「ストレッチ=stretch」は「伸びる」という英単語からきており、筋肉を伸ばす行為のことで「ストレッチング」とも言います。意図的に筋肉を伸ばしたり、関節を機能的に動かすことで筋肉の柔軟性を高め、運動のパフォーマンス向上、怪我の予防・改善、リハビリ、疲労回復のために行う運動です。
最近では、ストレッチ専門店ができるなどその効果に注目されているストレッチですが、一つにストレッチと言っても効果や、やり方がたくさんあり、目的に合った方法やタイミングをしっかり考えて行う必要があります。
今回は、ストレッチの効果とやり方についてご紹介していきます。
ストレッチの種類
一つにストレッチと言っても、いくつか種類があり場面によって使い分ける必要があります。代表的な種類としては4つに分類することができます。
〇スタティックストレッチ(静的柔軟性を高める)
反動や弾みをつけずに筋肉をゆっくり伸ばし、伸張させた状態で呼吸を止めずに、20~30秒程度静止するようなストレッチです。筋肉にかかる負担が少ないので、安全に柔軟性を高めることができます。
体を静める副交感神経を優位になり、リラックス効果が非常に高くなります。スポーツや運動後のクールダウンに用いられます。また、夜寝る前に行うと睡眠の質が良くなります。
〇ダイナミックストレッチ(動的柔軟性を高める)
体を動かしながら筋肉を伸ばしていく方法で、いわゆるラジオ体操もダイナミックストレッチになります。体を動かしながら行うために心拍数が上がり、血流が良くなり体が温まって筋肉が伸びやすくなります。
スタティックストレッチとは反対に、体をアクティブにさせる交感神経を優位になるので、スポーツや運動前のウォーミングアップに用いられます。
〇バリスティックストレッチ
ダイナミックストレッチの一種で、反動を使ったストレッチのことを指します。反動は初めは小さく、少しずつその動きを大きくしていき、最終的には可動範囲いっぱいに動かします。
しかし、可動範囲いっぱいに勢いよく反動をつけてしまうと、筋繊維を傷める原因となることもありますので、取り入れる際には注意が必要です。
〇パートナーストレッチ
ストレッチを効果的に行うには、筋肉に力が入っていない状態が理想的です。一人でストレッチを行う際には、筋肉を伸ばす姿勢を取らなくてはならず、完全に脱力することが難しくなります。
それに比べてパートナーストレッチは、パートナーに体を預けることができ、自ら動くことはなく、完全に脱力した状態でストレッチをできるので、筋肉が解れやすくなります。しかし、ストレッチを行う側のパートナーの高い技術が必要になります。
ストレッチの効果
最近ではストレッチが重要であるということは、すでに広く知られている事実ですが、「なぜ重要なのか」「ストレッチの効果」を正しく理解されていない方が多くいらっしゃいます。
ただ、可動域を広げればよいわけではありませんので、その点をお伝えしていきたいと思います。
〇日常生活に必要な分の柔軟性を保つ
人間の筋肉は、ゴムと同じ性質を持っていますので、動く機会が減り運動不足であったり、長時間のデスクワーク等により筋肉の伸張がなく筋肉を「使わなすぎ」たり、運動やスポーツにより筋肉を「使い過ぎ」たりすることによって筋肉が硬くなり、肩こり、腰痛、怪我等で日常生活に支障がでます。
ストレッチには体を事前にメンテナンスするという役割があり、不調にならないように「予防」として日々行う意識が必要になります。おおかた、何かしらの不具合を生じてからストレッチの重要性に気づきますが、本来は健康な時に今ある柔軟性を保つために行うものなのです。
また、日常生活に必要な柔軟性があれば時に問題ありませんので、過剰なほどの柔軟性を求めている方は要注意です。180度開脚を目指されている方もいらっしゃるようですが、本当にその柔軟性が必要なのかを考えて、ストレッチを取り入れましょう。
〇パフォーマンスの向上
運動前にストレッチを取り入れることで、運動のパフォーマンスを向上させるといったメリットがあります。
その場合に取り入れるストレッチとしては、ダイナミックストレッチやバリスティックストレッチを取り入れるようにしましょう。その後に運動に近い動作を取り入れ、小さな動作から大きな動作へと体を動ける状態に持っていくことで力の発揮を促してくれます。
注意点として、運動前にスタティックストレッチのようにリラックス効果が高いものを選択すると、体がリラックスしてうまくパフォーマンスが発揮できなくなることもありますので、ご注意ください。
〇筋肉の疲労回復
ストレッチを行うことによって、筋肉の収縮弛緩を繰り返し行うと、体の血流が良くなります。血流が良くなると老廃物が早く排出されたり、酸素が筋肉に行き渡り筋肉の疲労回復が促進される等といった効果が期待できます。
たとえば、筋肉痛も安静にしていれば自然と回復しますが、それよりも筋肉痛の時にほどよくストレッチを行った方が回復するスピードが早まります。
〇リラックス効果
ストレッチを行うことで、副交感神経が優位になり、「リラックス効果」が得られます。この場合、スタティックストレッチでゆったりと時間をかけて行う方が、ストレスの軽減も期待でき、効果的です。
ストレッチのやり方
ストレッチに関しては、学校の体育の授業や部活動などで行ってきたものがそのまま形として行われていることが現状です。そういったストレッチを行うことでも効果は得られますが、実は正しく行われていない、筋肉が意外に伸びていない、更には怪我を誘発するようなことを行っているという場合が少なくありません。
筋肉の走行や関節の構造をある程度知ることで、安全かつ効果的にストレッチが行えます。ポイントとしては、筋肉がどこにどのようについているのかをイメージし、その筋肉の端と端を遠ざけるようにすると上手に伸ばすことができます。
また、筋肉や関節は「振動を与えると緩む」という性質がありますので、体を揺らしたり、軽いジョギングやウォーキングでも十分なストレッチ効果が期待できます。どうしても時間の取れない時には、その場で10〜20回ほどジャンプするだけでも筋肉や関節は緩みます。
まとめ
ストレッチを行えば、その瞬間は筋肉がほぐれ体が軽くなる感覚があるかと思いますが、残念ながら一時的なのもので終わってしまうのが現状です。普段の生活のなかにストレッチの時間をしっかり取ることのできる方であれば良いのですが、なかなか難しいのではないでしょうか。
そんな時はちょっとした合間時間にできるようなものを選択し、ながらストレッチを行うこともできます。下記の動画を参考にしていただき、日々の生活のなかに取り入れてみてください。