
一口に背筋と言っても、背なかには実に多くの筋肉が存在し、すべての筋肉を意識しながら筋トレを行うのは、至難の技です。また、背筋は目で見て筋肉を意識することができないので、鍛えるのは非常に難しい筋肉と言われています。
そこで、今回は、背筋と言っても比較的大きな筋肉に絞り、筋肉の特徴や筋トレ法をお伝えしたいと思います。
筋トレするうえで必要不可欠な背筋の知識
当たり前ですが、人間の目は、前方が見えるようについています。
体でも、前側の筋肉というのは、もちろん目で見えるので、筋トレをする際も筋肉を意識しながら刺激を入れることが、比較的容易に行えます。意識ができるということは、筋トレを行うと引き締まりやすいし、発達もしやすくなります。
しかし、背筋は目で見て確認しながら筋トレを行うことは、基本的にはできません。前述したとおり、筋トレで鍛えるのは非常に難しくなります。そのため、背中にはどんな筋肉があり、筋トレ中にどのように動いているか等を知ったうえで、筋トレを行う必要があります。
そこで、まずは背中にある筋肉のなかでも、比較的大きな「僧帽筋」「広背筋」「脊柱起立筋」の特徴をお伝えしていきます。
僧帽筋
僧帽筋は、首と左右の肩先から背骨にかけて縦に長い菱形の形状をしており、背中の表層を広く覆っています。おもに、肩甲骨を動かす際によく使われる筋肉です。
肩甲骨の動きはおもに六つあり、内転、外転、挙上、下制、上方回旋、下方回旋となります。簡単に言うと、肩の上下、肩の前後、腕の上げ下げの動作です。
普段の生活のなかで、使われる頻度が非常に多いために、疲労が溜まりやすく、逆に長時間動かさないでいると筋肉が固まり、肩こりの原因になる筋肉としても知られています。

広背筋
背中を脇腹から真ん中まで包み込んでいて、肩甲骨の下あたりに位置する筋肉です。おもに背筋を伸ばす、体を捻る、上や前から腕を引き寄せる動作で、日常生活では物を引っ張る動作で多用されています。
表層に存在している筋肉ですので、広背筋は発達しているのが、目で見てわかる筋肉です。水泳選手や、ボクサーの体を見ると非常にわかりやすく、背中のラインが、きれいな逆三角形になっている部分です。

脊柱起立筋
脊柱起立筋は、背骨に沿って両側に付着している筋肉です。長背筋群のなかでも、特に太く、強い筋肉である腸肋筋、最長筋、棘筋の三つの筋肉で構成される筋肉群です。どういった動作で使われるかというと、「体を伸ばす」「体を横に曲げる」という動作で使われます。
また、脊柱起立筋を鍛えることで、正しい姿勢を維持できるようになります。パソコンやスマホを使っている時に、背中が丸まっている人が多く見受けられますが、脊柱起立筋が弱ってくると、姿勢の維持ができず、背中が丸まり猫背になってしまいます。

背筋を鍛えるメリット
僧帽筋・広背筋・脊柱起立筋の役割の次は、背筋を鍛えることで得られるメリットをお伝えしていきます。
基礎代謝が上がる
基礎代謝は、筋肉をつけることで向上します。背筋は、体のなかでも比較的大きな筋肉が多くありますので、筋肉を鍛えることで基礎代謝が向上しやすいです。
基礎代謝が上がれば、体の脂肪の燃焼もスムーズに行われるので、太りづらく、痩せやすい体を手に入れられます。

猫背の予防・改善
デスクワークの多いビジネスマンに多いストレートネックと猫背、スマホ首という言葉もよく耳にするようになりました。これらは、背筋を鍛えることで改善させることも可能です。
背筋を鍛えることで、前傾姿勢になった上半身を後ろに引くことができ、自然と猫背は解消されるようになります。
逆三角形の体になる
広背筋を鍛えることで、背中が左右に広がるため、広い背中にすることができます。逆三角形の体になるためには、ボリュームのある上半身が必要不可欠です。

背筋のトレーニングに偏ることのデメリット
1. 筋肉のバランスが崩れる
- 背筋ばかり鍛えると胸や腹筋が弱くなり、姿勢が不自然になる。
- 肩や腰に余計な負担がかかり、慢性的な痛みや怪我のリスクが増加。
2. 姿勢不良の原因
- 背中が張りすぎると猫背やストレートネックになりやすい。
3. 柔軟性の低下
- 背筋が硬くなることで可動域が狭まり、日常生活やスポーツ動作がぎこちなくなる。
- 怪我のリスクが高まり、体全体の動きが制限される。
4. トレーニングのモチベーション低下
- 特定の部位だけを鍛えることに固執し、全体的なトレーニングの楽しさを失いやすい。
5. 他の重要な筋肉の弱化
- 腹筋や体幹全体を鍛えないと、背筋だけでは体を十分に支えられない。
- バランスの悪さが全体的なパフォーマンス低下を招く。
6. 怪我のリスク増加
- 筋肉のアンバランスが関節や筋肉への余計な負担を引き起こす。
対策
- 背筋だけでなく、胸筋や腹筋、体幹全体をバランスよく鍛える。
- 柔軟性を高めるストレッチや運動を取り入れる。
- 全身の筋力を均等に向上させ、健康的で効率的な体づくりを目指す。

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自宅でできる背筋トレーニング10選
背筋は、姿勢の改善や基礎代謝の向上に重要な役割を果たす筋肉です。特に僧帽筋、広背筋、脊柱起立筋などの大きな筋肉を鍛えることで、体の引き締めや健康維持に大きな効果が期待できます。ここでは、自宅で簡単に取り組める背筋トレーニングを10種類紹介します。
下記の種目については、ネットで簡単に検索できることと思います。興味のある種目があれば、ぜひ調べて内容を確認し、実践してみてください。
1. スーパーマン(背筋全体)
方法
- 仰向けに寝て手足を伸ばす。
- 手足を床から数センチ浮かせ、背筋を意識して体を反らす。
- 5秒間キープし、ゆっくり戻す。 効果
背筋全体に負荷をかけ、姿勢の改善に役立ちます。
2. バードドッグ(脊柱起立筋、バランス強化)
方法
- 四つん這いの姿勢を取る。
- 右手と左脚を同時に伸ばし、体を一直線にする。
- 数秒キープし、反対側も同様に行う。 効果
脊柱起立筋を中心に、体幹の安定性を高めます。
3. リバースプランク(僧帽筋、脊柱起立筋)
方法
- 床に座り、手を肩の真下に置く。
- 脚を伸ばし、腰を持ち上げて体を一直線にする。
- 10~20秒キープし、ゆっくり戻す。 効果
背中から肩にかけての筋力を強化します。
4. リバーススノーエンジェル(広背筋、僧帽筋)
方法
- うつ伏せで寝る。
- 手を横に伸ばして頭上に動かし、また下に戻す。
- 動作中に床に触れないよう注意。 効果
広背筋を中心に、背中全体の筋肉を活性化させます。
5. ヒップリフト(脊柱起立筋、臀筋)
方法
- 仰向けに寝て膝を曲げる。
- お尻を持ち上げ、肩から膝まで一直線にする。
- 数秒キープし、ゆっくり戻す。 効果
脊柱起立筋と臀筋を同時に鍛え、姿勢改善に効果的です。
6. フェイスプル(僧帽筋、肩甲骨周り)
方法
- セラバンドをドアノブに固定し、両手で握る。
- 腕を肩の高さに上げ、顔に向かって引っ張る。
- 肩甲骨を寄せるイメージで動作を行う。 効果
肩甲骨周辺を鍛え、肩こりの予防に役立ちます。
7. ダンベルローイング(広背筋)
方法
- ダンベル(またはペットボトル)を片手で持つ。
- 体を前傾させ、肩甲骨を寄せるようにダンベルを引き上げる。
- ゆっくり戻し、反対側も行う。 効果
広背筋を効果的に鍛え、逆三角形の体を目指せます。
8. ティーバッグリフト(広背筋、脊柱起立筋)
方法
- 膝を軽く曲げて立ち、体を前傾させる。
- 両手を床方向に伸ばし、肩甲骨を寄せるように腕を引き上げる。 効果
肩甲骨周辺から背中全体にかけて負荷をかけます。
9. チェアローイング(僧帽筋、広背筋)
方法
- 頑丈な椅子を使い、手を後ろの座面に置く。
- 腰を引き上げ、腕で体を支える。
- ゆっくりと体を下げる動作を繰り返す。 効果
背中全体の引き締めと筋力アップが期待できます。
10. ウォールプレス(広背筋、僧帽筋)
方法
- 壁に両手をつき、体を斜めにする。
- 腕を曲げながら肩甲骨を寄せ、ゆっくり戻す。 効果
初心者でも簡単に背中の筋肉を刺激できます。
トレーニングのポイント
- 正しいフォームを意識
背筋トレーニングは目で確認できないため、動作に集中し、筋肉を意識して行いましょう。 - 無理のない範囲で実施
最初は負荷を軽くし、徐々に回数や強度を増やすことで怪我を防ぎます。 - 呼吸を意識する
動作中は息を止めず、吸う・吐くのタイミングを意識することで効果が高まります。 - 定期的に行う
週2~3回の頻度で継続的に行うことで、背筋の柔軟性と筋力が向上します。
自宅でできる背筋トレーニングは、道具がなくても簡単に取り組めるものが多く、日常に取り入れやすい運動です。これらのエクササイズを定期的に行うことで、基礎代謝を高め、猫背の改善や美しい逆三角形の体型を手に入れることが可能です。自分のペースで無理なく取り組み、健康的で引き締まった背中を目指しましょう!
まとめ
普段、自分の後ろ姿を意識することは少ないですが、実は他人からよく見られている部分です。正面からじっと見られることは少なくても、後ろ向きの姿は意外と目に留まります。
鍛えられた背中は、姿勢が良く、綺麗で若々しい印象を与えます。逆に、筋力が低下すると背中が丸まり、老けて見えてしまうことがあります。
また、運動不足で筋肉が固まると肩こりの原因にもなります。背中を意識して日々動かすことで、筋肉の柔軟性を保ち、健康的で美しい姿勢を維持できます。背中を鍛えることで、自信を持って後ろ姿を見せられる体を手に入れましょう。