パーソナルトレーナーが教えるスクワット

パーソナルトレーナーが教えるスクワット

スクワットは、「キングオブトレーニング」と言われ、動作中に使わない筋肉はないと言われ、正しいフォームで行うと、非常に高い効果が期待できるトレーニング種目です。

現在では、スポーツ選手だけではなく、一般の方にも幅広く知られ、トレーニング種目のなかで、もっともポピュラーな種目ではないでしょうか。ゆえに数多くのスクワットが出現し、どのスクワットを選択するのかが分からずに、目的からずれたスクワットを行っている方が、非常に多くいらっしゃいます。

勘違いしてはいけないのは、このスクワットが正しくて、このスクワットが間違っているということではなく、目的によって、どのスクワットを選択するべきなのかを、しっかり判断したうえでスクワットを行う必要があるということです。

ただただ、動作を真似るだけではなく、なぜこのスクワットを行う必要があるのかを、しっかり理解したうえで、スクワットを行っていただきたいと思います。

筋肉・骨格の構造を考えた機能的なスクワット

はじめにお伝えしたいのは、数多くのスクワットが存在していると先にお話しましたが、本来、スクワットは一つしかないということです。なぜかというと、人間の筋肉・骨格の構造はみんな同じだからです。人によって筋肉・骨のつき方が違うというのは、基本的にはあり得ません。

ですので、機能的=体に負担の少ない効率的な、筋肉の使い方、骨格の動きを知り、理解してからスクワットをする必要があります。少し専門的にはなりますが、自分の体のことですので、知っておいて損はないと思います。

〇使って良い関節・筋肉。使ってはいけない関節・筋肉

まず、日常生活、またスポーツの動作で考えたいのですが、「前に進む時間」と「後ろに下がる時間」のどちらの時間が長いと思いますか?

日常であれば、歩く、走る。スポーツでは、走る、投げる、跳ぶ等の動作です。言うまでもなく、「前に進む時間」のほうが圧倒的に長くなります。「私は基本的に後ろ向きで歩きます!!」という人は、いませんね。

ということは、前に進むために必要な関節と筋肉を、スクワットで使う必要があります。どこかというと、「股関節・お尻の筋肉」です。お尻の筋肉は、別名「アクセル筋」とよばれています。使ってもよい筋肉ということになります。機能的なスクワットでは、主動筋として使います。

では、逆に、後ろに下がるための関節と筋肉はどこかというと、「膝関節・ももの前の筋肉」になります。ももの前の筋肉は、別名「ブレーキ筋」とよばれています。使ってはいけない筋肉ということになります。ただ、使ってはいけないといっても、ほんの少し使う場面があります。

たとえば、歩いていて、立ち止まる瞬間、走っていて、切り返しで地面をグッと踏み込み方向転換をする瞬間です。使ってはいけないというよりは、股関節・お尻の筋肉を使っていたら、自然と「使われてしまう」という方が、正しいかも知れません。機能的なスクワットの際は、主動筋として使うことはありません。

〇膝を前にださない

では、どうやって「股関節・お尻の筋肉」を使うかというと、まずスクワット動作でしゃがむ際に膝が前にでずに、お尻を後ろに突きだすように動きます。

日常生活では、椅子から立つ、座る動作です。実際に、やってみるとわかるのですが、椅子から立つ、座る時に、膝が前にでることはありません。なぜなら、椅子が後ろにあるからです。椅子に座るために、必ずお尻を後ろに下げますね。簡単に言うと、それがスクワットです。実は、日常生活で自然と行っていたのですね。

しかし、スクワットをやってみましょうと言うと、大方、膝が前にでてしまうスクワットになってしまいます。その時点で、日常生活とトレーニングがリンクしていないことになります。この、膝を前にだすスクワットを行っていると、日常生活やスポーツには活かすことのできない動作を積み重ねてしまっていることになります。

〇股関節の構造

また、スクワット動作で間違いやすいのは、しゃがんだ際に膝が内側に入り、内股になってしまうことです。

股関節の構造を考えると分かりやすいのですが、股関節は、大腿骨の先端にあるボールの形をした大腿骨骨頭と骨盤側で骨頭の受け皿になる深いお椀の形をした臼蓋との組み合わせでできた、球関節です。そして、骨盤の形状をよく見ると、斜めになっているのがお分りでしょうか? これが非常に重要です。

スクワットのしゃがむ動作、言い換えると「股関節の屈曲」です。それが深まってくると、骨盤の斜めに沿って外に開きます。言い換えると、「股関節の外旋」です。この「屈曲、外旋」が機能的な股関節の動きになります。

しゃがんだ時に、膝が内側「股関節の内旋」に入ってしまうと、骨盤と大腿骨が詰まり、深くしゃがむことができなくなります。 また膝が内側に入ると、もれなく膝が前にでますので、注意が必要になります。 ぜひ、動画でご確認ください。

*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。


〇重心の位置

重心の位置に関しては、スクワットに限らず、すべての動作において、もっとも重要だと思います。四足歩行動物であれば、考える必要はないのですが、二足歩行の人間は、足裏のどこに重心があるかを考えなくてはいけません。

どこに体重をかけるかということですね。それは距骨下です。膝下の骨「脛骨と腓骨」という骨があります。その延長線にくるぶしがあります。その真下にスクワットの動作中に体重をかけましょう。

実は距骨下と股関節は連動しているので、距骨下に重心があると股関節・お尻の筋肉が自然と働いてしまいます。その距骨下の重心がずれて、つま先側に行ったり、踵に行ったりするだけで使う関節・筋肉は膝関節・ももの前の筋肉になりますので、注意が必要です。

さきにお話した膝が前に出ない理由としては重心がブレることで使う筋肉が変わってしまうということもあげられます。重力はもちろん真下にかかりますので、膝下の骨が前後に動いてしまうと重心が変わってしまいます。

距骨下に重心を置くためには、膝下の骨は常に床に対して垂直でいなければいけませんので、膝は前に出てはいけないということになります。 ぜひ、動画でご確認ください。

*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。

筋トレとしてのスクワット

といっても、膝が前にでるようなスクワットも存在し、行っている方もいます。機能的とは言えないものの目的によっては、先にお伝えした内容が間違っていて、膝がでるようなスクワットが正解のパターンもあります。

日常やスポーツでは、基本的に「ブレーキ筋」であるももの前に、筋肉はあまり必要としていません。しかし、ももの前の筋肉を鍛えなくてはいけないという方も存在します。

たとえば、ボディビル競技を行っている方々です。機能的はさておき、筋肉の発達度、全体の均整度で競う競技ですので、「ももの前は普段使う頻度が少ないから、鍛えなくてもいい」なんて言えません。ももの前も、しっかり鍛える必要があると思います。

ただし、正直なところ、機能的な肉体ではありませんので、日常生活やスポーツには残念ながら活かすことは難しくなります。そして、筋トレとしてのスクワットを行っていると、普段体の動きとは、別のことを行っているので、筋トレをやめてしまうと筋肉はすぐに落ちてしまいます。

機能的なスクワットを行っていると、日常的な普段の動きをしていても、スクワット動作と同じ動きをしているので、刺激が自然と入るので、筋トレをやめたとしても、筋肉が落ちることはありません。

また、日常生活では、負荷がほぼ自重ですので、筋肉が発達することは考えにくいです。日常生活や、スポーツを行うために、必要な筋肉が自然とついてきます。

筋トレとしてのスクワット

使う筋肉によって体つきが変わる

プロのスポーツ選手の体つきを見ると、非常にわかりやすいのですが、競技によって筋肉のつき方にでます。

さきにお話したとおり、アクセル筋を使い前に力を発揮する競技は、基本的には股関節・お尻の筋肉がより発達します。そして、そのお尻の筋肉量に見合った筋肉量が、そのほかの筋肉にも自然とついてきます。陸上競技全般、ゴルフ、野球、テニス等はお尻の筋肉が発達します。そして、特徴として、足がほっそりしています。(※一般人と比べてはいけません)

逆に、ブレーキ筋を使い、ダッシュして切り返しを多く使う競技は、ももの前の筋肉を使う頻度が多くなります。たとえば、サッカー選手は、切り返しの場面が多くなりますので、ももの前の筋肉が発達します。ももの前の筋肉とふくらはぎが同時に働き発達しますので、特徴として足全体が太くなります。(※ポジション等にもよります)

今では、プロのスポーツ選手も、体を大きくするために筋トレを行っています。ただ、本来は、その競技を行っていれば、その競技を行ううえで必、要な筋肉が自然とついてくるのだと思います。

筋トレを行い、筋力がついても、その競技中に使えない筋肉であれば、まったくむだな筋肉がついたということになります。スポーツ選手でも、筋トレで体を大きくしてしまい、競技力が落ちるといったケースを意外にも多く聞きます。目的と違ったことを取り入れ、トレーニングを行なっている可能性が高いです。

だからこそ、一般の方も、スポーツ選手も、体のことを良く知り、自分に必要なスクワットとはどれなのかをしっかり理解して行うことが大切です。

スクワットがすべて解決します!

年齢を重ねると、段々と体に不具合が生じてきます。あらゆる関節が痛んだり、体力が低下し疲れやすくなったり、姿勢が悪くなったり、競技力が低下したりいろいろなことが起こります。大方年齢のせいにすることが多いですね。

もちろん、若い時と同じように動けるわけではありませんが、それなりに向上させることはできるのです。 われわれ体の専門家としては、あらゆることが低下していく原因として、「間違った体の使い方の癖が身についている」のではないかとまず考えます。簡単に言うと、ブレーキがかかっているということだと思います。

痛みを取りたくても取れない、レベルアップしたいけどできないといったように、前に進めない方が多くいらっしゃいます。それは、治療院に行ったり、本を読んだり、レッスンを受けに行ったり、筋力を向上させて解決することではないのです。

まず、やるべきことは、機能的な動きアクセルを使い、前に進むことのできる動ける体になることです。特に、股関節を中心とした正しい体の使い方を身につけると改善がみられることが多いので、正しいスクワットの動作を身につけると良いでしょう。

目的と違ったことをしていても、効果はないどころか、やらない方がよかったという結果になることもありますのでご注意ください。

まとめ

今回、お伝えした機能的なスクワットは、われわれが思っているアームリング流の正しいスクワットではありません。人間の筋肉のつき方、役割、骨格の構造上、神様が決めたスクワットです。そうやって動くしかないのです。

ただ、何度も言っているとおり、機能的とは異なるスクワットも実際に存在します。自分で今、行っているスクワットが、はたして目的を達成するために、必要なことができているかをいま一度確認してみましょう。

われわれは、現代の情報社会の中にいますので、無数の情報の中から正しいことを得るには、ある程度知識がないと困難です。何が正しくて、何が間違っているのかを考えられるだけの知識が必要です。パーソナルトレーニングを受けに行くとしても、無数にあるトレーニングジムから選ばなくてはいけませんので大変なことだと思います。

しかし、自分の体を、また、もっと言えば将来を変えるだけの力が、トレーニングにあるならば、じっくり吟味して、選ぶ必要があるのではないでしょうか? われわれパーソナルトレーナーとしても、その方の未来を変えてしまいますので、正しい知識を身につけ、日々学んで行く必要があるのだと思います。

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