肩甲骨が硬いといろいろな症状が現れます。代表的なものでいうと「肩こり」「首こり」「頭痛」などなど。つらい症状を緩和するためには、マッサージやストレッチが効果的です。
肩甲骨の柔軟性をあげたり、維持することで体のさまざまな不具合を解消することができ、健康が手に入ります。
今回は肩甲骨周りを柔らかくする簡単なストレッチをご紹介します。
肩甲骨の動きと役割
肩甲骨が硬くなると私たちの体にどのような症状が出るか解説します。
肩こりや首こりが起きる
肩甲骨まわりの筋肉が緊張してこわばると血流が悪くなって柔軟性が失われ、肩や首にこりが発生します。こわばった筋肉が血管を圧迫して疲労物質がたまると、痛みも生じやすくなります。
基礎代謝が落ち、太りやすくなる
肩甲骨まわりの筋肉が硬くなって動きが悪くなると、筋肉が衰え、基礎代謝が低下します。そのため脂肪が燃えにくくなって太りやすくなり、背中や二の腕にも脂肪がつきやすくなってしまいます。
四十肩、五十肩になりやすい
肩甲骨が外に開いたまま硬くなった状態で腕を上げると、上腕骨上部の大結節という部分と肩峰(肩先の出っぱった骨)がぶつかり痛みが出ます。これが腕を上げると痛みが出る四十肩や五十肩になります。
冷えやむくみが生じやすい
肩甲骨まわりの筋肉が硬くなると血流が悪くなるため、全身の血流も悪くなって体が冷えやすくなります。脚などの末端部も血行不良になるため、むくみも生じやすくなります。
姿勢がくずれる
パソコンやスマホを見て猫背の前かがみ姿勢が続くと、肩甲骨が外に開いたまま固まり、常に背中が丸くなってしまい、全身の姿勢もくずれやすくなります。
インナーマッスルも鍛えよう
肩のインナーマッスルは肩関節の安定をさせる役割を果たしています。おもに棘下筋・棘上筋・肩甲下筋・小円筋の4つで構成されているので、バランスよく動かしましょう。
棘上筋(きょくじょうきん)
棘上筋は肩関節の安定性に貢献しているローテーターカフを形成している筋肉の一つです。ローテーターカフを形成している筋肉の中でも特に重要な筋肉として位置づけられています。
棘下筋(きょくかきん)
棘下筋は肩関節の外旋に貢献している肩のインナーマッスルであり、腕を外向きに捻る動作に貢献しています。投げる動作を必要とするスポーツを行う際に用いられ、ボールを投げる動作はもちろん、テニスなどのラケットスポーツにおいても重要な筋肉です。
肩甲下筋(けんこうかきん)
肩甲下筋は肩甲骨の裏側に位置し、肩関節を内旋する役割を果たしているインナーマッスルです。体の内側に腕を動かす動作である内旋は野球やテニスなどの球技のパフォーマンス向上にも効果を期待することができます。
小円筋(しょうえんきん)
小円筋は肩甲骨の外側から上腕筋に付着していて、肩甲骨の外旋に貢献しているインナーマッスルです。肩甲骨の外旋は腕を外方向に捻る役割をさします。
この動きは他の肩のインナーマッスルと同様、ボールを手で扱う球技には不可欠の動作です。それらのスポーツのパフォーマンスを向上させたいという方におすすめです。
肩甲骨の柔軟性と健康の関係性
肩甲骨の柔軟性は、体全体の健康と深い関わりがあります。肩甲骨が硬くなると、肩こりや首こり、頭痛といった不調だけでなく、姿勢の悪化や基礎代謝の低下など、体全体にさまざまな影響を及ぼします。一方で、肩甲骨の柔軟性を高めることで、健康的な体と快適な日常生活を手に入れることが可能です。
肩甲骨の硬さが引き起こす症状
- 肩こり・首こり
肩甲骨周辺の筋肉が緊張して硬くなると、血流が悪くなり、筋肉に疲労物質が蓄積。これがこりや痛みを引き起こします。 - 基礎代謝の低下
筋肉が硬くなり動きが悪くなると、筋肉量が減少し基礎代謝が低下。脂肪が燃えにくくなり、太りやすい体質になる可能性があります。 - 冷え性やむくみ
血流が悪くなることで体全体の血液循環が滞り、冷えやむくみが生じやすくなります。 - 四十肩・五十肩のリスク
肩甲骨が硬い状態で腕を上げると、骨同士がぶつかり痛みが発生。これが四十肩や五十肩の原因となります。 - 姿勢の崩れ
肩甲骨の柔軟性が失われると、猫背になりやすくなり、全身のバランスが崩れることでさらに筋肉の負担が増します。
肩甲骨の柔軟性を高めるメリット
- 血流改善
肩甲骨周辺を柔らかく保つことで、血行が良くなり、肩こりや首こりの改善につながります。 - 基礎代謝の向上
肩甲骨周りの筋肉を動かすことで、筋肉量を増やし、基礎代謝を高める効果が期待できます。これにより、脂肪燃焼が促進され、痩せやすい体質に近づきます。 - 冷え性・むくみの予防
柔軟性を高めることで血液やリンパの流れが改善され、体温を維持しやすく、むくみの予防にもつながります。 - 姿勢改善
肩甲骨の可動域が広がると、自然と背筋が伸び、猫背や巻き肩の解消につながります。良い姿勢を保つことで、全身の筋肉バランスが整い、疲労しにくい体になります。 - スポーツパフォーマンスの向上
肩甲骨の柔軟性は、腕を大きく動かす動作に直結します。野球やゴルフ、テニスなど、肩の動きを必要とするスポーツにおいて、パフォーマンス向上が期待できます。 - 褐色脂肪細胞の活性化
肩甲骨周辺には褐色脂肪細胞が多く存在します。これらの細胞は、脂肪を燃焼して熱を作り出す働きを持っています。肩甲骨を動かすことでこれらの細胞が活性化し、エネルギー消費が増加します。
肩甲骨を柔らかくする習慣 15選
肩甲骨の柔軟性を高めることは、肩こりや首こりの解消、姿勢改善、基礎代謝向上、さらには冷え性やむくみの予防にもつながります。肩甲骨周辺の筋肉を柔らかく保つために、以下の15の習慣を日常に取り入れてみましょう。
1. 毎朝の肩甲骨ストレッチ
起床後に肩甲骨を動かすストレッチを習慣にしましょう。両腕を頭の上に伸ばして左右に倒したり、肩を回す動作を繰り返すことで、肩甲骨周辺の筋肉がほぐれ、血行が促進されます。
2. 肩甲骨回し運動
1日3回程度、肩甲骨回しを取り入れます。両肩を耳に近づけるように持ち上げ、後ろに大きく回す動作を5~10回繰り返すことで、肩甲骨周辺の筋肉が柔軟になり、こりの解消に効果的です。
3. 正しい姿勢を意識
猫背や前かがみの姿勢を避け、背筋を伸ばすよう心がけましょう。耳、肩、腰が一直線になる姿勢を維持することで、肩甲骨の位置が整い、可動域が広がります。
4. タオルエクササイズ
タオルを肩幅より少し広めに持ち、頭上でタオルを引っ張る動作を繰り返します。これにより肩甲骨を引き寄せ、周辺の筋肉がほぐれると同時に、姿勢改善にもつながります。
5. ヨガの猫のポーズ
四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたりする「猫のポーズ」を行います。肩甲骨と背骨の柔軟性を高めるだけでなく、深い呼吸を伴うことでリラックス効果も得られます。
6. 胸を開くストレッチ
両手を背中で組み、胸を大きく張る動作を10~20秒キープするストレッチです。肩甲骨を自然に引き寄せ、胸を開くことで、肩甲骨周辺の筋肉をほぐします。
7. 入浴後のストレッチ
体が温まり筋肉が柔らかくなった状態で行うストレッチは効果的です。入浴後に肩甲骨を引き寄せる動作や、背中で両手をつなぐようなストレッチを行いましょう。
8. 軽い有酸素運動
ウォーキングやジョギングなど、有酸素運動を習慣にすることで、肩甲骨周辺の血流が良くなり、筋肉が柔らかくなります。特に腕を大きく振りながら歩くと効果的です。
9. 深呼吸を習慣化
肩甲骨の動きと横隔膜の動きは関連しています。深呼吸をすることで、胸郭が広がり、肩甲骨が自然に動くため、筋肉がほぐれます。
10. 静的ストレッチ
静止状態で筋肉を伸ばす静的ストレッチは、肩甲骨周辺の柔軟性を高めるのに効果的です。肩甲骨を意識しながら、動きをゆっくり行いましょう。
11. インナーマッスルのトレーニング
肩甲骨周辺のインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)を鍛えることで、肩甲骨の安定性と可動性が向上します。例えば、軽いダンベルを使った外旋運動が効果的です。
12. デスクワーク中の小休憩
長時間のデスクワーク中には、1時間ごとに小休憩を取り、肩甲骨を動かすストレッチを行いましょう。デスクの椅子に座ったままできる簡単なストレッチを取り入れるだけでも、肩甲骨周辺の筋肉をほぐすことができます。
13. 肩甲骨剥がしセルフマッサージ
肩甲骨の内側や僧帽筋を指で押したり、ゴルフボールやマッサージボールを使ってセルフマッサージを行いましょう。筋肉の緊張を和らげ、血流を促進します。
14. 筋膜リリース
筋膜ローラーを使って肩甲骨周辺をほぐすと、筋肉が柔らかくなり、肩甲骨の可動域が広がります。肩甲骨の周辺をゆっくりとローラーで刺激することで、効果的に筋肉を緩めることができます。
15. 簡単な体操を日常に取り入れる
例えば、「背伸び体操」を日常的に取り入れます。両腕を真上に伸ばし、肩甲骨を意識して大きく伸びる動作を数回繰り返すだけで、肩甲骨周辺の筋肉が刺激されます。
肩甲骨を柔らかくすることのメリット
肩甲骨の柔軟性を高めることは、肩こりや首こりの緩和だけでなく、基礎代謝の向上や姿勢改善、冷え性やむくみの解消など、多くの健康効果が期待できます。これらの習慣を日常に取り入れ、肩甲骨の柔軟性を維持することで、体の不調を予防し、快適な毎日を手に入れましょう。
肩甲骨ストレッチ動画
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
まとめ
まずは、姿勢を正すことが何より重要です。そして、肩甲骨を正しい位置に戻すことが必要になります。
そのためには、肩甲骨周りの筋肉をほぐして可動域を広げることが重要です(ストレッチ、筋トレ、マッサージなど)。肩甲骨を意識して回したり、上下・内外転方向に動かしてあげると効果的です。
また、褐色脂肪細胞というものがあり、肩甲骨周辺に多く存在します。褐色脂肪細胞は筋肉のような働きをして白色脂肪細胞(ぜい肉)を燃焼して熱に変換し、消費カロリーを増加させる働きがあります。肩甲骨を積極的に動かすことで、ダイエットにも効果が期待できます。
肩甲骨のストレッチや運動を行い、健康な体を手に入れましょう!