普段、「なんだか疲れがたまっているな」「疲れがとれないな」と感じることはないでしょうか。疲労回復のためにいろいろ試しても、なかなか疲れを解消できずに悩んでいる方も多いと思います。
今回は、疲労回復に役立つサプリメントについて解説していきます。
そもそも疲労とは? 疲労の仕組みを解説します
疲労とは、痛みや発熱とともに体の3大アラームだと言われています。わたしたちが疲労を感じるのは、過剰な活動により疲れはててしてしまうのを防ぐためなのです。疲労というアラームを感じ取ることで、無理をしすぎる前に休息の必要性を知ることができます。
日本疲労学会による疲れの定義では、「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」とされています。
人間の体は、ストレスや運動不足、睡眠の乱れ、病気などさまざまな原因によって、疲労を感じるようになっています。しかし、疲労を自覚していても、それを引きずっている人は少なくありません。
平成23年厚生労働省が発表した『ストレスに関連する症状不調の確認項目の試行的実施』では、翌朝に前日の疲労を持ち越すことが「時々ある」人の割合は47.2%、「よくある」が18.9%、「いつも持ち越している」のは6.8%でした。つまり、7割の人が体の疲れを感じており、疲労を翌日に引きずっていることがある、という結果でした。
以前は、運動すると乳酸が増加して疲労が引き起こされると考えられていましたが、現在では、乳酸は運動時のエネルギー源になると同時に、筋収縮の低下を防ぐ働きがあり、疲労の原因物質ではないと考えられています。
また、運動した後に感じる疲労は、脳内のセロトニンという物質が増えるため、とする説もありました。しかし最近では、セロトニンそのものではなく、セロトニンの材料となるトリプトファン、あるいはトリプトファンの代謝物であるキノリン酸などが疲労に関与しているとされています。
疲労回復に効果のあるサプリメント(栄養成分)
疲労が蓄積している時は特に、バランスの良い食事が重要になります。しかし、食欲が出なくて食べれなかったり、食品ではなかなか摂取しにくい栄養素もあります。
そんな時は、サプリメントなどの栄養補助食品も活用するとよいでしょう。疲労回復に良いとされるのは次のような食品や成分です。
肉、魚、卵に多いタンパク質
仕事や運動で酷使された筋肉は傷ついた状態であり、疲労につながります。
タンパク質はアミノ酸の元ですが、体内で合成できない成分もあり、食事やプロテインなどで補給し筋肉を修復する必要があります。プロテインには「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」がありますが、もっとも吸収が早くアミノ酸スコアの高いホエイプロテインがオススメです。
豚肉やレバー豆類に多いビタミンB1
糖分をエネルギーに変える時に必要なビタミンです。不足するとエネルギー不足となり、疲労となってしまいます。また筋肉や神経の疲れも緩和する作用もあります。
疲労回復と同時に免疫力も高めるビタミン群
疲労回復に良いとされるビタミンにはビタミンA、ビタミンB群、ビタミンCなどがあげられます。これらのビタミン群は、体が疲労回復する過程で効果を発揮します。
体が疲れ切っている状態でこうしたビタミン類が不足すると、私たちの体の免疫機能が落ち、皮膚や粘膜がボロボロになり、結果として感染症にかかりやすくなります。
ビタミンAやビタミンB群、ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持のほか、免疫などの機能に関わっているため、適切に摂ることで疲労回復中の感染症予防にも役立ちます。
不足しやすい鉄分
血液は体中に酸素や栄養を運ぶ役目を持ちますが、その原料が不足していればいくら酸素を取り込み、血行を促進しても体に負担がかかります。疲労も解消しにくくなるため、鉄分は積極的に補いたいところです。
鉄には「ヘム鉄」「非ヘム鉄」「キレート鉄」の三つがあり、中でもキレート鉄がオススメで、鉄分の吸収を高めるアミノ酸やクエン酸を、非ヘム鉄に結合することで作られる比較的新しい成分として、アメリカのサプリメントでも人気の成分です。吸収経路がヘム鉄や非ヘム鉄と異なり、吸収率がとても高いので、効率的に鉄分を摂り入れたい方に人気です。
体内のエネルギー代謝時に重要なクエン酸
クエン酸とは、ヒドロキシカルボン酸の「α₋ヒドロキシ酸」の一種で、酸味成分の一種で酢やレモンなどの柑橘類に多く含まれる有機酸です。体内において重要な働きがあり、クエン酸回路にてエネルギー生産に関与しています。
エネルギー代謝とは、エネルギーを得る過程のことで、生命維持に必要な体内で起こる化学反応です。このエネルギー代謝でできたクエン酸が呼吸の酸素と反応し、水と大量のエネルギーを発生し、生命活動に欠かせないエネルギー源となります。この回路をクエン酸回路といい、強度の強い運動(長距離マラソンなど)で使われます。
鶏の胸肉に多いイミダゾールペプチド
イミダゾールペプチドはアミノ酸結合体の一種でもっともエネルギー消耗の激しい部分に含まれる成分です。体内で、β‐アラニンとヒスチジンに分解されますが、脳や筋肉など必要な個所で再合成されます。
イミダゾールペプチドは、人間を含むさまざまな動物がもともと持っている成分ですが、中でも、多くのイミダゾールペプチドを持っている動物が、回遊魚や渡り鳥です。特に、渡り鳥は翼を動かす胸の筋肉に豊富なイミダゾールペプチドを持っていることで知られています。渡り鳥が、1年間で3万㎞以上も移動できるのは、翼を動かす胸の筋肉にたくさんのイミダゾールペプチドを持っているからと考えられています。
肉類や青魚に多いコエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、睡眠の質を上げたり脳の機能を改善するとされています。また筋肉に疲労が溜まりにくくなるともされていますが、食品からでは少量しか摂れないため、吸収の良い還元型サプリメントがおすすめです。
腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌
腸内環境を整えるとストレスなどから起こる睡眠障害を改善できるとされています。睡眠不足は疲労を蓄積する原因にもなるため、腸内環境を整えられる乳酸菌やビフィズス菌が有効です。
アデノシン三リン酸(ATP)合成に必要なα-リポ酸、L-カルニチン、パントテン酸
ATPは私たちの体を動かすエネルギー源です。細胞の中にあるミトコンドリアがブドウ糖と脂肪酸を燃料にしてATPを作り出します。
ブドウ糖を燃料として取り込むには、ビタミンB1とα-リポ酸が必要です。脂肪酸の場合は、L-カルニチン(アミノ酸)とパントテン酸(ビタミンの一種)が必要となります。
参考動画
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
まとめ
疲労回復のためにおススメの、栄養素とサプリメントをご紹介しました。
疲れは、「休息をとったほうがいい」という体からのSOSです。放置していると疲れがたまって、体調を崩し、健康を損ねてしまいます。睡眠などをとるなどして休むことが第一ですが、しっかりと栄養を取ることも大切です。
どうしても食事が摂れないこともあるかと思います。そんな時はサプリメントを活用すると良いでしょう。普段から疲労回復効果のある栄養素を取っておけば疲労しにくくなるので、積極的に摂ることがおススメです!