フリーウエイトとマシントレーニングの正しい知識

フリーウエイトとマシントレーニングの正しい知識

筋トレは大きく分けて、フリーウエイトとマシントレーニングの2種類があります。それぞれの特徴や効果が違う異なるため、その違いを基に自分の目的に合うトレーニングを選択してみましょう。

フリーウエイトとマシントレーニングのメリットやデメリット、特徴があります。また双方をうまく組合わせることによって効果的に体を鍛えることが可能となりますので、今回はそのコツもお伝えしていきます。

運動連鎖とは

運動連鎖のことを「キネティックチェーン」ともよびます。

われわれ人間も含め動物の体は非常に神秘的で、日常生活やスポーツ競技での動作では、一つの筋肉だけではなく、複数の筋肉が無意識で連動させることによって体を動かしています。

特にスポーツ競技の動作では、高速かつ動作が複雑なので動作は非常に難しくなります。たとえばゴルフスイング動作では、「下半身→体幹部→上半身→腕→手」というように下半身のパワーを最終的には指先にまで力を伝えることによりボールを遠くに飛ばすことができます。

フリーウエイトとマシントレーニングの大きな違いは、この運動連鎖にあります。簡単に言うと全身の筋肉が連動するトレーニングなのか、連動しないトレーニングなのかということです。

またトレーニングとしてのトレーニングなのか? またはトレーニングが日常生活やスポーツ競技に直結するのか? という違いになります。それぞれを詳しく見ていきます。

開放性運動連鎖

開放性運動連鎖のことを「オープンキネティックチェーン」とよびます。手先や足先など末端部にある関節が固定されず、自由に動かすことが可能なものと定義されています。

たとえばベンチプレスやチェストプレス、ラットプルダウン、レッグエクステンションのように、シートに体幹部が固定され、手足を動かしている動作はオープンキネティックチェーンになります。ゴムチューブなどを使用し、片足を後ろ上げてお尻のトレーニングを行う動作も同様です。日常生活やスポーツ競技の動作とは、異なった状態でのトレーニングになります。

そしてマシントレーニングの多くは、オープンキネティックチェーンに分類され、筋肉や関節、または姿勢を気にすることなく比較的簡単に行うことが可能です。

開放性運動連鎖

クローズドキネティンチェーン

閉鎖性運動連鎖のことを「クローズドキネティンチェーン」とよびます。手先や足先などの末端部が床などに接した状態で、固定されている状態と定義されています。

同じ胸を鍛えるトレーニングでもベンチプレスがオープンキネティックチェーンであるのに対して、プッシュアップは地面に手が固定されている状態で動かず、肘の曲げ伸ばしを行っている動作なので、クローズドキネティンチェーンのトレーニングになります。

フリーウエイトの多くは、クローズドキネティンチェーンに分類され、日常生活やスポーツ競技の動作に近い状態でのトレーニングになりますので、パフォーマンスアップに有効です。

クローズドキネティンチェーン

マシントレーニングのメリット・デメリット

マシントレーニングのメリットは、何と言っても「動作が簡単」ということです。

マシン自体の動作が決まっており、そのとおりに動かせば、狙った筋肉にピンポイントで刺激を入れることが可能になります。 ボディビルディング競技者のように、ボディ(体)をビルディング(建築)していくような一箇所ずつの筋肉に刺激を入れ、発達させたいという目的をお持ちの方に有効です。

単一的で動作が簡単、かつ自重がかからないので、負荷を体重よりも軽くすることが可能です。そのため著しく筋力低下しているパーツに対するアプローチがしやすいのでリハビリに対する利点が大きいと言えます。 デメリットとしては、マシンによって使用する筋肉が違うため、一箇所ずつトレーニングする必要があります。(※やり方によります)

そのため、全身の筋肉を鍛えるのに、莫大な時間を要します。ボディビルディングを行っている方は、身体中の筋肉を一日で鍛えることができないので、鍛える部位を変えて毎日のようにジムに通いトレーニングを行っています。

またスポーツ競技で必要な動作とは、異なった動作でのトレーニングになりますので、マシントレーニングで鍛えた筋肉が競技にリンクすることはありません。そして全身の筋肉を使うというような「力の連動性」を高めることには適していません。むしろ一箇所ずつの筋肉を使う体のシステムが優位になり、力の連動性を低下させることを強化させてしまうことにもなりますので、ご注意ください。

フリーウエイトのメリット・デメリット

フリーウエイトのメリットは、複数の関節や筋肉を使いながら行うトレーニングのことで、日常生活やスポーツ競技の動作に近い状態でトレーニングを行うことができ、トレーニングとしてのトレーニングではなく、トレーニングで行ったことが日常生活やスポーツ競技の動作に直接リンクするので、パフーマンスアップに効果的です。そして力の連動性を高めるために、非常に有効なトレーニングになります。

スポーツ競技で力が必要な場面では、全身の筋肉が協力し合い、桁違いの力を発揮することが可能になります。また日常生活では、重いものを持ち上げるという動作でも、一つの筋肉で持ち上げるよりも複数の筋肉で持ち上げた方が、負荷が全身に分散されますので、同じ重さのものでも軽く扱えるようになります。結果体にかかる負荷が軽減しますので、腰痛や膝痛などの怪我のリスクも低下させることができます。

そして、一つのトレーニングで全身の筋肉を使用することができるので、トレーニング時間を短縮することができます。そしてマシンやバーベル、ダンベル等の器具を使わずにできるものや場所を選ばずどこでも行うことが可能なので、ジムに通う時間も短縮することができます。

デメリットとしては、多くの筋肉や関節を使いながら行うので、非常に動作が難しく、使っている筋肉に刺激が入らずに、他の筋肉に刺激が入ってしまうことがあります。そして一気に全身の筋肉を使用しますので、意識したい筋肉の意識が薄れ、感じることも難しくなります。

そのため、トレーニング初心者はもちろん、上級者もパーソナルトレーナーなどに正しい体の使い方で動作ができるよう指導を受けることをお勧めします。自分ではできているつもりでも、残念ながら間違った体の使い方でトレーニングを行っている方が非常に多くいらっしゃいます。フリーウエイトの場合、何にも固定されていない状態でのトレーニングになりますので、体の使い方が徐々にズレが生じることもよくあります。

マシントレーニングとフリーウエイトの融合

ご説明したとおり、マシントレーニングとフリーウエイトには、それぞれメリットとデメリットがあります。これを踏まえたうえで双方の良いとこ取りをすることで非常に効率的にトレーニングを行うことができます。

たとえば、スクワットを行う際に、お尻の筋肉の意識ができない場合には、オープンキネィックチェーンであるマシントレーニングやゴムチューブを使用した単一的な動作のトレーニングで「まずお尻の筋肉だけに刺激を入れる」ことが非常に効果的です。

刺激を受けた筋肉は意識しやすくなり、また刺激を受けた筋肉は優位に使うことができるという特徴があります。スクワットのように全身の筋肉を使うトレーニングでは、よほど意識をしないかぎり、使っている筋肉一つ一つを意識しながら動作することがほぼ不可能です。

使っている筋肉の意識を高めるには、一箇所の筋肉にフォーカスを当て、まず使っている感覚を味わってみてください。この方法は「アクチベーショントレーニング」と言い、「活性化」という意味になります。刺激を入れ続けることによって徐々に意識が高まってきます。

このようにマシントレーニングだけでも、フリーウエイトだけでも、トレーニングに限界が出てきてしまうので、どちらもうまくミックスして、目的や必要に応じて両方行うことでより効率的なトレーニングを行うことが可能になります。

まとめ

マシントレーニングとフリーウエイトはどちらを取り入れた方が良いかというご質問を多くいただきますが、お読みいただければ答えはおわかりかと思います。目的によって正しくもあり、間違いでもあります。

体を扱うことを生業としているスポーツ選手でさえ、間違ったトレーニングを行い、パフォーマンスが低下してしまうこともよくあります。スポーツ選手でさえ、スポーツトレーナーに体の正しい使い方やトレーニング指導を受けていることから、一般の方も正しい知識を身につけてトレーニングを行う必要があることがおわかりになられるかと思います。

今一度、現在行っているトレーニングが目的とリンクしているのかを改めて考え直すきっかけになれば幸いです。

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