筋肉痛の時に筋トレをしてもいいのか?

筋肉痛の時に筋トレをしても良いのか?

トレーニングの効果をだすため、基本的には筋肉痛がでている時には筋トレは行わないのが一般的です。ただし、一つに筋トレと言っても、重い負荷を持つような方法以外にいくつもの方法があり、筋肉痛の時でもできる筋トレもあります。

筋肉痛に対する正しい知識を知り、理解したうえで筋トレを行うことができれば、安全かつ効果的に日々筋トレを楽しむことができると思います。
今回は、筋肉痛に関する情報を皆さまにお伝えいたします。

筋肉痛のメカニズム

科学のこれだけ発達した現代でも、実は、いまだに筋肉痛のメカニズムが完全に解明されていません。このことについて驚かれる方も多いと思いますが、有力な説として次のようなことがあります。

トレーニングにより筋繊維を損傷すると、修復のために白血球を中心とする血液成分が集まります。この際に「炎症」が起き、刺激物質(ヒスタミン、セロトニンなど)が発生し、筋膜を刺激するのです。それが感覚中枢を介し、痛みとして感じ取られるとの理論が有力です。

そして、筋肉痛は大きく二種類に分けることができます。トレーニング中から痛みだす即発性筋肉痛と、トレーニングの翌日に痛み出す遅発性筋肉痛です。

筋肉痛の一般的な捉え方としては、「筋肉痛=遅発性筋肉痛」ではないでしょうか?
そこで、まず疑問なのは、なぜ時間差で筋肉痛になるのかということだと思います。

それは、海外の筋肉痛に関する論文では、「Glass of water」と比喩されるのですが、コップに入った水が「筋肉疲労」「刺激物質」でそれが溜まり、グラスから溢れた時にセンサーに引っかかり、痛みを感じると言われています。

実際に、筋繊維自体に痛みを感じるような神経は通っていなく、そこに血液が集まり、修復され炎症が起こり、それを筋膜が感じ取ることで痛みを感じます。

その痛みを感じ取るまでに時間がかかるので、トレーニングを行なってから、6~24時間後に筋肉痛がきたりします。逆にいうと、一般的に筋肉痛は、48~72時間(2~3日)で修復されていると言われていますが、最後の一日は筋肉痛を感じていても、筋肉の回復がすでに終わっているということもあります。

簡単にいうと、筋繊維に痛みを感じる神経が通ってなく、痛みを筋膜で感じているため多少の時間差がある状態ということになります。

筋肉痛になりやすいトレーニングとなりにくいトレーニング

筋肉は収縮することで力を生み、「てこ」の力で骨格を動かします。各筋肉は、骨につながっている点と点の間で、「張力」という引っ張る力を生み出して骨を動かしています。

筋肉は、いろんな力発揮の仕方でこの付着点を引っ張りますが、筋肉が力を生むのには三種類の形態があります。

コンセントリック・コントラクション

「短縮性動作」「短縮性収縮」という意味で、筋肉力を出しながら、短く縮まっていくことを指します。

スクワットをした時に、バーベルを押し上げる時にお尻の筋肉は収縮しています。この押し上げる動作をコンセントリック収縮といいます。

エキセントリック・コントラクション

「伸張性動作」「伸張性収縮」という意味で、筋肉が力を発揮しながら引き伸ばされていくことを指します。

スクワットをした時にバーベルを下ろしていく時に、お尻の筋肉は引き伸ばされています。この下ろす動作をエキセントリック収縮といいます。

アイソメトリック・コントラクション

「等尺性筋収縮」と言う意味で、関節が動いていないけど筋肉が収縮している状態のことをいいます。

たとえば、絶対に動かない壁を押したとします。その時、壁は動かないために関節は動きませんが、力は入り筋肉は収縮しています。この筋収縮をアイソメトリック収縮といいます。

そして、これらの筋肉の力発揮の仕方で、筋肉痛になる動作は、「伸張性収縮」がもととなり起こると言われています。短縮性収縮と等尺性筋収縮では、筋肉痛は起こりにくいという特徴があります。

このため、競技練習と並行して筋力トレーニングを実施するアスリートの場合、筋肉痛になると技術習得が困難になるため、短縮性収縮のトレーニングが好まれ、逆に、筋肉痛になることを重要視するボディビルディングなどでは、伸張性収縮の「ネガティブ動作」のトレーニングが好まれています。

ただし、筋肉痛の有無と筋肥大の関係については究明されていません。ちなみに、筋肉痛にならないと筋肉が発達しないのかというと、まったくそんなことはありません。筋肉痛があってもなくても、筋肉は発達することがわかっています。

筋肉痛の時、筋トレは避けるべき?

筋肉痛がある状態でトレーニングすると、筋肉痛の度合いが酷ければ酷いほど、筋力発揮に衰えがみられ、筋肉痛が強い時は、最大筋力発揮が通常よりも、20%Downするという研究結果があります。

筋肉痛がある時に力が出しづらいのは、感覚的にわかると思います。筋肉は、トレーニングで受けたダメージによって損傷します。損傷といっても、目に見えないくらいの細かい傷がつく程度です。トレーニング後に適切な休養と栄養補給を行うと、痛んだ筋肉が修復し、トレーニングをする前よりも強い筋肉が作られます。これを「超回復」といいます。

超回復は、時間と密接な関係があり、筋肉がダメージを受けてから、48~72時間程度(2~3日程度)休養が必要だと言われています。強い負荷でトレーニングをした時は、たくさんの筋肉が傷つきますので、さらに時間がかかる場合もあります。

その超回復の期間(48~72時間)の間で、筋肉痛がまだ残っている時にトレーニングをしてもよいのですが、筋肉痛がない状態と同じ負荷では実施することは難しくなりますので、重量設定を考慮しながら行う必要があります。

また、筋肉痛の時は可動域制限もでてきます。それは、トレーニングフォームに大きく影響してくる部分ですので、トレーニングフォームが乱れ、いつもと違うフォームになってしまうことが考えられます。たとえば、筋肉痛がある状態でストレッチをすると伸ばしづらいと思います。

ストレッチをしていて動作に影響がでるのであれば、トレーニングフォームにも当然影響がでてくるので、特に、多関節種目(スクワットやベンチプレス等)のような体を大きく使うようなトレーニングの場合、筋肉痛が酷ければ酷いほど、いつもと同じフォームではできないので、怪我につながるリスクをともないますのでご注意ください。

筋肉痛の時にできるトレーニング

基本的には行ってはいけないとされるトレーニングはありません。ただし、前述したとおり、筋肉痛になる前と同じ重量で筋肉に再度同じ刺激を入れるようなトレーニングは避けてください。(試しに行なってみてください。おそらく同じようにはできません)

超回復による筋肉の発達を妨げてしまい、超回復が終わらないままでトレーニングを続けると、筋肉自体が弱くなってしまうということもあります。もし、同じトレーニング種目を行うのであれば、重量を下げ、高回数で無理のない範囲で行うとよいです。

筋肉痛を緩和させる方法として、もっとも効果的な方法は「血流をあげること」です。トレーニングを行うことで損傷した筋肉に十分な血液が巡ることで、筋肉痛の回復をはやめてくれます。これを「アクティブレスト」といいます。積極的休養とよばれ、適度な運動を行なって血行を刺激し、肉体疲労の回復を図る休養法です。スポーツ選手も行うコンディショニング法の一つです。

筋肉痛時にできるトレーニングとして、等尺性筋収縮で行う自重トレーニングでは、動作がないので無理なく行えますし、また、動作をともなうトレーニングであっても、自重で行うトレーニングであれば、特に問題なく行えます。ウォーキング、ランニング、水泳等の有酸素運動も血流がよくなり、筋肉痛の治りがはやまり、オススメのトレーニングと言えます。

また、加圧トレーニングも筋肉痛時には、オススメのトレーニングです。加圧トレーニングとは、専用のベルトを足、腕の付け根に巻き、一時的に血流を制限して行うトレーニングのことです。

低負荷で行うため、筋肉を破壊して成長させるようなトレーニングとは違い、成長ホルモンの分泌を促して筋肉を成長させる手法です。加圧トレーニングを行うと筋肉も成長しますし、血流も良くなります。短時間で行うこともできますし、筋肉痛の回復をはやめることもできる、一石二鳥のトレーニングです。

ボディビルダーの方ですと、スプリットルーティン(分割法)と言って、一日に体の一部だけをトレーニングし、何日かに分けて全身をトレーニングするといった手法でトレーニングを行なっています。すると、各部位にしっかり負荷を入れるトレーニングを毎日行うことができます。

ただし、忙しい日々を送る現代人で、毎日トレーニングに費やす時間が確保できる方は、ほぼいないと思います。また、その時間を確保し、無理にトレーニングすることで日常生活に支障がでてしまっては、何のためにトレーニングを行なっているのかわからなくなり、本末転倒です。

トレーニングは、毎日行なうことが理想ですが、重い負荷を持ちあげるようなことだけがトレーニングではないので、その方の体の状況に応じたトレーニング種目を選択することが非常に大切になります。

まとめ

筋肉痛はトレーニングによって筋繊維が損傷し、修復過程で生じる炎症とそれによる刺激が痛みとして感知される現象です。筋肉痛には即発性と遅発性があり、一般的には翌日以降に感じる遅発性筋肉痛が主流です。痛みが遅れて現れる理由は、筋膜を通じて痛みを感じるまでに時間がかかるためです。

筋肉痛が起きやすいトレーニングは「伸張性収縮」(エキセントリック・コントラクション)を伴う動作で、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する動きが原因となります。一方、「短縮性収縮」(コンセントリック)や「等尺性収縮」(アイソメトリック)では筋肉痛が起こりにくいとされています。

筋肉痛時にはトレーニングを避けるべきという意見もありますが、必ずしも禁止されているわけではありません。適度な軽い負荷で行うトレーニングや有酸素運動は血流を促進し、筋肉痛の緩和や回復を助ける「アクティブレスト」として効果的です。また、加圧トレーニングのような低負荷で行う方法も回復を早める選択肢の一つです。

重要なのは、筋肉痛のメカニズムを理解し、適切な負荷とフォームで無理のないトレーニングを続けることです。これにより、筋肉痛があっても安全にトレーニングを楽しむことができるでしょう。

参考動画

四股バウンド
スタビライゼーション
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