ストレッチの効果や種類を徹底解説~バリスティック・PNF~

ストレッチの効果や種類について

寒くなると体は体温を逃がさないために強張ってしまい、普段よりも筋肉が硬くなってしまいます。

筋肉が硬くなってしまうと血流が悪くなり、体のいたるところで不具合が起こります。運動することで解消することは可能ですが、運動が苦手だという方にはストレッチで解消することがおすすめです。

今回はストレッチの効果や種類について解説していきます。

ストレッチを行うことのメリット

ここでは、ストレッチのメリットをいくつかご紹介していきます。

〇肩こりや腰痛の予防

肩こりや腰痛の原因の多くが、『スパズム』とよばれる筋・筋膜性の問題です。

筋肉は立っている時も座っている時も、寝ている時でさえもわずかに緊張しています。筋肉に緊張を与えるように命令を出しているのが脊髄です。

そして緊張を抑えるように調節しているのが、脊髄より上位にある脳です。脳の働きにトラブルが生じると筋肉の緊張が強くなってしまいます。

この筋肉の緊張ですが、長時間緊張の強い状態が続くと筋肉の細かい線維に流れるはずの血流が悪くなり、痛みを生じます。ストレッチを行うことで筋肉の線維や周囲の組織が伸ばされ、組織間にゆとりができ、血流が回復して痛みを軽減できます。

また、ストレッチには筋肉の緊張を緩める効果があります。これを『Ⅰb抑制』といいます。筋肉に緊張を与えている脊髄の神経に直接的に抑制の命令を出すことができるのです。ストレッチは中枢である脳の機能が落ちてもなお緊張をコントロールすることが可能です。

〇スポーツや日常生活動作のパフォーマンスアップと傷害予防

スポーツをされていた方なら当然のように準備運動としてストレッチをされたかと思います。ストレッチをした後とその前では体の軽さや動きが全然違ったと思います。ここで重要なのは筋肉は伸ばすことで筋肉の持つベストパフォーマンスを引き出すことができるということです。

私たちは仕事や家事、学校の授業などで同じ姿勢でいることが多く、筋肉が縮こまった状態でじっとしています。じっとしていると筋肉をはじめ、周囲の結合組織(筋膜や関節包、皮下組織など)が固まってしまいます。

こうなると血液の流れが悪く、筋肉も力が入りにくく、関節も動きにくい状態となってしまいます。特に筋肉は自然の長さでいる時に初めて最大の力を出すことができます。縮みきった状態や伸びきった状態というのは力が出にくいのです。

このような状態ではスポーツ動作や日常生活動作のパフォーマンスが阻害されてしまうばかりか怪我をしてしまう危険性もあります。継続的なストレッチをすることで、これらの組織の伸張性が改善され、ベストパフォーマンスを維持できます。

ただし、一度に強く長く伸ばすのは危険です。かえって力が出にくくなるので、一度のストレッチは気持ちよい程度の力で20秒以内にしましょう。

〇正しい姿勢づくり

正しい姿勢というのは体に負担がなく、次の行動に移す際の動作もスムーズに行うことができます。

誤ってお尻をプリッと突き出したり、胸を張り背筋を伸ばしたりする姿勢が流行った時期もありましたが、これは怪我のもとです。なぜなら、このような姿勢は背中や股関節前面の筋肉が過剰に働いた状態であり、過剰な筋肉の緊張は上述した、肩こりや腰痛を起こすばかりか、関節の位置も悪くしてしまいす。

また、背中を丸めた姿勢やお腹を突き出すような姿勢は体幹のインナーマッスルが働きにくい状態になっていますが、これらもストレッチで改善させることができるのです。

ストレッチの種類

ストレッチには種類があり、大きく分けると2種類(静的ストレッチ、動的ストレッチ)に分けられます。ここではもう少し細かく種類を分けて解説していきます。

〇 スタティックストレッチ

スタティックストレッチは、ごく一般的なストレッチです。ストレッチと聞くと、このスタティックストレッチを思い浮かべる人が多いと思いのではないでしょうか。

スタティックストレッチは反動をつけないでゆっくり行い、30秒~1分ほど同じ姿勢で止まってじっくり筋肉を伸ばすストレッチです。特徴は、まずは狙った筋肉をしっかりと伸ばすことができます。また、ストレッチの難易度も低く、運動初心者でも手軽にできます。

スタティックストレッチのメリットとしては、筋肉を安全にストレッチができるところです。また、寝る前やクールダウンなどのリラックスさせたい時のストレッチとしても有効です。

デメリットをあげるとすれば、ウォーミングアップには向かない点です。筋肉が弛緩して力が入りにくくなり、逆にスポーツパフォーマンスが落ちるとの報告もあります。

〇バリスティックストレッチ

バリスティックストレッチとは、反動をつけて行うストレッチです。スポーツなどの運動は反動をつけて行います。スポーツに限らず日常生活でも反動を使っています。

バリスティックストレッチの特徴は、反動をつけることでより強く筋肉をストレッチできることです。これにより、柔軟性を高める効果があがります。また、実際の日常動作やスポーツ動作に近い動きになりますので、普段の動作も変わります。

ただし、注意点もあります。
それは、スタティックストレッチと比べると筋肉を痛める危険性が高い点です。筋肉は伸び縮みする組織ですが、過度の伸び縮みや急激な伸び縮みは筋肉を痛めます。

そのため、バリスティックストレッチは先に軽いジョギングなどをして筋肉の温度を上げたり、先にスタティックストレッチである程度柔軟性を高めてから行うなどのバリスティックストレッチのための下準備が必要になります。

〇 ダイナミックストレッチ

ダイナミックストレッチとは、その名のとおり体をダイナミックに動かすストレッチです。

スタティックストレッチやバリスティックストレッチはある程度ピンポイントの筋肉を狙っているのに対し、ダイナミックストレッチは複数の筋肉を同時に動かします。限られた時間で運動をするには、細かく筋肉一つずつをストレッチしている時間はないので、効率的に行うことができます。

体の動きは特定の筋肉だけで動くわけではなく、複数の筋肉が一緒に働いて動きます。ダイナミックストレッチは日常動作やスポーツ動作に近いストレッチなので、スポーツのウォーミングアップにとても効果的です。短時間で効果的なストレッチが見込めますが、その反面難易度の高いストレッチです。

〇 PNFストレッチ

PNFストレッチとは、別名「固有受容性神経筋促通法」と言います。

このPNFストレッチのやり方は、徒手抵抗という形でパートナーが力を加えたものに対抗して力を入れます。短時間で柔軟性を大きく上げることができますが、自力でできないストレッチなので実際に行うにはいろいろな障壁があります。

専門的知識のない人が見よう見まねで行うと、狙った効果を引き出せないばかりか筋肉を痛める可能性もあります。また、PNFストレッチだけではストレッチ効果はすぐに戻りますので、ほかのストレッチと組み合わせて自力で最大可動域まで動かす必要があります。

ストレッチの種類

ストレッチの注意点

ストレッチを行う際の注意点がいくつかあります。注意点を守らなければストレッチの効果が十分に得られなかったり、逆効果になることがあります。

〇 呼吸をとめない

ストレッチ中は自然に呼吸を続けます。呼吸を止めると体は緊張状態になり、筋が硬くなるため、十分に筋を弛緩させることができなくなってしまいます。

また、呼吸を止めることで血圧が上がるなど体に負担がかかることがあります。ストレッチ中は鼻と口を使って細く長く呼吸をしながらリラックスした状態で、気持ちよく筋をストレッチしましょう。

〇無理をしない

ストレッチは「気持ちいい」範囲内で行います。

柔軟性が低く硬い場合、ストレッチを行うと痛みを伴うことがあります。ストレッチで痛みがある部位を過度にストレッチしてしまうことを「オーバーストレッチ」といい、筋を痛める原因になってしまいます。「痛気持ちいい」程度で行うともっとも効果が得られやすいです。

〇ストレッチしている筋を意識する

伸ばしている筋を意識することで、神経筋協応能( 神経と筋、関節、靭帯等の調和を取ること) が高まります。「今は〇〇を伸ばしている」とストレッチしている筋部位を意識することが大切です。

まとめ

ストレッチには種類があり、それぞれ特徴があります。ストレッチの特徴を知り、それぞれのストレッチをうまく組み合わせることが正しいストレッチ方法と言えます。

柔軟性を獲得したり、疲労を抜いたり、スポーツのウォーミングアップ・クールダウンのためなど、良い効果がたくさんありますので、ぜひ日々の生活のなかに取り入れてみてください。

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