筋トレというと、一昔前まではおもに、アスリートや男性が行う印象が強かったと思うのですが、最近では、女性がスタイルを改善・維持するために行ったり、高齢者の方が健康増進のために行ったりするなど、老若男女問わず幅広い年代の方々にも行われるものとなりました。
筋トレが、こんなにもたくさんの方々に浸透してきた理由は、体に及ぼすさまざまなすばらしい効果が認知されてきたからです。
今回は、筋トレの効果や種類、特にジム初心者の方におすすめの筋トレメニューなどを紹介します!
筋トレのおもな効果
おもな効果としては、みなさんご存じのとおり、筋肉が付いて太くなったり、筋肉が強くなってきたりすることなのですが、筋トレの効果はそれだけにとどまりません。
トレーニングでの体への刺激は、筋肉だけではなく、じつは骨にも加わっています。
無重力空間で生活している宇宙飛行士や、寝たきりの状態などが続くと、カルシウムの喪失が激しく、骨が弱くなるということはよく知られた事実ですが、このように、骨本来の「重さを支える」という役目を失った時、加速度的に骨は弱くなっていくのです。
ですから、体に負荷をかけてトレーニングをするということは、骨密度を上げ、丈夫な骨をつくってくれるというわけです。
そして、神経系(運動神経)の発達も筋トレの重要な効果です。
トレーニングをはじめてまだ間もない頃、筋肉は大きくなっていないのに、前よりも力がでるような感じがすることがあります。これは、脳からの指令がスムーズに筋肉に伝わりだしたということで、運動神経が発達したということなのです。
簡単に言うと、今まで使えていなかった筋肉が、トレーニングにより使えるようになったということです。
筋トレの種類① “マシントレーニング”
一般的なケースとして、自宅での自重トレーニング・ダンベルトレーニングを経験し、さらにレベルの高いトレーニングを目指してジムに通うようになった方が、最初に実施するのがマシンウエイトトレーニングです。
マシンウエイトトレーニングの特徴としては、あらかじめ動きの軌道が決まっているので、フォームの習得が比較的簡単ということです。そして、その軌道は合理的に筋肉に刺激が入るように設計されているので、メインの筋肉をピンポイントに鍛えることができます。
また、しっかりと体を固定できるのも特徴で、あまりバランスをとる必要がないので、怪我のリスクは極めて少なく、安全にトレーニングを行うことが可能です。
しかし、その反面、動作起動のブレを止めるための体幹インナーマッスルが鍛えにくいというデメリットもあります。
おもに代表的なマシンとしては、チェストプレスマシン(胸・大胸筋)、ショルダープレスマシン(肩・三角筋)、シーテッドローイングマシン(背中・広背筋、腕・上腕筋)、レッグプレスマシン(脚全体)、レッグカール(太ももの裏側・ハムストリングス)、レッグエクステンション(太ももの前側・大腿四頭筋)などがあげられます。
筋トレの種類② “フリーウエイトトレーニング
フリーウエイトトレーニングの特徴は、マシントレーニングとは対照的で、動きの軌道が決まっていないので、動きの自由度が高いという良さがある反面、正しいフォームの習得に少し時間がかかります。
ですが、軌道が決まっていないというのは、逆を言えばかなりバランスをとらなければならないということなので、メインの筋肉だけでなく、補助的な筋肉も同時に鍛えることができます。
また、体の使い方がスポーツ動作にとても近いので、競技力アップには大変有効なトレーニングです。ただし、上述したとおり、正しいフォームの習得が難しいため、最初はパーソナルトレーナーなどの専門分野の方に指導を受けることお勧めいたします。
また、自分の体重を利用してのトレーニングも立派なウエイトトレーニングです。専門的には、フリーエウイトトレーニングの一種でグラビティートレーニングと言います。
このトレーニングは、自分の体重だけで刺激を与えるためにより緻密なフォームが要求されます。もっとも自然な形での刺激になりますので、関節にほとんど負担をかけずに筋力の向上が望めます。
フリーウエイトの代表的なものとしては、バーベルとダンベルがあります。
バーベルは数ある筋トレ器具の中でもナンバーワンの効果を誇ります。
スクワット(下半身全体・体幹)、ベンチプレス(胸・腕・体幹)、デットリフト(下背部・臀部・脚部)のビッグスリーを始めとして、個々の筋肉を鍛えるための基本種目を行うにはバーベルが最適です。
また、ダンベルトレーニングは圧倒的に高負荷・高重量を筋肉にかけることができ、また、複数の筋肉を同時に鍛えるコンパウンド種目から、単一の筋肉を集中的に鍛えるアイソレーション種目まで、非常に種目数が豊富なのが特徴です。
ジム初心者におすすめの筋トレメニュー
ジムでトレーニングをする場合は、マシンや器具の混み具合からトレーニングの順番を決めることもあるでしょう。
しかし、筋トレは「どの種目から行うか」「どの部位から鍛えるか」という「順番」が効果を高めるためには大切で、一般的には「大きな筋肉から鍛える」のが良いとされています。
また、大きな筋肉を鍛えれば、それを補助している末端の小さな筋肉も同時に鍛えられます。
下半身であれば、スクワットやレッグプレスマシンがおすすめです。上半身でしたら、ベンチプレスやチェストプレスマシンです。
たとえば、ベンチプレスでは、メインターゲットとなる大胸筋以外にも、腕の上腕三頭筋や肩の三角筋といった、周辺の筋肉も間接的に鍛えられます。さらに細かく言えば、バーベルを握る指の筋肉など末端まで多くの筋肉が使われます。
このように、筋肉は連動しており、メインターゲット以外の筋肉も間接的に鍛えられます。これは、特定の筋肉に的を絞ったトレーニングマシンを使用しないかぎりは、多くの筋トレで言えることです。
体のなかでも、特に大きな大腿四頭筋・広背筋・大胸筋などを鍛えようとすると、必ず周辺の小さな筋肉も鍛えられるため、結果的に末端の筋肉まで負荷がかかります。
時間効率的にみても、小さな筋肉をこまめに鍛えるより、大きな筋肉から鍛えるのがおすすめです。
ジム初心者によくある質問
筋肉痛の場合は筋トレをしていいの?
筋肉痛は、筋肉が修復しているときに起こる痛みです。その点からすると、筋肉痛が出ているときには、その筋肉に大きな負荷をかけない方がよいでしょう。
また、筋肉痛がでていると「痛みで全力をだせない」「痛みで集中できない」「痛みで関節可動域が狭くなる」などのデメリットがあり、効果的にトレーニングを行えなくなってしまいます。
超回復理論では時間と密接な関係があり、筋肉がダメージを受けてからより強い筋肉をつくるまで48~72時間程度(2日から3日程度)の休養が必要だと言われています。
ただ、ジムへ行く習慣をつけるためのも休まないほうが良いです。筋肉痛でない部分のトレーニングや少しランニングやエアロバイクなどの有酸素運動をするのがおすすめです。
サウナやお風呂に入っていいの?
入浴には、運動後の疲労回復に重要な食事と睡眠を、血流促進という面でサポートし、より疲労回復の効率を高める効果があります。
プロのアスリートなどは入浴の効果に注目し、冷水浴や流水浴、温冷浴など、目的に合わせたメンテナンスを行っています。
温冷浴とは、お風呂で温まったら、冷たいシャワーをさっとかけて冷やし、またお風呂で温まる。これを2~3回繰り返すことで、体が自力で温めようとする力をよび起こすのです。水とお湯を体に交互に与えることで全身にある毛細血管が収縮・拡大し、血液の循環を促進させます。
また最近の研究では、少し熱めの40~42℃の温度の入浴で10分~20分温めると、「ヒートショックプロテイン(HSP)」という物質が筋肉中でつくられることがわかっています。
ヒートショックプロテインとは、ストレスで傷ついた細胞を修復し、元気にするたんぱく質の事です。体は“ストレス”と感じるが、細胞が死ぬほどではないマイルドなストレスを与えることで、体内のHSPが増え、傷や病気が治りやすくなったり、低体温体質が改善したりなど、さまざまな健康増進作用があることがわかってきています。
ただ長時間のサウナや肩まで湯船につかるのは逆に疲労が溜まってしまう可能性があるため、短時間のサウナや温冷浴、半身浴がおすすめです。
筋トレ前には何か食べたほうがよいの?
たとえばお腹がなるほどの空腹時は、血糖値が下がっている状態なので集中力やモチベーションの低下が予想されます。そこで運動をするとさらに低血糖となりますので、 あまりの空腹時はトレーニングに適しているとはいえません。
また、空腹時では副腎皮質ホルモンが激しく分泌され血糖を上げようとします。このホルモンは、筋肉や脂肪を分解してエネルギーを作ります。要するに、空腹状態で無理して激しいトレーニングをすると、燃料が足りなくなり筋肉や脂肪を切り崩してしまうのです。
このような作用を利用すると、皮下脂肪の多い人の場合なら、空腹時のトレーニングは脂肪がエネルギーとして使われ、効率の良いダイエットが行えます。
しかし、皮下脂肪が少ない人の場合は、注意が必要です。皮下脂肪が少ない人は、筋肉まで削られてしまうおそれがあるので、筋肉を鍛えるための筋トレで、筋肉が落ちてしまうということにもなりかねません。
お腹が空いている場合にはトレーニング1時間前を目安に、おにぎりやバナナなど、エネルギーになる糖質を摂取することをおすすめします。
プロテインは飲んだ方がいいいの?
トレーニング後は筋肉が損傷されます。それを修復するのがプロテイン(たんぱく質)です。
一般的に食事によるたんぱく質は消化・吸収に時間がかかりますが(場合によっては4時間近くかかります)プロテインは、あらかじめ消化・吸収しやすい状態に調製されているので胃腸への負担が小さく短時間で吸収され、トレーニングによってダメージを受けた筋肉に素早く栄養が補給されるので、筋肉の回復や筋力アップに大変効果的です。
飲むタイミングに関しては、トレーニングをする場合は、トレーニング直後30分以内がおすすめです。
トレーニング直後30分以内は「ゴールデンタイム」と言われ、もっとも体が栄養を吸収しやすい時間で、このタイミングでたんぱく質を摂ることが筋肉をつける一番の近道なのです。
ただ過剰摂取は内臓に負担をかけてしまうのと、カロリーオーバーになるおそれがあるので、注意が必要です。
まとめ
筋トレというと、専門的な動きと思われるかもしれませんが、日常生活で行っている動きを分解したものにすぎません。
もし、そうでなければ、日常生活ではない動きをトレーニングすることになってしまうので、非機能的な動きを訓練することになり、日常生活の動きがギクシャクしたものになってしまいます。
要するにトレーニング種目は、日常生活の動きを分解したものに負荷をかけて強化し、そして日常生活を楽にするという目的があるのです。
そういった観点からいくと、トレーニングジムの活用法は、ある程度の身体の使い方を身につけるまでは、パーソナルトレーナーのもとで、指導を受けることをおすすめします。
そこで、身体の使い方をしっかり訓練してもらい、そのうえで正しい使い方ができるようになって、マシントレーニングやフリーウエイトトレーニングで適切な負荷をかけて筋力を養っていきます。
やみくもに重いものをいきなり持ち上げて、筋力を鍛えるということはケガをして体を痛めてしまう可能性を否定できません。遠回りのように感じられるかもしれませんが、実はこれが身体づくりの最短距離になります。
筋肉の連動性を高め、体を効率よく使って行うフリーウエイトトレーニング、ベンチプレスのやり方をご紹介します。ぜひ参考にしてください。