パーソナルトレーナーが教える正しい階段の上り方

少し長めの階段を上がった際、皆さんはどの筋肉が疲れますか? 階段は、どこの筋肉を使うかによって、疲れない上り方のコツがあります。理にかなってない方法で、階段の上り下りを続けていると、腰や膝を痛める原因にもなります。

そこで、今回は、正しい階段の上り方について解説していきます。

お尻・股関節を使う

普段、なにげなく階段を上がっているかと思います。駅の階段などを上がっていく人を観察していると、太ももの前やふくらはぎを使って上がっている方を多く見かけます。

使うべき筋肉は、お尻の筋肉です。お尻を使えていないと、太もも前や、ふくらはぎの筋肉ばかりに大きな負担をかけてしまいます。

また、お尻の筋肉が使えると、体のなかで一番安定感のある股関節が使えるので、膝や腰の負担も減らすことができます。負担が少なくなれば、疲れにくくなるので、体力もつきやすくなります。

関節や筋肉に負担がかかる階段の上り方

膝が前にでているので、太ももの前の筋肉を使ってしまいます。また、つま先だけを階段に乗せているので、ふくらはぎにも負担がかかります。

太ももの前や、ふくらはぎの筋肉は、車でいうところのブレーキにあたる筋肉で、筋肉のパワーはありますが、持久力があまりなく、肥大しやすいといった特徴があります。ですので、疲れやすくなるだけでなく、足が太くなったり、膝や腰に負担がかかってしまいます。

正しい階段の上り方

まずは、階段に足全体を乗せます。そうすることで、体重を支える力を、かかとから下腿の骨へ分散することができ、ふくらはぎの筋肉をむだに働かせる必要がなくなります。

そして、かかと側にしっかり体重を載せることで、太ももの前の筋肉よりお尻の筋肉に負荷をかけやすくなります。つま先はまっすぐ向け、膝の向きもつま先にそろえましょう。

そして、体は背筋をまっすぐ伸ばし、腰が丸まらないようにして、体は自然に前に傾け、目線は足元を見過ぎないよう、前を向きます。

階段に乗せた足のかかと寄りに体重を乗せ、お尻を使うことを意識して踏み上がります。一段一段、膝ではなくお尻を意識し、股関節から伸び上るようにして、膝も伸ばしきります。

ただ、地面を押すことを意識しすぎると、脚に力がこもって重くなるので、上方向にすっと伸びる意識で上がっていきましょう。

正しい階段の上り方

お尻の筋肉が使えるようになると、階段が上がりやすくなるだけでなく、膝や腰への負担が減ることで、痛みの予防や改善につながり、さらに、太ももの前やふくらはぎの負担も減るので、足のラインをスッキリさせることができます。

階段の上ることで得られるメリット

足のむくみや冷え性の解消

階段を上がることで、お尻などの大きな筋肉が使われます。筋肉が使われることで、血液やリンパの流れが良くなります。

血液やリンパの循環が良くなると、運動によって、温まった血液や体にとって余分な水分や老廃物などをうまく循環させていくことができるので、むくみや冷え性の解消につながります。

お尻や足の引き締め効果

先に説明したように、階段を上がる時は、お尻や太ももの裏など大きな筋肉を使うので、多くのエネルギーを使用した結果、脂肪が減少し、使ったお尻などの筋肉が発達していきます。

それと同時に、使わない筋肉(太ももの前やふくらはぎ)は筋量が減っていくので、結果として引き締まったお尻や足が獲得できます。

質のよい睡眠

階段を上ることで、体に適度な疲労を与えていくことができます。体は疲れていると、疲れを解消するために睡眠の質を向上させるので、質のよい睡眠をとることができます。

激しい運動の後など、アドレナリンなどが多く出てしまい、眠れないということもありますが、階段を上がる行為は適度な有酸素運動の一種なので、睡眠効果を高めてくれます。

階段を登る凄い運動強度のご紹介

階段を上る動作は、日常的な行為の中で最も効果的なエクササイズの一つです。その運動強度は高く、全身の筋肉を活性化させ、健康を促進するのに役立ちます。さらに、特別な器具や設備を必要とせず、身近な場所で簡単に取り組める点も魅力的です。


階段運動の強度が高い理由

階段を上る動作は、ウォーキングやジョギングなどの運動と比較しても消費エネルギーが大きく、筋肉への負荷が高い特徴があります。

  1. 重力に逆らう動作
    階段を上ることで重力に抗い、自分の体重を持ち上げる必要があります。この垂直方向への移動が、筋肉に大きな負荷をかけるため、平地での運動よりも高いエネルギー消費を実現します。
  2. 大きな筋肉の使用
    主にお尻(臀筋群)や太ももの裏(ハムストリングス)といった大きな筋肉が動員されます。これにより、効率的にカロリーを燃焼し、筋力アップが期待できます。
  3. 心肺機能の向上
    階段を上ることで心拍数が上がり、酸素摂取量が増加します。この運動は有酸素運動と無酸素運動の両方の要素を持ち、短時間で心肺機能を高める効果があります。

運動強度の目安

階段を上る動作が他の運動と比較してどれほどの強度を持つか、以下のように消費カロリーを目安に示します(体重70kgの人の場合)。

  • 平地ウォーキング(時速4km):約3~5 kcal/分
  • ジョギング(時速8km):約8~10 kcal/分
  • 階段上り:約10~15 kcal/分

階段を上る運動は、ウォーキングの約3倍、ジョギングの1.5倍ものカロリーを消費するとされています。このため、短時間で効率的にエネルギーを消費できる運動として優れています。


階段上りがもたらす具体的な効果

  1. 脂肪燃焼
    高いエネルギー消費量により、階段上りはダイエットに効果的です。特に、大きな筋肉を使うため基礎代謝が向上し、運動後のエネルギー消費(アフターバーン効果)も期待できます。
  2. 筋力アップ
    お尻や太ももの筋肉を集中的に鍛えることで、下半身の筋力が向上します。これにより、日常生活での動作が楽になるだけでなく、スポーツパフォーマンスの向上にもつながります。
  3. 心肺機能の改善
    階段を上る運動は心拍数を上げ、酸素を効率よく体内に送り込む訓練になります。これにより、全身の持久力が高まり、疲れにくい体を作ることができます。
  4. 体幹の強化
    階段を上る際には、体を安定させるために体幹が働きます。この運動を繰り返すことで、自然と姿勢が改善し、腰痛予防にも効果的です。
  5. 時間効率の良さ
    階段上りは短時間で高い運動効果を得られるため、忙しい日常の中でも取り入れやすい運動です。通勤時や日常生活で「ながら運動」として活用できます。

階段を登ってセロトニンやテストステロンを分泌させる

階段を上るというシンプルな運動は、筋肉を鍛えるだけでなく、体内のホルモン分泌にも良い影響を与えることが分かっています。特に、セロトニンとテストステロンというホルモンが分泌されることで、心身の健康を向上させる効果が期待できます。以下では、階段を上ることで分泌されるセロトニンとテストステロンの役割、そのメリット、効果を高めるポイントについて詳しく解説します。


セロトニンとは?階段運動が与える影響

セロトニンの役割

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質の一つで、心の安定や幸福感、集中力を高める働きがあります。セロトニンの分泌が十分であれば、ストレスが軽減され、精神的に安定した状態を保つことができます。一方、セロトニンが不足すると、不安感やうつ状態を引き起こす可能性が高まります。

階段運動によるセロトニンの分泌促進

階段を上るというリズミカルな運動は、セロトニンの分泌を促進します。リズミカルな運動には以下のような特徴があります。

  1. 一定の動作:階段を上る際の足の運びや体のリズムが、セロトニンを作り出す神経の活性化に寄与します。ウォーキングやジョギングと同様、階段を上る運動もセロトニン神経の働きを高めます。
  2. 適度な負荷:軽い息切れを伴う程度の運動は、体内でセロトニンが効果的に分泌される条件です。階段運動はその負荷を自然に満たします。
  3. 持続可能な運動:階段を利用する運動は日常生活に取り入れやすく、習慣化することでセロトニンの分泌を継続的に促進できます。

セロトニンの分泌が増えると、ストレス軽減だけでなく、睡眠の質の向上や集中力アップなど、多くのメリットを享受できます。


テストステロンとは?階段運動との関係

テストステロンの役割

テストステロンは「男性ホルモン」として知られていますが、男女ともに分泌される重要なホルモンです。このホルモンは、筋肉の成長や骨密度の維持、性欲、さらにはやる気や集中力の向上に関与します。また、テストステロン値が高いと、精神的な安定感や積極性が向上することも報告されています。

階段運動によるテストステロンの分泌促進

階段を上る運動は、テストステロンの分泌を効果的に促すエクササイズの一つです。その理由は以下の通りです。

  1. 下半身の大きな筋肉を動員する
    階段を上る際に使われるお尻(臀筋群)や太ももの裏(ハムストリングス)は、体内でも特に大きな筋肉群です。これらの筋肉を効果的に動かすことで、筋肉からの刺激が脳に伝わり、テストステロンの分泌を促します。
  2. 短時間での高強度運動
    階段を上る運動は、心拍数を短時間で高める効果があります。心拍数の上昇は、テストステロン分泌を引き出す要因の一つです。特に急な階段や負荷の高い上り方をすることで、より強力な刺激を与えられます。
  3. 成長ホルモンとの相乗効果
    階段を上る運動は成長ホルモンの分泌も促進します。成長ホルモンとテストステロンの分泌が同時に起きることで、筋肉の回復や脂肪燃焼効果がさらに高まります。

まとめ

正しい階段の上り方ポイント
  • 足全体を乗せる
  • 背筋、腰をまっすぐにする
  • お尻を意識し股関節を使って上がる(伸ばす)

階段を上がる動きは、歩く時や走る時と大きな差はありません。正しく階段を上ることができれば、歩き方、走り方も正しくできるようになります。

体にとって、優しく効率的な動きを身につけるために、積極的に階段を利用しましょう。

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