水分補給の重要性について

水分補給のイラスト

私たちの身体は約60兆個の細胞が集まってでき、その成分は水、タンパク質、脂質、炭水化物、そして無機質(ミネラル)です。

そのなかでも、水分はとても重要な栄養素と言えます。基本的に水は無味無臭なので、栄養がないと思っている方もいるかもしれませんが、ミネラルをはじめとする栄養素が水には含まれています。

私たちの体の約60%は水分でできており、2%の水分を失うだけで、運動のパフォーマンスは約30%低下し、4%の水分を失っただけでいわゆる脱水状態になってしまいます。

今回は、そんな水分補給の重要性について解説していきます。

水分補給の重要性について

◆水分の排出

通常、口からとり込んだ水分は大腸や小腸で吸収された後、血液や体液となって全身で使われます。

水分は体内に留まることはできず、絶えず尿や汗、呼気となって排出されるため、脱水症状にならないためにも、とくに夏場など汗をかきやすい時期には、水分をこまめにとり込むことが必要になります。脱水状態になると、筋肉の機能や心臓の機能も低下しますので、関連して運動のパフォーマンスも落ちてしまいます。

私たち人間は一日約2~2.5ℓの水分を排出しています。よって単純に考えて、同じく2~2.5ℓの水分を摂取しなければなりません。平均的な量の食事をとっていれば、食事から約1ℓの水分を摂取できるとされています。よって残りは飲料水などから水分を摂る必要があります。

水分の摂取量が少なくなると、精神的、身体的パフォーマンスに影響をおよぼします。私たち人間の体は、水分が減ってくると、さまざまな症状が発生します。

一番わかりやすいのが、のどの渇きを感じた時です。
のどの渇きを感じた時は、体内の水分が2%失われた状態です。

これが3%失われると、さらに強いのどの渇きを感じ、意識がぼんやりしてきたり、食欲不振になったりします。4%失われると、イライラしたり、体温の上昇、疲労困憊、皮膚の紅潮が現れます。

さらに5%失われると、頭痛や熱にうだる様子、8~10%になると、身体動揺や痙攣が起こります。これは、マラソンなどのスポーツ選手にたまに起こります。

◆水分の吸収について

私たちが口から摂取する水分のほとんどは、小腸で吸収されます。目安として、1時間あたりの吸収量は約800ml前後と言われています。これは、1分あたり13mlという量になります。

コップ1杯程度の水分を、一日6~8回に分けて飲むのがよいとされています。特に、寝る前や入浴前後というのは、水分が失われやすいので、このタイミングでコップ1杯程度のお水を飲むことをお勧めします。

そのほかのタイミングとしておすすめなのは、朝起きてから1杯飲むことです。それにより、血流も良くなり、全身の機能を活発にしてくれます。一度にたくさんの量を摂取するより、小分けに摂ることが重要です。

水分の役割

私たち人間の肌細胞の60%は水分でできています。肌の細胞というのは、古いお水を新しいお水に交換することで常に若々しく保つことができます。ですから水分補給は常に必要で重要になります。

さらに、水分は消化、吸収、循環、排泄機能を含む、身体機能を維持するのに非常に重要な役割を担っています。そして、水分は細胞内外の栄養素や老廃物の輸送にも必要です。水分が少なくなるということは、栄養が運ばれなくなってしまうということです。

また、体温の維持・調整や、関節の衝撃保護のサポートをする役割もあります。血液に含まれる赤血球の約60%、血漿の90%は、水分でできています。そして、虫歯を防ぐサポートとなる唾液もつくり出します。さらに、水溶性ビタミンを活用するためにも、非常に重要な役割を担っています。

このように、水分の役割というのは、幅広く私たちの体の中で活躍しているのです。

水分不足になると

水分不足になると、血液中の水分濃度が低下し、血液がドロドロになってしまいます。そうすると、肌への栄養や、酸素が届きにくくなってしまいます。これにより、肌荒れを起こしやすくなります。

ちなみに、水分不足になると代謝も悪くなります。これは古いお水のまま、細胞が新しく生まれ変わることができないために起こります。

水分不足により、排出されるべき老廃物が体内に溜まると便秘になったり、肌荒れの原因になります。この便秘改善には、水分やそれに含まれるミネラルを摂取することが必要になります。

水分補給のポイント

では水分補給にはどのようなドリンクが適しているのでしょうか。

水分補給としておすすめなのは、お水です。
職場や自宅にいる時などは、やはりお水が一番良いでしょう。

お茶や紅茶、コーヒーにはカフェインが含まれるため利尿作用がありますし、ジュースやスポーツ飲料は糖質の過剰摂取になるため継続的に飲み続けるには向いていません。

ちなみに、水の温度は、10℃前後、もしくは常温が吸収されやすいといわれています。

◆ダイエット時の水分補給

ダイエット時の水分補給は、断然、白湯(さゆ)がおすすめです。
白湯は水道水を沸騰させたものです。一度沸騰させることにより、塩素などの不純物を除去できます。

白湯を飲んで内臓機能を温めることで、血流が良くなります。内臓の温度が1℃上がると基礎代謝も約10~12%上がると言われているので、脂肪が燃焼されやすくなります。

逆に、冷えすぎたものだと、内臓を冷やしてしまい、新陳代謝を低下させてしまい、むくみなどの原因になる可能性があるので、逆効果になります。

◆運動時の水分補給

運動時の水分補給については、運動時間が1時間程度であれば水以外の飲み物を摂取する必要はありません。もし、飲むのであれば、一般的なスポーツドリンクを薄めて飲むことをお勧めいたします。

しかし、マラソンなど長時間動き続けるようなスポーツでは、大量に汗をかくため、水分と同時にミネラル(特に塩分)を多く失います。また、同時に、体を動かすためのおもなエネルギー源となる糖質が運動により欠乏してしまえば、体を動かすエネルギーが不足してしまいます。

それを補うには、スポーツドリンクが最適です。スポーツドリンクには、糖質や塩分が含まれているだけでなく、アイソトニックウォーターといって人間の体液と等しい濃度でできています。これによって、すばやく水分を吸収することができます。

運動中の水分補給のタイミングの目安としては、20分ごとに約200ml(コップ1杯)程度の水分を取るようにすることです。たとえば、一般的なマラソン大会では、4~5㎞ごと(20~30分程度)に給水所が設けられており、適切に水分補給ができるようになっています。

睡眠前の水分補給について

寝る前の水分補給は、体の健康を維持し、睡眠の質を向上させるために非常に重要です。睡眠中は汗や呼吸を通じて水分が失われるため、寝る前に適量の水を飲むことで、体内の水分バランスを保つことができます。これにより、血液の流れがスムーズになり、心臓や循環器系への負担を軽減する効果が期待できます。

さらに、寝る前の水分補給は、体温調節や老廃物の排出を促進する役割も果たします。特に白湯を飲むと、体を内側から温めて血行を良くし、リラックス効果を高めるため、安眠につながります。また、体内の代謝が活発化し、朝のスッキリした目覚めにも寄与します。

ただし、水分を摂り過ぎると頻尿につながり、睡眠が妨げられる可能性があるため、摂取量はコップ1杯(150〜200ml程度)を目安にすることが大切です。適切な量を寝る前に補給することで、健康的で質の高い睡眠をサポートできます。

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水分補給の注意点

水分は健康を維持するために重要ですが、過剰に摂取するといくつかのデメリットが生じる可能性があります。適切なバランスを保つことが重要です。

まず、水分を過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が低下する「低ナトリウム血症」になるリスクがあります。これは、特に運動中や高温環境下で水分を大量に摂取した場合に起こりやすく、頭痛や吐き気、最悪の場合は意識障害を引き起こすことがあります。長時間の運動時には、塩分を含む飲料で補給することが推奨されます。

また、過剰な水分摂取は腎臓に負担をかける可能性があります。腎臓は体内の水分と電解質のバランスを調整する役割を担っていますが、水分が過剰に供給されると、その負荷が増加し、長期的には腎機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、過度な水分摂取は消化器官にも影響を及ぼすことがあります。胃に大量の水分が入ることで胃酸が薄まり、消化不良を引き起こす場合があります。これにより、胃もたれや腹部の不快感が生じることがあります。

日常生活においても、水分摂取が過剰になると頻尿につながり、生活の質が低下する可能性があります。特に夜間の頻尿は睡眠の質を損ない、慢性的な疲労や集中力の低下を引き起こすことがあります。

適切な水分補給の目安は、体調や活動量、気温などに応じて調整することが大切です。一度に多量を摂るのではなく、適量を小分けに摂取することで、体内の水分バランスを健全に保つことができます。

まとめ

水分は私たちの体にとって欠かせない成分であり、適切な水分補給は健康維持やパフォーマンス向上に重要な役割を果たします。

体内の約60%を占める水分は、栄養素や老廃物の輸送、体温調整、消化や吸収などの多くの機能を支えています。一日に必要な水分量は2~2.5ℓ程度で、汗や呼吸、尿などで失われる分を補うため、こまめな摂取が必要です。

水分不足になると、血液がドロドロになり肌荒れや便秘を引き起こすだけでなく、運動時のパフォーマンス低下や体調不良を招く可能性があります。

一方で、過剰な水分摂取も低ナトリウム血症や腎臓への負担、頻尿などのデメリットを伴うため、注意が必要です。

水分補給にはお水が最適で、一度に大量に摂取するのではなく、コップ1杯ずつ分けて摂るのが効果的です。特に運動中や高温環境下では、適度に塩分や糖分を含む飲料を選ぶことが推奨されます。また、ダイエット時には白湯がおすすめで、内臓を温め代謝を促進する効果が期待できます。

のどが渇いたと感じる前に水分を補給し、日々の生活に適切な水分補給を取り入れることで、心身ともに健康な状態を維持しましょう。

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