パーソナルトレーナーが教える腕立て伏せ

パーソナルトレーナーが教える腕立て伏せ

上半身を鍛える筋トレ種目といえば、誰もが思いつくのが、「腕立て伏せ」ではないでしょうか? 特別な器具が必要ないため、取り組みやすいのが魅力です。自分の体重を負荷として、上腕三頭筋・大胸筋をはじめとした筋肉を鍛えることができる王道の筋トレです。

しかし、反動を使ったり、ただ漫然と腕を曲げ伸ばしするだけだと、ケガの原因となったり、せっかくの負荷が逃げてしまうことがあります。シンプルで基本的な動作を求められるからこそ、とにかく重要なのは、“正しいフォームで行うこと”です。

腕立て伏せで鍛えられる部位

腕立て伏せで鍛えられる部位は、おもに大胸筋、三角筋、上腕三頭筋と言われていますが、一番のメインは体幹部です。

そもそも、体幹とは、一般的に頭も含めた胴体全体のことを言います。部位としては、大胸筋、脊柱起立筋群、腹斜筋群、腹直筋、広背筋、臀筋部ととても幅広い部位を指しています。

フォームを頭から踵まで一直線に保たなければいけませんので、腹筋や背筋のインナーマッスルにも刺激が入ります。

腕立て伏せの正しいフォーム

腕立て伏せを効果的に行うには、正しいフォームで行うことが何よりも大切です。間違ったフォームで腕立て伏せを行うと、思うような効果を発揮することができないばかりか、関節を痛めてしまうことにもなりかねません。

しっかりと正しいフォームを身につけ、どこの筋肉に力がかかっているのかを意識しながら行いましょう。

一般的な腕立て伏せの方法

  1. 床に手と足をつけ、頭の先からつま先まで、一直線になるように体を真っすぐにする。
  2. 手の位置は、肩幅より少し広めに開き、胸の真横に手の平がくる位置に置く。
  3. 息を吸いながらひじを曲げ、体をまっすぐにキープしたまま下に下ろす。
  4. 息を吐きながら、体を上げる。

体幹部を意識した腕立て伏せの方法

  1. 床に手と足をつけ、頭の先からつま先まで、一直線になるように体を真っすぐにする。
  2. 手の位置は、肩幅より少し広めに開き、胸の真横に手のひらがくる位置に置く。
  3. 息を吸いながらひじを曲げ、体をまっすぐにキープしたまま、頭を少し前に移動させながら下ろす。この時、胸から下りるイメージを持つとやりやすい。
  4. 息を吐きながら、体を上げる。

腕立て伏せを行う時の注意点

体をまっすぐに保つ

腕立て伏せをする時には、お尻が上がったり下がったり、腰が反ったりなどしないように、体を一直線にして、真っすぐな姿勢を保つ。

肘をしっかり曲げる

ひじを曲げる時には、90度くらいになるまでしっかりと曲げて、体を深く下ろす。体を深く下ろすことによって、負荷を得やすくなります。

ひじが90度くらいになるまで、体を深く下ろせないという場合には、まだ通常の腕立て伏せを行えるほどの筋力がない可能性があるので、もう少し強度を下げた方法が必要となります。

呼吸を止めない

腕立て伏せの際の呼吸の基本は、「体を下ろす時に吸って、体を上げるときに吐く」です。ただし、呼吸を意識しすぎて動作に集中できない場合は、自然な呼吸でも構いません。

呼吸を止めてしまう方もいらっしゃいますが、動作中に呼吸を止めてしまうと、血圧の上昇にもつながるため注意が必要です。

毎日やってもいいが休息も必要

腕立て伏せは、毎日行っても問題ありませんが、負荷の掛け過ぎには注意しましょう。

翌日、筋肉痛があるときにトレーニングを行っても回復が追いつかないので、効果が上がりません。その場合は、無理をせずに休息をとるようにしましょう。

なぜ、腕立て伏せはこれほどまでに体力を向上させるのか

腕立て伏せは、シンプルで特別な器具が不要なトレーニングとして広く知られています。初心者でも取り組みやすい一方、上級者向けの高度なトレーニングにも応用可能です。この多様性と効果の高さから、体力向上に最適な種目とされています。ここでは、腕立て伏せが体力向上に優れている理由について説明します。

全身を動員する運動

腕立て伏せは、主に上半身の筋肉を鍛える種目ですが、体を一直線に保つために体幹や下半身の筋肉も関与します。これにより、全身の筋肉が協調して動作を行う「全身運動」となり、バランス能力や基礎的な筋力の向上に大きく寄与します。この特性が、日常生活で必要な総合的な体力の底上げにつながります。

自重を活用した効率的な負荷

腕立て伏せは、自分の体重を負荷として活用するため、器具がなくても十分な効果を得られます。さらに、初心者から上級者まで、以下のように負荷を調整できる柔軟性が特徴です:

  • 初心者:膝をついた状態で負荷を軽減。
  • 中級者:基本的なフォームで標準の負荷を適用。
  • 上級者:加重ベストや片手腕立て伏せで負荷を追加。

このような調整が可能な点が、幅広いレベルの人に効果的なトレーニングを提供する理由です。

心肺機能の向上

腕立て伏せは筋力トレーニングであると同時に、心拍数を上げる有酸素的な効果も期待できます。適切な回数とセット数を行うことで、筋肉だけでなく心肺機能を強化し、全身の持久力を高めます。これにより、日常生活での疲労が減り、活動量の増加にもつながります。

継続しやすいシンプルさ

腕立て伏せは、特別な道具や広いスペースを必要としないため、習慣化しやすいトレーニングの一つです。短時間で高い効果を得られるため、忙しい人でも取り入れやすいのが特徴です。この手軽さが継続を助け、体力向上に貢献します。

負荷のコントロールが容易

腕立て伏せでは、手の幅や体の角度を調整するだけで負荷を変えることが可能です:

  • ワイドスタンス:大胸筋に集中した負荷。
  • ナロースタンス:上腕三頭筋を重点的に鍛える。
  • インクラインやデクライン:体の角度を変えることで負荷を調整。

これにより、自分の目的や筋力レベルに応じたトレーニングを行うことができます。

体幹の安定性を強化

腕立て伏せでは、体を一直線に保つ必要があるため、体幹部が常に刺激を受けます。これにより、腹筋や背筋の安定性が向上し、日常生活や他の運動のパフォーマンスにも良い影響を与えます。特に、姿勢改善やスポーツ能力の向上に効果的です。

その他 心理的な効果と達成感

腕立て伏せは、回数や負荷の進歩が視覚的にわかりやすいため、達成感を得やすいトレーニングです。進歩を実感することでモチベーションが高まり、継続的な運動習慣を身につける助けとなります。これは、体力向上だけでなく、自己肯定感の向上やストレス軽減といった心理的な効果も期待できます。


腕立て伏せは、全身運動としての特性、自重を活用した負荷調整のしやすさ、心肺機能向上、体幹強化といった多くの利点を持つトレーニング種目です。また、手軽に取り組め、進歩が実感しやすいため、習慣化することで確実に体力を向上させることができます。初心者から上級者まで、それぞれのレベルに応じて取り組むことで、理想的な体力と健康を手に入れることが可能です。

4o不要で、簡単に始められる一方で、継続することで確実に基礎体力が向上します。初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせた方法で取り組むことで、効率的に体力を高めることが可能です。

腕立て伏せの種類(動画)

基本的な腕立て伏せを応用したメニューをご紹介します。

*音声が出ますのでボリュームにご注意ください

膝つき腕立て伏せ
ナロースタンス
ワイドスタンス

回数はどれくらいやればいい?

個人差もありますが、腕立て伏せの回数は、1セット10~20回くらいで十分です。腕立て伏せの回数は、多くすれば効果的だというわけではありません。腕立て伏せで大切なのは、回数よりも質が大切です。

たとえば、ひじを浅く曲げ、反動で速く動くような腕立て伏せをする方もいらっしゃいますが、そのような腕立て伏せをたくさんの回数こなしても、効果的に筋肉を鍛えることは難しいです。

しっかりと筋肉に負荷をかけた正しい腕立て伏せであれば、10~20回でも十分に効果を得ることができます。

自宅でできる腕立て伏せお役立ち器具10選

腕立て伏せは、特別な設備がなくてもできるシンプルなトレーニングですが、器具を活用することで効果を高めたり、バリエーションを増やしたりすることができます。ここでは、自宅での腕立て伏せに役立つ器具を10選ご紹介します。

1. プッシュアップバー

プッシュアップバーを使うと、通常の腕立て伏せよりも可動域が広がり、より深く胸や腕の筋肉に負荷をかけられます。また、手首の負担を軽減する効果もあります。

2. エクササイズマット

床で腕立て伏せを行う際、肘や膝への負担を軽減するための必須アイテム。滑り止め効果もあり、快適にトレーニングできます。

3. リストストラップ

手首の安定性を高め、負荷が集中するのを防ぎます。特に手首に不安がある方にはおすすめです。

4. 加重ベスト

負荷を追加したい場合に最適な器具。ベストを着用することで、自重以上の負荷をかけることができ、筋力アップや筋肥大に効果的です。

5. ヨガブロック

初心者が腕立て伏せの深さを調整したり、フォームを安定させるために使えます。高さを変えることで負荷を調整することも可能です。

6. バランスボール

バランスボールを利用すると、不安定な状態で腕立て伏せを行うことになり、体幹や小さな筋肉群を同時に鍛えることができます。

7. スライディングディスク

手や足をディスクに乗せて滑らせながら動作を行うことで、通常の腕立て伏せに動的な要素を加え、さらに多くの筋肉を刺激できます。

8. レジスタンスバンド

腕立て伏せにバンドを加えることで、動作全体に一定の負荷をかけることが可能です。特に負荷の調整がしやすく、筋力レベルに応じたトレーニングができます。

9. フォームローラー

腕立て伏せの準備運動やクールダウンとして筋膜リリースを行うためのアイテム。筋肉の柔軟性を保つことで、怪我の予防にも役立ちます。

10. スマートトレーニングデバイス

センサー付きのデバイスを使えば、腕立て伏せの回数やフォームの正確性を計測し、トレーニングの進捗を可視化することができます。


これらの器具を取り入れることで、腕立て伏せの効果を高めるだけでなく、トレーニングの幅を広げたり、モチベーションを向上させたりすることができます。自身のレベルや目標に応じて適切な器具を選び、無理のない範囲で取り入れてみましょう。継続的なトレーニングを楽しみながら、理想の体づくりを目指しましょう!

まとめ

自宅で気軽に、筋肉を鍛えることができる腕立て伏せですが、正しいフォームで行うことが大切です。間違ったフォームで、関節などを痛めることがないように注意しながら行いましょう。

また、腕立て伏せの回数をこなすことばかりに集中してしまうと、フォームが乱れ、効果的に筋肉を鍛えることができなくなるので、しっかりと筋肉に負荷をかけることを重視して、少ない回数でも、効果的な腕立て伏せができるよう心がけましょう。

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