股関節は体の中心部に位置しており、上半身と下半身を繋いでいます。当然のことながら、体は繋がっているため、股関節をほぐすことで全身に良い影響をもたらします。しかし、逆を考えると、股関節周辺が硬くなると、全身が硬くなっていることが予想されますので、注意が必要になります。
今回は、股関節をほぐすと得られる効果や股関節の正しい使い方、ほぐし方をお伝えしていきます。
股関節の概要
股関節は、複数の筋肉が関与しているため、どれか一つでも硬いと股関節は硬くなります。ふくらはぎやハムストリング、背中の筋肉も関係します。
股関節の筋肉に限らず、筋肉が硬くなる理由としては、長時間デスクワークをする等で同じ姿勢で過ごすことが多いと、股関節に関与する筋肉の血流が悪くなることで緊張が起こり、股関節の可動域が狭くなります。
また、スポーツ等で筋肉を酷使し、疲労が溜まることで筋肉が硬直してしまうことも考えられます。筋肉痛がある時は、その痛みのために可動域が狭くなってしまいます。
分かりやすくいうと、筋肉は「使い過ぎ」と「使わな過ぎ」で硬くなりますので、「ほどよく体を動かすこと」「運動後のケアをしっかり行うこと」が非常に大切になります。
また、加齢により血管や筋肉が硬くなると、関節の軟骨のクッションがすり減り、柔軟性が低下します。そして、関節や筋肉に無理な負担がかかるような体の使い方を行っていても硬くなります。その場合、いくら体を動かしたり、ストレッチ等で体ほぐしても、根本の体の使い方が間違っていれば、繰り返し股関節は硬くなります。
ちなみに、関節や筋肉は機能的に正しく動かしてあげると「緩む」という性質がありますので、日々の運動習慣やストレッチも非常に大切ですが、もっとも大切なことは「正しい体の使い方を身につけること」だと思います。
股関節をほぐすと得られる効果
股関節は、人体のなかでもっとも大きな関節で、日常生活動作である立つ、しゃがむ、歩く、走る等の動作を担っている最重要な関節です。
股関節周辺の筋肉がほぐれることで、健康面や美容面にも大きな影響が生じます。 股関節がほぐれると得られる効果をあげていきます。
怪我をしづらくなる
股関節は、人体のなかでもっとも大きな関節であることは、お伝えしましたが、大きな関節であるがゆえに、日常生活やスポーツの場面でかかる負担が想像以上に大きなものになります。
そのため、股関節周辺の筋肉の筋肉が疲労により硬くなり、筋肉の動きが制限されてしまいます。その筋肉が硬い状態で大きな動作をすると、肉離れや捻挫等が起こるリスクが高まります。
股関節をストレッチや適度な運動でほぐすことで、怪我のリスクを下げることが可能になります。また、筋肉が柔軟で血流が良くなることで、万が一怪我をしてしまった際に怪我の回復が早まります。
そして、「機能的な股関節の使い方」を身につけることで、怪我をするリスクをさらに低下させることも可能になります。
冷え性、むくみ
股関節周辺の筋肉を動かすことで、全身の筋肉が動きます。すると、全身の血流が良くなるので、冷え性、むくみが改善されます。
当然ながら、体は繋がっているので一箇所の血行が良くなっても、そのほかの血行が悪くては、あまり効果は得られません。そのため、体の中心の股関節を動かし、全身の血流を良くすることが大切です。
ボディラインが整う
股関節がほぐれることで、可動域が広がります。すると、股関節がスムーズに動かせることで、筋肉のバランスが良くなり、O脚、X脚の緩和にもつながり、美脚効果が期待できます。
また、お尻の筋肉が引き締まり、ヒップアップ効果で脚が細く長く見えるようになります。
膝や腰の痛みの予防・改善
股関節が柔らかく、普段の生活で体を動かす機会が増えると、筋肉量が増加します。股関節周りの筋肉は『抗重力筋』といい、重力に耐える筋肉です。
抗重力筋の筋肉量が増えることで、正しい姿勢をキープすることができるようになります。すると、膝や腰の負担が減り、関節や筋肉を痛めるリスクを減らすことができます。
全身の筋肉が柔らかくなる
股関節は体の中心に位置しており、上半身と下半身を繋いでいます。そのため、股関節が柔軟な状態でいると血流が全身に回りやすくなります。すると、リンパの流れや老廃物が流れやすくなりますので、体に疲労が溜まりづらくなり全身の筋肉は柔らかくなります。
人間の体は、全身の筋肉や関節が連動することで、体を動かしています。体のなかで一箇所でも硬いところがあった場合は、そのほかの筋肉も硬くなっていることが予想されます。
特に、体の中心部が硬いと全身の筋肉に対する血流も少なくなり、筋肉が硬くなりやすい状態となりますので注意が必要です。
股関節のほぐし方
股関節周辺には、多くの筋肉が存在しているので、一つひとつの筋肉をほぐしていると時間がかかりすぎてしまいます。
もちろん、時間のある時は、そのようなやり方でていねいにストレッチなどを行っていただいてもいいです。しかし、多くの方がス、トレッチやカラダのケアに時間をかけることが難しいのが現状であると思います。
そんな時にオススメなのが、「スクワット運動」です。
トレーニングとして、スクワットを思い浮かべる方が多いとは思いますが、スクワットはストレッチとしても非常に有効です。ただし、スクワットのフォームが正しくできていないと、まったくの逆効果になってしまうため、注意が必要です。そして、いつでもどこでも場所を選ばず(多少は選びます・・・)できるので、ちょっとした空き時間に行うこともできます。
股関節に限らずですが、体をほぐすためには、日々こまめに体をほどよく動かすことが重要です。
特に、デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢でジッとしている方は、股関節が硬くなりやすいので、仕事中でも意識的に体を動かさなければなりません。そんな時にストレッチを行う時間をつくるのはかなり難しくなるし、場所もないと思いますので、できるだけ簡単にできるものをチョイスするとよいでしょう。
下記に、スクワットのやり方と時短でできるエクササイズ動画でご説明しますので、ぜひご参考になさってください。
機能的な股関節の使い方
日常生活動作である「歩く」「走る」「座る」「立つ」など基本的な動作は、すべて下半身の動作になります。そして、あらゆる動作の大元には「スクワット運動」が隠れています。ですので、機能的な股関節の使い方は、スクワットで学ぶことをお勧めします。
股関節の屈曲・外旋
スクワット運動を行った時に、よく膝が内側に入ってしまう方がいます。
膝が内側に入ると、ある程度しゃがんだ時に股関節が窮屈になり、深くしゃがむことができません。これは、股関節の構造上そうなるようにできています。
しゃがむ動作時にどのようになるのが正しいのかというと、股関節の構造を考えるとよくお分かりになるかと思います。
股関節は、球関節(ボールと受け皿の関節)として知られており、大腿骨(太ももの骨)の丸い骨頭(ボール)が骨盤の臼蓋(受け皿)に組み合わさってできています。そして、骨盤の臼蓋(受け皿)部分の形状が斜めになっており、そこに大腿骨頭が組み合わさっています。屈曲(しゃがむ)すると骨盤の形状に沿って外旋(外に開く)する構造になっています。
そのため、スクワット運動でしゃがむ動作をした時の見え方として、「膝が外側を向く」ようになります。 ※詳しくは動画をご覧ください。
ちなみに、膝が内側に入ってスクワット運動を行うと、骨盤と大腿骨頭がぶつかり合い、股関節を痛める原因となります。また、膝関節にも負担がかかり痛める原因となりますので注意が必要です。
まとめ
股関節は上半身と下半身を繋ぐ体の中心部に位置し、人体の中で最も大きな関節です。股関節をほぐすことで血流やリンパの流れが改善され、全身の筋肉が柔軟になり、疲労が取れやすくなります。さらに、正しい使い方を身につけることで怪我のリスクを減らし、冷え性やむくみの改善、ボディラインの整えにもつながります。
股関節のケアとしておすすめなのが「スクワット」です。スクワットは股関節を正しく使うことで効果が高まり、柔軟性の向上や筋力アップ、膝や腰の負担軽減など多くのメリットをもたらします。ただし、フォームを間違えると逆効果になるため、正しい動作を意識することが重要です。日々の生活に取り入れ、股関節を柔らかく保ちましょう。