肩甲骨には、首・肩・背中に関わる数多くの筋肉が付いているため、肩甲骨を動かすことで多くの筋肉が働き、血液循環が良くなりいわゆる「こり」の解消につながります。また基礎代謝が高まるので、脂肪燃焼効果の高い「痩せ体質」な体を手に入れることができます。
今回は、肩甲骨周辺の筋肉が硬いと太りやすい原因と痩せ体質にするためのポイントをご紹介いたします。
肩甲骨周辺の筋肉群
肩甲骨周辺には、数多くの筋肉が存在しています。
大きく分けて、「アウターマッスル」と「インナーマッスル」に分かれます。
簡単にご紹介していきます。
肩甲骨周辺のアウターマッスル
肩は、股関節や膝関節のように大きな関節が骨に支えられている部分があるのに対して、肩関節は骨と骨との接触面が小さく、肩甲骨は鎖骨で下に吊り下げられている状態になっています。
要するに肩甲骨は背中で宙に浮いた状態で、実に頼りない構造になっています。その代わり関節可動域が広く自由度の高い関節になります。
肩の微妙な動きをコントロールしたり、関節と関節を繋ぎ合わせ安定性を保っているのがインナーマッスルですが、これをさらに覆って肩の強度を高めているのがアウターマッスルです。「僧帽筋」「広背筋」「三角筋」がこれに当たります。
肩甲骨周辺のインナーマッスル
肩関節のインナーマッスルは、総称「ローテーターカフ」とよばれ、肩甲骨と腕の骨である上腕骨をつないでいる筋肉になります。肩関節の形状はさまざまな方向に動かすことができる「球関節」に分類されます。
メリットとしては、さまざまな方向に動くことができ、腕を自由自在に動かすことができます。デメリットとしては、さまざまな方向に動くので、安定性か悪く関節が外れやすいことがあげられます。
ローテーターカフは、その安定性の悪い肩甲上腕関節をスムーズに動くよう安定させる役割を持ちます。「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つがこれに当たります。
肩甲骨周辺の筋肉群が硬くなる原因
筋肉が硬くなる原因は、二つです。「使いすぎ」と「使わなすぎ」が原因で筋肉は硬くなります。
肩甲骨の動きとしては、上下・左右・斜め上下の6つの動作があります。そして肩甲骨は、「腕を上げたところからさらに上げる」「腕を前に伸ばしたところからさらに伸ばす」など、ある程度大きく動かなければ働きません。
デスクワーク等で長時間、体を動かす機会が減ること、年齢と共に体の動き自体が小さくなってくることにより、肩甲骨が働かず、筋肉が徐々に硬くなります。
また先にお伝えしたとおり、肩甲骨は、股関節や膝関節のように大きな関節が 骨に支えられている部分があるのに対して、肩関節は骨と骨との接触面が小さく、肩甲骨は鎖骨で下に吊り下げられている状態になっています。
そのため、常に腕の重みに耐えていますので、姿勢によっては肩甲骨周辺の筋肉に負担をかけ、使いすぎにより硬くなることも考えられます。また、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れも筋肉の緊張を引き起こし、肩甲骨周辺の硬化を加速させる要因となります。
肩甲骨周辺の筋肉が硬いと太りやすくなる理由
肩甲骨周辺の筋肉が硬くなることで、太りやすくなる原因をいくつかあげていきます。
血流が悪くなる
私たちの体についている筋に気は、血液を送り出すポンプの役割を担っています。
しかし、運動不足等が原因で筋肉が硬くなることで筋肉が働かず、血流が悪くなります。
血行不良になると、内臓や細胞の動きが鈍り、代謝が低下します。 さらに老廃物も溜まりやすくなるので、結果的に脂肪の蓄積を招いて太る原因になってしまいます。
可動域が狭くなる
肩甲骨周辺の筋肉が硬くなると可動域が狭くなります。
すると、肩や腕の可動域が狭まり、筋肉量の減少から脂肪がつきやすい状態になります。
また血流も悪化するので老廃物が溜まりやすくセルライトができる原因ともなります。
姿勢が悪い
現代では、長時間のパソコンやスマートフォンの使用が増えたことにより、座っている時間が増え、日常生活で体を動かす機会が極端に減りました。
画面を覗き込むような姿勢で過ごしている時間が多いと、首、肩、背中などの筋肉がその姿勢のままこわばり硬くなります。実は首や肩、背なかには、脂肪を燃料させる筋肉が多く存在しているので、その筋肉が硬くなり、働かなくなると代謝が下がり、太りやすくなります。
熱を生み出し脂肪燃焼させる「褐色脂肪細胞」
肩甲骨の周囲には、「褐色脂肪細胞」が密集していると言われています。 もともと脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があると知られていました。
白色脂肪細胞には、血液中に増えた脂質や糖を取り込み、エネルギーとして蓄える働きがあります。脂質や糖を取り込みと、大きく膨らみ肥満を招きます。
一方、褐色脂肪細胞は反対の働きをし、脂肪を燃やし、熱を生み出す働きがあります。私たちの体では、唯一筋肉が熱を発生させますが、褐色脂肪細胞の熱生産能力は筋肉の70~100倍もあると言われています。
その褐色脂肪細胞は肩甲骨周辺や首の後ろ、わきの下などに密集していることがわかっています。そのため肩甲骨を普段から動かし、褐色脂肪細胞を活性化することで脂肪を燃焼し、体温を上げ、全身の代謝を高めることが可能になります。また、冷え性改善やエネルギー消費の効率化にもつながります。
参考動画
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
痩せ体質になるための習慣10選
痩せ体質を手に入れるためには、日常生活の中で小さな習慣を積み重ねることが重要です。以下では、肩甲骨周辺の筋肉を動かすこと以外に、痩せやすい体を作るための具体的な習慣を10個ご紹介します。
1. 朝一番にコップ一杯の水を飲む
起床後に水を飲むことで、体内の代謝を促進し、内臓機能を活性化させます。また、体温を上げることでエネルギー消費量も増加します。冷たい水ではなく、常温やぬるま湯が効果的です。
2. 食事の最初に野菜を食べる
食事の最初に野菜を摂ることで、食物繊維が血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぎます。また、食事全体のカロリー摂取量を減らす効果もあります。
3. タンパク質を意識して摂取する
筋肉を維持し、基礎代謝を高めるために、適量のタンパク質を摂取しましょう。鶏肉、魚、大豆製品、卵などの高タンパク質食品を毎食に取り入れることが大切です。タンパク質を摂ることで糖質過多を防げるのもタンパク質を摂取するメリットです。
4. こまめに体を動かす
座りっぱなしの時間が長いと、血流が滞り代謝が下がります。1時間に1回は立ち上がり、簡単なストレッチや肩回しを行うだけでも代謝が向上します。
5. 適度な有酸素運動を習慣化する
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、脂肪燃焼に効果的です。週に3~4回、1回30分を目安に行いましょう。継続がカギとなります。
6. 日光を浴びる
日中に日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進され、精神的にも身体的にもリズムが整います。朝の軽い散歩やベランダでのストレッチがおすすめです。
7. 睡眠の質を高める
質の良い睡眠は代謝を高め、脂肪燃焼ホルモンである成長ホルモンの分泌を促します。寝る前にはスマホやテレビの使用を控え、リラックスした状態で眠りにつきましょう。
8. 食べる時間帯に気をつける
夜遅い時間の食事は、脂肪が蓄積しやすくなります。夕食は寝る3時間前までに済ませることが理想です。また、朝食をしっかり摂ることで1日の代謝をスムーズにスタートさせましょう。
9. 深呼吸で代謝をアップ
ストレスや緊張で呼吸が浅くなると、体内の酸素量が減り、代謝も低下します。1日数回、ゆっくりとした深呼吸を行い、全身に酸素を取り込む習慣をつけましょう。
10. 筋トレを取り入れる
筋トレは筋肉量を増やし、基礎代謝を高める効果があります。特に太ももや背中の大きな筋肉を鍛えることで効率よくエネルギーを消費できます。自重スクワットやプランクなど、簡単な種目を毎日5~10分行いましょう。
痩せ体質になるためには、無理なダイエットではなく、日常生活の中で代謝を高める習慣を取り入れることが大切です。特に、肩甲骨を動かすことと合わせて、適度な運動や食事の見直し、睡眠の改善を意識することで、無理なく健康的な体型を目指せます。これらの習慣を少しずつ日常に取り入れ、継続していくことで、効率的に痩せやすい体を作り上げましょう。
まとめ
肩甲骨周辺の筋肉を動かすことは、血流を促進し、基礎代謝を高めるため、痩せ体質の体づくりに非常に効果的です。肩甲骨周辺のアウターマッスルやインナーマッスルが硬くなると、血流の悪化や可動域の減少、姿勢の悪化を招き、太りやすくなる原因となります。また、脂肪を燃焼させる「褐色脂肪細胞」が肩甲骨周辺に密集しているため、このエリアを動かすことで脂肪燃焼効果が大幅に高まります。
さらに、肩甲骨の動きに加え、痩せ体質を作るための生活習慣の見直しも重要です。朝のコップ一杯の水や野菜から始める食事、適度な有酸素運動や筋トレ、日光浴、質の良い睡眠などの習慣が基礎代謝を高め、脂肪燃焼を促します。また、深呼吸や食事のタイミング調整など、無理のない日常的なアプローチが長期的な体質改善につながります。
肩甲骨を動かすエクササイズや生活習慣の見直しを取り入れることで、健康的で痩せやすい体を手に入れましょう。日々の小さな工夫と継続が、理想の体型と健康への近道です。