股関節が痛い方におすすめの運動

股関節の痛み

股関節に障害が起こると、お尻や太もも、腰のあたりに痛みが生じやすくなります。また、歩き方にも影響が出て、ひざにも負担がかかります。坐骨神経痛や腰痛、あるいは、ひざ痛などと間違えやすいのですが、原因が股関節にあることも少なくありません。

今回は、股関節が痛い時の対処法、運動をご紹介します。

股関節が痛くなる原因

股関節は、日常のすべての動作に影響する大切な部分です。たとえば、歩いたり、階段を上ったり、椅子から立ったりといった動作は、股関節がうまく動くことで、初めてスムーズに連動することができます。

ゴルフや野球などのスイングをする場合も、ほとんどの人は腰の動きと思っていますが、基本となるのは股関節です。股関節がうまく動かないと、体もスムーズに回転しません。

また、加齢とともに、誰でも股関節の動きが悪くなっていきます。
その理由に次の二つがあげられます。

  1. 股関節や周囲の筋肉などが硬くなる。
  2. 股関節を支える筋肉が弱くなる。

その結果、股関節にかかる負担が大きくなり、日常の動作や歩行に支障をきたすようになります。

股関節が痛い

股関節の代表的な怪我

股関節周囲炎

『股関節周囲炎』とは、股関節自体や周囲にある靭帯、筋肉などの組織が炎症を起こしている状態をいいます。

足を踏み外して股関節を捻挫したり、転んで尻もちをついたりするなどの不慮の外傷で起こります。そのほかにも、歩きすぎや過度のスポーツの練習、同じ動作の反復など、股関節やその周囲に対する負荷の積み重ねによって起こる場合もあります。

変形性股関節症

おもに、股関節の痛みと、動きの制限が変形性股関節症の症状です。

重症度により痛みの度合いが異なりますが、軽度のものだと、立つ動作や歩く動作の際に痛みが出る場合があります。重度のものだと、常に痛みを感じるようになってしまいます。

変形性股関節は、股関節周辺の怪我のなかでとても多いものです。

突発性大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死症のおもな症状は、なんの前触れもなく、股関節に痛みが発生します。

股関節の痛みの度合いは、脚を引きずらないと歩けないくらいの痛みで、そのような症状を感じたら、大腿骨頭壊死症の疑いがあります。

骨盤骨折

大腿骨頚部骨折と同じように、大きな痛みを感じます。

また、股関節を動かそうとすると激痛が走るのも同様です。交通事故や転倒など、大きな衝撃が股関節に加わったときに受傷します。

鼠径部痛症候群

ほかの股関節の怪我とは違い、股関節から下腹部のあたりにかけて痛みを感じます。

キック動作やランニングなど、股関節を繰り返し使う動作が原因と考えられています。股関節を動かした時だけでなく、押した時にも痛みを感じる場合があります。

股関節が痛い時の対処法

股関節に強い痛みを感じる場合は、整形外科を受診し、骨折や脱臼、そのほかの疾患がないか、痛みの原因を診断してもらいましょう。

しかし、痛みはあるものの普通に生活ができている場合や、忙しくてすぐには受診できないという場合には、セルフメンテナンスで様子をみてもよいです。

安静

股関節の痛みがひどい場合、無理をせず安静にしましょう。
痛みのでる動きが自分で把握できている場合には、その動きを避けるようにすると効果的です。

また、立つ、歩くなどの下肢に体重がかかる動きは、股関節に圧がかかる負荷の強い動きです。そのため、体重をかけることで痛みがでる場合は、杖を使用したり、痛みのある方の足に体重をかけないようにしたりするなどしましょう。

アイシング

ひどい痛みがある場合、痛みの原因が関節や周囲の筋肉の炎症であることが多々あります。

炎症を軽減させる方法として、有効なのが、患部を直接冷やす『アイシング』です。氷をアイシングバックやビニール袋に入れ、痛みを感じる部位を中心に、なるべく広範囲にあてて冷やします。

股関節の中のほうで痛みを感じる場合には、鼠径部(そけいぶ)とお尻の下あたりに同時にあてて、股関節を前後から挟むように冷やすのも効果的です。一度に冷やす時間は、10~15分にしましょう。

痛みがひどい時は、皮膚の温度が常温に戻ったら、再びすぐに冷やすことを繰り返し行います。多少痛みが落ち着いてきたら、歩いた後や寝る前など、一日に数回行います。

消炎鎮痛剤

いわゆる『痛み止め』と言われる内服薬を飲むか、消炎鎮痛剤が含まれている湿布を患部に直接貼るという方法があります。

消炎鎮痛剤には、炎症を落ち着かせる作用があるので、炎症が痛みの原因となっている場合は、根本的な治療にもなります。

しかし、それ以外に原因がある場合には、痛みを感じる受容体をブロックしているだけで、根本的な解決にはならないので、消炎鎮痛剤の使用をやめたとたんに痛みが再発したり、薬自体が効かなかったりすることもあります。

捻挫や打撲など、痛みの原因がはっきりしている場合には、受傷後しばらく使用するとよいですが、原因がわからない場合は、むやみに長期間使用しないように注意しましょう。

おすすめの運動

運動でおすすめなのは、「ストレッチ」です。

どんな症状に対しても、大きな負荷をかけることなく安全にできるので、まずはストレッチを行い、ある程度違和感なく動かせるようになってから、リハビリやトレーニングに移行すると良いでしょう。

ストレッチを行うべき筋肉は、骨盤の奥にある腸腰筋、もも裏の筋肉(ハムストリングス)です。そして、股関節を後方に振る動きや、外側にひねる動作などにかかわる大殿筋や中臀筋(お尻の筋肉)、股関節を内側に動かす内転筋群などです。

ここからは、それぞれの筋肉に対するストレッチをご紹介します。ストレッチをしている際に、痛みを感じる場合は無理に行わないように注意して取り組んでください。

腸腰筋

  1. 両足を前後大股に開き、後ろ脚を床につけ、前脚の膝を立てる。
  2. 上体は床と垂直に保ち後ろ脚を伸ばして股関節を前後に開いて伸ばしていく。

左右それぞれ行います。

腸腰筋ストレッチ

もも裏(ハムストリングス)

  1. 床に座り、片方の膝を折り曲げ、もう片方は真っすぐ前に伸ばす。
  2. 両手を前に置き胸を張って背筋を伸ばす。
  3. おへそを膝に近づけるように前傾して両手でつま先を掴みに行く。

猫背にならないように注意しましょう。
左右それぞれ行います。

もも裏(ハムストリングス)のストレッチ

内転筋群

  1. 床に座り、両足の裏を合わせ、かかとを股間に引き寄せる。
  2. つま先を掴んだまま、背筋を伸ばし上体を前傾させていきましょう。
  3. 内転筋のストレッチが足りない場合は、手を膝の上に置き上から下に押すと強いストレッチが得られます。

猫背にならないよう、左右それぞれ行います。

もも内側のストレッチ

臀筋部

  1. 床に座り、片膝を曲げ反対の膝を立てて、曲げた脚の外側に足をつく。
  2. 立てた膝を両手で抱える。
  3. 上体と床を垂直に保って、立てた膝を胸に引き寄せます。

引き寄せる強さでストレッチの強度をコントロールしながら左右行います。

臀筋部のストレッチ

まとめ

股関節の痛みは日常生活の動作や姿勢が関係することが多く、筋肉の硬直や血流低下が原因の場合があります。また、股関節周囲炎や変形性股関節症などの疾患や外傷が痛みを引き起こすことも少なくありません。

痛みが強い場合は整形外科を受診し、原因を特定することが重要です。セルフケアとしては、安静にし、痛みのある動きを避けることが効果的です。

また、アイシングや消炎鎮痛剤の使用も役立ちますが、原因がわからない場合は長期使用を避けましょう。軽度の痛みや予防には、腸腰筋や内転筋群などを対象にしたストレッチがおすすめです。股関節の健康を維持するためには、適切な姿勢と運動習慣が欠かせません。

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