ランニングをする方は、年々増えています。シューズがあれば、一人で簡単にはじめられ、体力がついたり、痩せたりと目にみえた効果がでやすいことが、人気の理由でしょう。また、大会などに出場し、完走すると、普段では味わえない達成感や、爽快感が得られるのも要因の一つです。
しかし、膝痛等の怪我に悩まされている方も多いと思います。
今回は、ランニングを楽しむために必要なことを解説していきます。
なぜ、怪我をしてしまうのか
一般ランナーで、もっとも多い怪我は、「膝痛」。通称ランナーニーと言われます。多くが数キロ走ったら膝の外側が痛みだし、数日歩くことも辛いいといった症状です。外側だけでなく、内側やお皿の下にも痛みがでる場合があります。
原因は、「ウォーミングアップ不足」などと良く言われますが、はたして本当にウォーミングアップ不足が原因なのでしょうか?
実際、マラソン大会などで見ていると、逆にやり過ぎくらいウォーミングアップをやっている方を多く見かけます。
ランニングにおける怪我の多くは、「走り方」が原因で、ウォーミングアップ不足や、オーバーワークは、あまり関係ありません。
トップランナーは、月間約900~1000キロ走りますが、一般ランナーは、平均で約100〜200キロしか走らないのです。そして、トップランナーのほとんどは膝痛がなく、どちらかというと、股関節周りなどの怪我が圧倒的に多いです。
トップランナーと一般ランナーとでは、使う筋肉や関節が違うのです。それが、パフォーマンスの差となって現れてきます。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
〇重心の位置
重心の位置に関しては、スクワットに限らず、すべての動作において、もっとも重要だと思います。四足歩行動物であれば、考える必要はないのですが、二足歩行の人間は足裏のどこに重心があるかを考えなくてはいけません。
どこに体重をかけるかということですね。それは距骨下です。膝下の骨「脛骨と腓骨」という骨があります。その延長線にくるぶしがあります。その真下にスクワットの動作中に体重をかけましょう。
実は、距骨下と股関節は連動しているので、距骨下に重心があると股関節・お尻の筋肉が自然と働いてしまいます。その距骨下の重心がずれて、つま先側に行ったり、踵に行ったりするだけで使う関節・筋肉は膝関節・ももの前の筋肉になりますので、注意が必要です。
先にお話した、膝が前にでない理由としては、重心がブレることで使う筋肉が変わってしまうということもあげられます。重力はもちろん真下にかかりますので、膝下の骨が前後に動いてしまうと、重心が変わってしまいます。
距骨下に重心を置くためには、膝下の骨は常に床に対して垂直でいなければいけませんので、膝は前にでてはいけないということになります。ぜひ、動画でご確認ください。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
ランニングで気をつけること
走ると関節が痛む場合、多くの解決手法でとられることは、痛む関節周囲の筋力を高めるという方法です。
しかし、それで本当に長い距離を走ることが可能でしょうか。それに、いったいどのくらい鍛えれば、走っても関節の痛みをなくすことができるのでしょうか。
そもそも、走るために必要な筋力は、走って養成するのがベストです。それを、代替の筋力トレーニングで解決するという発想に無理があるのです。それに、間違った筋力トレーニングを行えば、関節の痛みが助長されるということも起こるのです。
痛みなく、快適にランニングを行ううえで、一番気をつけることは、「正しい走り方を身につけること」です。「間違った走り方」をしていたら、厳しい言い方かもしれませんが、なにをやっても、長い距離を走ることは無理です。
それは、テーピングをしたり、サプリメントを工夫したり、腕の振り方などのパーツの知識を増やしたり、距離ごとの戦略を練ったりしても、残念ながら、あまり意味がないといっても過言ではありません。
正しい走り方を身につければ、走るために必要な正しい筋肉がつきます。正しい走り方を身につければ、長い距離が自然と走れます。正しい走り方を身につければ、長い距離を走れるので、自然と心肺機能が向上します。
正しい走り方とは?
走ると、関節が痛くなって走れない場合、大抵の人は筋肉量が足りない、走る量が足りないから痛くなるのだと結論付けます。そして、今までよりも走り込みを行って、強い足をつくると考えることが多いようです。
しかし、そのような対処(努力の仕方)では、なかなか解決できるものではありません。まず、必要なことは、先ほど説明したように、「走り方(体の使い方)を変えること」にあります。
答えは、「走る際に使う筋肉」を変えなくてはいけないということです。たとえば、膝が痛くなるというのは、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)をメインに使っているのです。
それでは、どこの筋肉を使えばいいのかというと、答えはお尻の筋肉(股関節周りの筋肉)になります。この筋肉は、そもそも前に進むための筋肉なので、走るための筋肉とも言えます。
反対に、太ももの前の筋肉は止まる時や固定する際に使う筋肉になります。ブレーキに使う筋肉を使って走るというのはやはり無理があるのです。
太ももの前の筋肉を多く使う人は、体幹部も使えませんのでランニングフォームがぶれてしまいます。その反対に、お尻の筋肉というのは、体幹部と連動して動くという特性があるために、この筋肉を使える人は、ランニングフォームも安定し無理なく安全に走ることができます。
このように、ランニングにおいて主役となる筋肉は、お尻の筋肉、そして体幹部の筋肉になるのです。また、正しいランニングを行ううえで必要なスキルは、「重心移動」と「フラット接地」です。
多くの方が、かかとで接地してしまうのですが、かかとで接地してしまうと重心が後ろに残ってしまい、腰が落ちたフォームになりスピードがだせません。使う筋肉も先ほど説明した太ももの筋肉を使ってしまいますし、膝への負担の大きくなってしまいます。
お尻の筋肉を使って走るためには、まず重心を前に傾けることが大切です。そして、足裏全体で地面に接地するとお尻や太ももの裏の筋肉を使い、地面からの反発を利用して、速く楽に前に進むことができます。
*音声が出ますのでボリュームにご注意ください。
まとめ
ランニングは、数あるスポーツのなかでも、手軽に取り組みやすいものです。正しく走ることができれば、体力がつくだけでなく、ダイエットにも大きな効果をだすことが可能です。
体に痛みがあると、継続することができず、楽しむこともできません。スポーツは、本来「楽しむべきもの」なので、歯を食いしばって痛みを我慢していては、意味がありません。ランニングライフを楽しむために、ぜひ、正しい走り方をマスターしましょう!!