下半身の筋力が安定していないと、日々の生活で必要以上にエネルギーを消耗し、関節の痛みといった体の不調につながることもあります。下半身は体を支える土台のようなものです。
下半身を鍛えることで、安定感のあるブレない体をつくることができます。下半身の筋肉は、体が倒れないようにするために筋肉同士がバランスをとりあいます。そのため、下半身の筋肉が弱いと疲れやすくなってしまいます。
今回は下半身の筋トレの必要性と筋肉の役割、オススメのトレーニングを紹介します。下半身の筋肉を鍛え、筋肉を強くし疲れにくい安定した体を手に入れましょう。
なぜ下半身の筋トレが必要か?
アンチエイジング効果
私たちの体は、加齢により筋力、体力が衰えていきます。
40代からは1年で約1%ずつ筋力が低下していき、80歳になると20代の60~70%の筋肉しかないこともあります。体力の変化でいうと20歳を100%としたとき、40代では約60%しか体力がないという調査結果もあります。
特に下半身にいたっては日常生活でほとんど下半身を使って動作をしているので上半身に比べると落ちやすい傾向があることから下半身の筋トレが必要といえます。
姿勢の改善
下半身の筋トレは、体幹部に大きな刺激が入るものがたくさんあるほか、大きい筋肉が多いため、上半身の筋トレと比べると高重量を扱うメニューも多くあります。
重量を扱いながら行うスクワットでは、大腿四頭筋や大臀筋を刺激するだけでなく、正しいフォームを維持するためには体幹部の筋肉も意識する必要があります。そのため体幹部にも大きな刺激が入り、体幹が鍛えられたことで姿勢がよくなるという効果も期待できます。スタイルアップを狙う女性にも当然オススメです。
疲れにくくなる
下半身の筋力が高まることによって、日常生活におけるさまざまな行動にも疲労を感じにくくなります。
立ちっぱなしだったり、歩いたりすることが多い仕事では、筋力が高まるだけで疲れにくくなるのを感じるはずです。 その他にも、重いものを床から持ち上げたり、階段を上り下りする。あるいは小走りなど、とっさに力を発揮する場面でも体が動きます。
基礎代謝の向上
全体で見ても、大きい筋肉は下半身に集中しています。大きい筋肉が多いということは、トレーニングによって消費されるエネルギーも多いということになります。
また、トレーニングによって筋肉量が増えれば基礎代謝も高まり、太りにくく痩せやすい体になることができるでしょう。結果、ダイエットを効率よく進めることもできます。
筋肉のサポートによる関節の保護
年齢を重ねると、膝や腰などの関節の痛みを感じる人が増えていきます。これは関節自体の問題だけではなく、下半身の筋力低下が原因となっている場合もあります。
筋力が低下することで、関節にかかる負担が増え、痛みを引き起こします。とくに過去、スポーツなどでケガをした経験がある人は要注意です。靭帯や腱、軟骨などを損傷すると、それらの組織は完全に元の状態まで回復することはありません。そのため、周囲の筋肉でサポートする必要があるのです。
若いときは筋力が高く、関節の負担を減少できていたものが、年齢とともに筋力が低下することで少しずつサポートが弱くなります。それにより、ケガをした部分にストレスが多くかかることで痛みが出てきてしまいます。
骨密度の増加
筋肉と同じく、骨も年齢とともに骨密度が低下していきます。
骨を強くするには「カルシウム摂取」のほか、骨への刺激である「運動」が必要です。特に骨の長軸方向(縦の力)に負荷がかかるスクワットのようなトレーニングは、骨の強化に効果的です。
筋トレすべき下半身の筋肉
大腿四頭筋
ふとももにある大きな筋肉が大腿四頭筋です。大腿四頭筋は「大腿直筋」「外側広筋」「内側広筋」「中間広筋」の4つの筋肉でできています。
体の中でもっとも大きな筋肉であり、股関節やヒザ関節の動きに関わります。 足の速さ、瞬発力、足腰の耐久性などにも大腿四頭筋が影響を及ぼしています。
ハムストリング
太ももの裏にあるハムストリングは、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋、の筋肉で構成されています。
股関節とヒザ関節の動きに影響を与え、ヒザを曲げる時に使われる筋肉です。
ハムストリングを鍛えることで脚を蹴り出す力を強くすることが期待できます。
下腿三頭筋
下腿三頭筋はふくらはぎにある筋肉で、腓腹筋とヒラメ筋で構成されています。
腓腹筋とは、ふくらはぎの一番盛り上がっている部分です。外側と内側の二つに分かれいて、アキレス腱から足首までを覆っています。 跳んだり走ったりするために下腿三頭筋は重要な筋肉です。
その他、ヒラメ筋は体のバランスをとったり、歩く時に体が前に倒れないようにする役割があります。
疲労が溜まりやすい部位であり、ヒラメ筋を鍛えると日常生活で疲れにくい脚を手に入れることができます。
オススメの下半身の筋トレ種目
下半身のトレーニングにおいてスクワットは欠かせない大事な種目です。
その重要さから“キング・オブ・トレーニング(トレーニング種目の王様)”ともよばれています。トレーニングで何をやっていいか迷った時は、スクワット1択といっていいくらい大切な種目です。
ポイントは足幅を肩幅よりやや広く開き、膝とつま先の向きを合わせます。手は体の前で組み、しゃがんだ際に膝がつま先より前に出ないように気をつけましょう。お尻を少し後ろに引きながら行うと膝は出にくくなります。お尻を引きすぎて体が前に倒れすぎないように、お腹に力を入れ体を少し起こし気味で行いましょう。
ワイドスクワット
ワイドスクワットはスクワットの一種で、大腿四頭筋、ハムストリング、股関節周り、太ももの内側に効果があります。通常のスクワットをより足幅を広くして行うのが特徴です。
ポイントはスクワット同様、膝はつま先と同じ方向に向け、脚を外側に開きながらしゃがんでいきます。このとき膝が内側を向くと太ももの内側の筋肉がうまく使えません。さらにヒザへの負担も増えてケガの原因になります。股関節が固い人はヒザが内側を向きやすい傾向があるので、気をつけましょう。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
ランジ
ランジではハムストリング、大腿四頭筋、お尻の筋肉も鍛えることができます。
足の位置が前後となっているので動作中のバランスを保つことが難しい筋トレです。 ポイントは踏み出した際、踏み出した足の膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
また膝が90度曲がるまで深くおろします。深くおろすことでより筋肉に負荷を与えることができます。ただし、足を曲げるのではなく、お尻をおろしていくイメージで動くと、お尻や太ももにもしっかりと刺激を与えられます。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
カーフレイズ
カーフレイズで鍛えられるのは、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋やヒラメ筋です。
ポイントはヒザの曲げ伸ばしです。下腿三頭筋は、腓腹筋、ヒラメ筋で構成されていますが、カーフレイズの際はヒザを「曲げる」か「伸ばす」かで鍛える場所が変わります。曲げて行う場合はヒラメ筋、伸ばして行う場合は腓腹筋となります。
ヒラメ筋の場合はイスに座ってかかとの上げ下げを行うと良いでしょう。腓腹筋の場合は立ったままでかかとの上げ下げを行います。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
まとめ
下半身の筋トレは自宅で行うものでも十分な効果が期待できます。
しかし、ジムで行う高負荷のトレーニングもできれば下半身のトレーニングを効率的に行うことができます。 どちらにしても正しいフォームが大切なのでフォームを身につけるには、パーソナルトレニングを受けることもおすすめです。
また、下半身の筋トレは大きな筋肉を動かすので、全身の血流も良くなり心地よい疲労感が得られることで睡眠の質が上がります。「今日は体がしんどいな」という日は下半身の筋トレを行い、疲労回復に務めてみてはいかがでしょうか。