかりと筋肉の成長につながる。

鉄分そのものが筋肉を直接大きくするわけではありません。しかし、鉄分は「筋トレの効果が最大限に発揮される体内環境」を整えてくれます。

もちろん、さらにレベルを高めるなら、鉄だけでなくビタミン(A・B群・C・E・D)やマグネシウムといった栄養素も重要です。これらがチームとして働くことで、ATPを作り、使い、回復させるサイクルはより強固になります。

「頑張るトレーニング」から「成果が出るトレーニング」へ

私たちが藤川理論や鉄分の重要性をお伝えするのは、単にサプリメントをお勧めしたいからではありません。「正しい順番」で体づくりをしていただきたいからです。

  1. タンパク質で土台を作る
  2. 鉄を起点に、ATP(エネルギー)が溢れる状態にする
  3. その上で筋トレを行う

この順序が整ってはじめて、トレーニングは「ただ辛いもの」から、「やればやるほど自然に成果が積み上がっていくもの」へと変わります。体の内側が整えば、外側の変化は必ずついてくるのです。

追い打ち漫画で鉄分をさらに理解する!

なぜ鉄を後回しにすると、何をやっても変わらないのか?

鉄は「体を回す設計図」

この記事で一貫してお伝えしてきたのは、分子栄養学における鉄の位置づけです。
鉄は単なる「貧血の人のための栄養」ではありません。疲れやすさ、思考のキレ、回復力、そして若さといった日常のコンディションを左右する、エネルギーの起点にあたる存在です。

体は、やる気や気合だけで動いているわけではありません。エネルギーが安定して作られ、使われているかどうか。その設計図が整っていれば、無理をしなくても体は自然に回ります。
その流れの中で、まず土台になるのが「タンパク質」。そして、その土台に最初のスイッチを入れる役割を担うのが「鉄」なのです。

ここで重要なのは、鉄だけを特別視することではありません。分子栄養学では、体はあくまでチームで動くものだと考えます。ただし、そこには明確な「順番」があります。

  • タンパク質:体を構成する土台
  • 鉄:エネルギー回路のスイッチ
  • その他の栄養素:働きを支えるサポーター

タンパク質が満たされていない状態で鉄を増やしても、うまく働きません。逆に、鉄が不足したまま他のビタミンやミネラルをどれだけ揃えても、肝心のエネルギーは回り始めません。
「まずはタンパク質。その前提の上で、まずは鉄」。この順番を守ることで初めて、体は本来の機能を果たせるようになります。

さらに、鉄の状態を見るためには視点を変える必要があります。
血液検査で分かる「今流れている量(ヘモグロビン)」だけでなく、「どれだけ備えがあるか(フェリチン)」という視点が欠かせません。

体に本当の余裕があるかどうかは、この「備え」に現れます。数値上は貧血でなくても、なんとなく不調が続く、その背景には、こうした見えにくい「貯蔵鉄(フェリチン)」の不足が隠れていることが少なくありません。

完璧を目指す必要はありません。毎日、少しずつ安定して整えていくこと。
「まずはタンパク質、次に鉄」。それだけで、体の内側では確実に「回り始める感覚」が生まれてきます。鉄は、何かを劇的に変える魔法の栄養素ではありませんが、整っていなければ何も始まらない。そんな「起点」として、静かに、しかし確実に私たちの体を支えているのです。

関連ページ:新ATPセットにマグネシウム追加|メガビタミン健康法での意味とは

関連ページ:マグネシウム風呂で整えるメガビタミン健康法!

関連記事