疲労回復のヒント

疲労回復のヒント

寝ても疲れがとれなかったり、疲れのせいで体調を崩したりしてこの「疲れている状態」を当然のように受け入れている方が多いと思います。

しかし、「疲労」は健康管理に悪影響を及ぼす危険因子の一つであり、頑張って運動を続けても疲労への知識や理解がなければ、せっかくの努力を台無しにするおそれもあります。

今回は疲労の回復方法について解説します。

そもそも疲労とは?

疲労は、痛みや発熱と同様に「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という人間の生体における警報の一つと言われています。

疲労は、人間が生命を維持するために体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)の一つとして、痛みや発熱などと並んでそれ以上の活動を制限するサインとして働いています。

そもそも疲労とは?

なぜ疲労が回復しないのか?

疲労は、私たちに休息の必要性と体の異常を教えてくれる重要な警報装置です。本来は一時的なものであり、睡眠や休息を取ることで回復することができると考えられています。

疲労感がまったく解消しないという人は、知らず知らずのうちに疲労が慢性化しているのかもしれません。疲労が回復しない要因には、体調や精神状態、日常の生活習慣が大きく関わっており、そのまま長引かせてしまうと病気を引き起こしてしまう可能性もあります。

自分でできる疲労回復法

そのときの疲労度合いによって回復に適した内容も変わってきます。疲労の段階によって、自分ができることを探してみましょう。

ここでは休養・食事(栄養)・運動の必要性とアプローチ法を取り上げます。

自分でできる疲労回復法

休養

疲労をためずに心身の健康を保つためには、適切な「休養」をとることが重要です。「休養」の「休」と「養」にはそれぞれ異なる意味があります。

「休」は、労働や活動などによって生じた心身の疲労を、休んだり眠ったりすることで解消して元の活力を持った状態に戻し、健康な状態を保つことです。特に睡眠は「休」の大事な要素ですが、睡眠のとり方によっては、逆にだるくなったりするので、注意が必要です。

一方、「養」は、適度な運動や趣味の活動などで心身をリフレッシュし、明日に向かっての英気を養うことで、積極的休養とも言います。

「休む」ことと「養う」ことの両方の要素をバランスよく組み合わせることで、疲労を回復させることができます。

睡眠

良質な睡眠ができると脳細胞が休まり、全身の新陳代謝・疲労回復が図られます。一日に理想的な睡眠時間は6~8時間前後といわれていますが、十分な睡眠時間がとれているのならば、時間にこだわる必要はありません。

お風呂

入浴には体を休めるリズムをつくることができます。熱め(41~42℃)の入浴は起床時にさっと体を起こす効果があるのに対し、ぬるめ(38~40℃)の入浴は、副交感神経が優位になるため、睡眠前のリラックスに効果的です。

瞑想

瞑想は心身療法の一つとされています。ストレス軽減や感情のコントロールに有効な精神統一法であり、心のバランスを整えるために効果的です。

瞑想法にはさまざまな種類があり、健康増進のみならず体の症状を緩和・回復に働きかけるものもあると研究が進んでいます。

米国政府調査によれば、不安感・痛み・うつ病・ストレス・不眠症・慢性疾患(心臓病、HIV/AIDS、がんなど)およびその治療と関連している可能性のある身体的または心理的症状など多くの疾患の対策に瞑想が活用されています。

香り

香りはリラックスを促してくれるので、生活にも簡単に取り入れることができます。専用の器具がなくても、入浴時に好みのアロマオイルを湯船に数滴落とすだけで香りが漂い、癒しの効果を期待できます。

自然

森や山の中を歩くことでリフレッシュ・リラックスすることができたという経験がある方も多いと思います。森林浴で眠気やだるさなど身体的症状の改善や、ストレスからくるマイナスな自覚症状を下げられることが最近の研究でわかっています。

また、マツなどの樹木から発散される「フィトンチッド」とよばれる成分は細菌やウイルスの繁殖といった殺菌効果だけでなく、香りからのストレス解消効果もあり、血圧低下や免疫力を高める効果の研究も報告されています。

食事

疲労状態の体は筋肉が固まって血行が悪くなり、細胞に栄養を運べなくなったり老廃物を排出したりすることも困難になります。

むしろ体を動かすことによって、全身の血行を良くし、体内にたまった疲労物質を取り除く効果が期待されています。このように積極的に体を動かして疲労を軽減させる方法を「アクティブ・レスト」といいます。

軽めの有酸素運動

軽めのウォーキングやジョギングなどは呼吸循環器系を活発化させ、筋肉を刺激して血行が良くなります。無理のない強度の運動を続けると脳内物質のセロトニン(不足すると疲労感・抑うつ状態、不眠なども招く)が増え、心も落ち着きます。

ストレッチ

縮んでしまった筋肉をゆっくり伸ばすことで血流を高め、筋肉への酸素・栄養供給を促進し、疲労回復を早めてくれます。ゆったりとした呼吸で行うことが効果的です。体が温まっているお風呂上りなどに行うと、より筋肉が柔らかくなりやすく、効果が期待できます。

マッサージ

筋肉を揉んだりさすったりするマッサージは、血液やリンパの流れをよくすることで、老廃物を除去する効果があります。

自分でもマッサージは可能ですが、人の手に委ねてほぐしてもらうことで、リラックス効果の高まりが期待できます。痛みを感じるほどのマッサージはかえって筋肉を緊張させてしまうので、気持ちよく呼吸ができる程度の強さがおすすめです。

疲労回復に役立つ書籍 15選

  1. 『疲れない体をつくる免疫力』 池谷敏郎 疲れの原因を体の免疫力低下と捉え、日常生活で取り入れられる食事や運動の工夫を紹介。免疫力を高めることで疲労に負けない体をつくるヒントが得られる。
  2. 『疲れない脳をつくる生活習慣』 久保田競 脳科学の視点から、疲労を防ぐための生活習慣や思考法を解説。脳の働きを最適化する具体的な方法がわかりやすく書かれている。
  3. 『スタンフォード式最高の睡眠』 西野精治 質の高い睡眠が疲労回復に不可欠であることを解説したベストセラー。スタンフォード大学の研究をもとに、効果的な睡眠の取り方を紹介している。
  4. 『脳疲労をとるストレスフリー習慣』 有田秀穂 慢性的な疲れやストレスに悩む人に向けて、脳の疲労を軽減する方法を提案。特にセロトニンを増やすための習慣づくりに焦点を当てている。
  5. 『疲れないカラダづくり』 中野ジェームズ修一 スポーツトレーナーが提案する、効率的に疲労を回復するためのエクササイズや食事法を網羅。運動初心者にも取り入れやすい内容。
  6. 『図解 疲れない習慣』 小林弘幸 自律神経のバランスを整えるための実践的なアドバイスが満載。図解でわかりやすく、すぐに生活に取り入れられる工夫が盛り込まれている。
  7. 『疲れない食事』 奥田昌子 食事が疲労に与える影響を解説し、疲労回復に効果的な食材や栄養素を紹介。レシピも豊富で、実践的な内容が魅力。
  8. 『ストレスを消す技術』 有川真由美 ストレスを取り除くことで、疲労から解放されるテクニックを解説。日常的なストレスの解消法や考え方の転換を提案する一冊。
  9. 『休む技術』 鶴見隆史 「休むこと」そのものをテーマに、適切な休息の取り方を解説。無理なくリフレッシュできるヒントが多く、疲れた心身を癒すための方法が書かれている。
  10. 『しないことリスト』 イライジャ・ナスカン 忙しい現代人に向けて、やるべきことよりも「やらないこと」を選択する重要性を提唱。心の負担を減らすことで、疲れにくい生活を手に入れられる内容。
  11. 『やめる習慣』 古川武士
    やめるべき習慣に焦点を当て、ストレスや疲労の元を断ち切る方法を解説。疲労の原因をシンプルに取り除くためのヒントが詰まっている。
  12. 『人生を変えるモーニングメソッド』 ハル・エルロッド
    朝の過ごし方を変えることで、1日をポジティブにスタートさせるテクニックを紹介。疲労感の軽減だけでなく、精神的な充実感を得る方法が書かれている。
  13. 『疲れを取る1分間呼吸法』 クラウディア・ウェルチ
    簡単な呼吸法で疲れをリセットする方法を紹介。科学的根拠に基づいたリラクゼーションテクニックで、仕事や家庭の合間にも実践しやすい。
  14. 『脳が疲れない習慣』 茂木健一郎
    脳の疲労を回避し、生産性を向上させる方法を解説。日常生活で取り入れられる具体的なアイデアが満載で、読んでいるだけでもエネルギーをもらえる一冊。
  15. 『しなやかに生きる心の片づけ』 枡野俊明
    心の疲れを整理し、しなやかに生きるための方法を禅の視点から提案。物理的・精神的な整理整頓を通じて疲れにくいライフスタイルを築くアイデアが書かれている。

まとめ

疲労は体からの重要な警告であり、適切に対処しなければ健康や日常生活に悪影響を及ぼします。本来、睡眠や休息で回復できるものですが、慢性的な疲労は生活習慣やストレス、不適切な栄養摂取などが原因で解消しにくくなることがあります。

疲労回復のためには、質の良い睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理が不可欠です。また、読書を通じて疲労のメカニズムを理解し、実践的な解決策を学ぶことも有効です。

疲労に関する書籍では、生活習慣の改善法やストレス軽減、体調管理の方法が具体的に解説されており、自分に合った方法を見つける手助けになります。

参考動画

*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。

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