今回は、数多くのスポーツ選手も実践している体幹トレーニング『スタビライゼーション』の種目と、やり方について解説していきます。
スタビライゼーションとは?
スタビライゼーショントレーニングでターゲットとされる筋肉は、体の表面にある表層筋(アウターマッスル)ではなく、おもに“コア”と言われる深層筋(インナーマッスル)です。
また、スタビライゼーショントレーニングは、主働筋だけでなく、協働筋や拮抗筋、特に体を安定させるのに必要な補助筋群を刺激して、自分自身が、本来持っている身体能力を引き出す(ドラウタビリティ)トレーニングのことです。
スタビライゼーショントレーニングの効果
- 関節支持力の向上
- 関節可動性の向上
- 関節可動域の拡大
- 動的柔軟性の向上
- 重心や軸の把握と安定性の向上
- 姿勢反射(姿勢を維持しようとする無意識のコントロール)を活かす
上記の効果が期待でき、子どもから高齢者まで、トップアスリートから病後のリハビリテーションをおこなう方まで、年齢・性別・体力など関係なく取り組むことができるトレーニングです。
スタビライゼーションは、胴体部分を鍛えることにより、筋肉を引き締めるだけでなく、骨格のバランスも整うので、姿勢が良くなります。スタビライゼーションは、リハビリ体操がもとになったものなので、体に無理のないように考案された「安全性」も大きな特徴です。
また、疲労除去にも効果があり、普段意識していない筋肉を短時間集中して収縮させることで、トレーニング後の脱力と血行促進、トレーニングによって姿勢を保持する筋肉群が鍛えられ、結果として、日常生活での体の負担が減り、疲労感が少なくなっていきます。
スタビライゼーショントレーニングの種目
スタビライゼーショントレーニングは、種目もたくさんあるので、それぞれの目的や体力にあった種目を選択することが可能です。
今回は、基本的な種目と、上級者におすすめの種目をご紹介いたします。どの種目もフォームには十分注意して行い、痛みがある場合は中止しましょう。
〇プランク
プランクは、スタビライゼーショントレーニングの基本でもあるので、しっかりと体を安定させ正しいポジションを覚えましょう!
うつ伏せに寝て、肩の下に肘をつきます。足元は、つま先を立てます。そこからお腹に力を入れて、腰を持ち上げていきます。この時、頭・肩・腰・膝・踵までが一直線になるようにキープしましょう。
〇サイドプランク
サイドプランクは、横を向いた状態で行うトレーニングで、脇腹・横腹の腹斜筋や体幹を集中的に鍛えたい方におすすめのトレーニングです。
横向きになり、床側の肘をついて、上体を持ち上げる(このとき肩の真下に肘をつくようにする)。足を伸ばして、足の側面で下半身を持ち上げ、足と前腕で体を支え、頭から足までが一直線になった状態をキープしましょう。
〇ダイアゴナル
ダイアゴナルは、プランクのように静止するのではなく、腕と脚を対角線に動かしながら安定させるトレーニングです。
四つん這いになり、肩の下に手をつきます。足元は、股関節の下に膝がくるようにします(このとき腰が反らないように注意する)。対角線の腕と脚を伸ばし(右腕と左脚、左腕と右脚)、背骨を意識しながら、丸まっていきます(このとき伸ばした肘と膝をお腹の下で引き付けていきます)。
丸まったら、伸ばして元の姿勢に戻り、これを5回~10回程繰り返し、最後は、伸ばした状態で5秒~10秒くらいキープします。
〇プランク(バランスボール)
基本種目であるプランクの上級バージョンです。バランスボールを使用すると不安定な状態になるので、通常のプランクより難易度が上がります。
バランスボールに両ひじを乗せ、足はつま先立ちになります。プランクと同様に、頭から足までは一直線にキープします。
〇プランク(上級者向け)
プランクの上級バージョンです。通常のプランクから動きを入れたことにより、フォームが乱れやすくなるので、一気に難易度が上がります。
プランクのポジションから、片脚ずつ脚を上げてキープしていきます。この時、体の軸がずれないように注意しましょう。
〇ヒップリフト(上級バージョン)
通常のヒップリフトを、スタビライゼーショントレーニングにアレンジした種目です。バランスが大切なので、お尻だけでなく体幹部全体に刺激が入ります。
仰向けに寝て、両脚でお尻を持ち上げます。そこから、膝を曲げたまま片脚を持ち上げてキープします(この時、お尻が下がらないように)。
まとめ
スタビライゼーショントレーニングを行う際、どれくらいの量や時間、種目数をおこなうかは目的や内容によって異なります。
ボディチェックや、筋バランスの修正、ウォーミングアップ、リハビリテーションなどで行う場合は、無理のないように3種目程度行います。
スポーツなどのパフォーマンスアップが目的の場合は、強度の高いものを3~5種目行います。アライメントを意識して、イメージと実際の動作との差異を修正していくことも目的の一つなので、ダラダラと長時間行うことはあまりおすすめしません。集中力が持続できる範囲内で行うようにしましょう。
スタビライゼーショントレーニングは、うつ伏せ、横向き、仰向けなどあらゆる角度で行います。さまざまな体勢で、自分の体をうまく扱えるようになると、日常生活やスポーツの場面でどんな状況下においても、全身の筋肉をバランスよく使えるようになってきます。