ダイエットをされる方で、引き締めたい箇所ナンバーワンといっても過言ではない「おなか周り」。これまで履けていたスカートやズボンのウエストがきつくなったり、入らなくなったり、鏡を見てはみ出た横腹のぜい肉が気になったり。
おなか周りを引き締めるために重要なのは、インナーマッスルという、体の内側にある深層筋のことです。表面からは見えないので、普段感じることは少ないかもしれません。
ドローインは、おなかの意識を高めて内側の筋肉に働きかけるエクササイズです。 今回は、おなかの周りに脂肪がつきやすい理由や、引き締めに効果的なドローインについて説明いたします。
おなか周りに脂肪がつきやすい理由
太ももをキュッと細くしたい、二の腕のたるみが気になる、など悩みは人それぞれあると思いますが、まず最初に脂肪がつくの、「おなか周り」です。おなか周りのたるみは、男女問わず気になる箇所ナンバーワンです。
そして、痩せるときも、おなかの脂肪は落ちやすいです。ダイエットに挑戦した方なら、体重が落ちてきたのを実感するのはおなか周りではないでしょうか。おなか周りは、もともと脂肪細胞が多く太りやすい部位なのです。
動物にとって、活動エネルギーとして、体温保持のために、脂肪をストックしておくことは生存上、非常に大切なことです。脂肪を溜め込む場所として、活動にさほど差し支えのない「腹部」が選ばれたというだけのこと。
しかし、必要以上に溜め込んでしまうと、見かけの不都合さばかりか、疾病の不安も抱えてしまうので、良いことはありません。よって溜め込み過ぎた脂肪は落とす必要があります。
〇なぜ中年になるとおなかが出てくるのか
「10代・20代前半までは、どんなも食べてもおなかが出ることはなかった」というセリフをよく耳にします。実際に実感されてる方も少なくないのではないでしょうか。
ではなぜ、年を重ねると、余計な脂肪をためこんでしまうのでしょうか。
大きな原因の一つに“代謝が下がる”ということがあげられます。
人間の体の中で行われている「代謝」とは、食事などで外から取り入れた栄養を、分解・合成し、エネルギーを生み出したり、消費したりする作用のことです。簡単に言うと、「食べたものを熱に変える」ということです。「基礎代謝」は、呼吸や脳の活動、生きている状態で、必要とされる必要最小限のエネルギーの事です。人間の代謝の7割は基礎代謝と言われています。
では、代謝が下がるとは、どういう状態でしょうか。
体の中で熱に変換する量が減っている状態、食事によって取り入れた栄養をすべては「代謝」できない状態です。余分にあまった栄養素は、体脂肪として溜め込まれる一方なのです。
〇インナーマッスルが内臓を支えている
代謝が下がる理由の第一は、筋肉の衰えです。
筋肉はエネルギーをたくさん必要としますので、筋肉が減る=代謝が下がる、と考えられています。食事制限などで筋肉が減ってしまうと、代謝が下がり、さらに痩せにくい体質になるという悪循環がおこってしまいます。ですので、筋肉量の維持がダイエットや引き締めのカギと言えます。
筋肉というと、腕や足など目立って部位をイメージする方も多いと思いますが、そればかりではありません。内側には、インナーマッスルとよばれる筋肉が存在します。インナーマッスルは細かな動きに欠かせないものですが、腕や足のように大きなエネルギーを消費する筋肉という訳ではありません。
ではなぜ、インナーマッスルを鍛えると良いのでしょうか。おなか周りのインナーマッスルには、もう一つ重要な役割があるからです。
それは「内臓を支える」ということです。肋骨などに守られた上部と違い、下部は内側の筋肉によって内臓や脂肪をあるべき場所に支えています。衰えたインナーマッスルでは、内臓や溜め込まれた脂肪を支えきれません。インナーマッスルが衰えることも“ぽっこりおなか”の原因の一つなのです。
〇姿勢が悪いと太りやすい
姿勢の悪さも太りやすさの原因です。
いわゆる「ねこ背」になると背中が丸まり、肺が圧迫され、呼吸が浅くなります。心肺機能が低下すると、酸素が体内に十分に行き渡らず、血液の流れが悪くなり、何勝できない状態になってしまいます。
冷えやむくみも発生しますが、ダイエットに大敵の「代謝が悪い」状態になってしまいます。また、姿勢が悪いということは、姿勢を維持するために使う筋肉を怠けさせているということ。代謝が下がって、脂肪がつきやすい体になってしまうと、脂肪は怠けた筋肉の隙間に入り込み、下腹がポコッと出てしまうのです。
骨盤の歪みを矯正し、正しい姿勢で日々過ごすだけで、スタイルが維持できるのであれば、こんなにラクなことはありません。
こちらに正しい姿勢についての動画をリンクしますので、参考にしてみてください。
※音声が出ますので、ボリュームにご注意ください。
ドローインとは
ドローインは、英語でdraw(ひっぱる)in(内側に)と書き、「内側に引っ張る」という意味です。
おなかを引っ込める動作を行うことで、インナーマッスルを内側に引っ張り、ウエストを引き締めます。ドローインをおこなっているとき、おなかはへこみますが、力を抜けば、元に戻ります。しかし、筋肉には形状記憶能力があり、ひっぱられ続けていると、だんだんその形を覚えていくのです。
もともとインナーマッスルが備わっている人であれば、数回でもその効果は表れます。あまりない人でも、継続することで、筋力がついてサイズダウンを実感できることでしょう。
一般的に筋肉にぐっと力を入れた状態で耐えられるのは10秒程度です。ですので、おなかを引っ込める時間を10秒間行い、かつ腹式呼吸を取り入れます。複式呼吸をおこなうことで、インナーマッスルの準備運動にもなりますし、身体全体に酸素が行き渡るので、血流もアップします。この状態でドローインを行うとより効果的に行えます。
〇インナーマッスルを知ろう
「おなかを引き締めるためには、腹筋運動」と思う方も多いと思いますが、腹筋運動で鍛えられるのは、「腹直筋」という外側の筋肉がメインになります。
インナーマッスルまで鍛えるためには、脚の上下運動やひねり(ツイスト)運動など、さらにキツイトレーニングが必要になってきます。ドローインなら、シンプルかつ比較的楽に、インナーマッスルに働きかけることができます。
「おなかをへこます」という動作のために使われる筋肉は、おもに、「腹横筋」「内腹斜筋」「外腹斜筋」です。
「腹横筋」とは、側腹筋の一つで、おなかの中心から外側に向かって横に走っている深層筋です。下位肋骨とつながり、内臓を支えるコルセットの役割をしています。その上には、「内腹斜筋」という、腹横から骨盤に向かって斜めに走る深層筋があります。さらにその上には「外腹斜筋」という腹横全体をカバーする筋肉が、骨盤と肋骨とつながりながら、斜めに走っています。
他にも筋肉はありますが、ドローインを行ううえで覚えておきたいのはこの三つです。
これらの筋肉が働きあって、体を前に倒す・横に倒す・回旋させる、といった基本の動きにくわえて、「おなかをへこます」=「腹圧を高める」という動きを行い、ウエストのクビレを作ってくれます。
呼吸法も意識して行う
呼吸とは、肺に新鮮な空気を送り込み、そのなかで酸素と二酸化炭素を交換し、二酸化炭素を吐き出すというもので、その方法には二通りあります。
一つは肋骨を広げることで、肺に空気を送り込む“胸式呼吸”。
もう一つは、肺の下にあり横隔膜を上下させることで呼吸する“腹式呼吸”です。
よりたくさん呼吸できるのは、腹式呼吸です。取り入れられる空気の量は胸式呼吸の1.3倍と言われています。 姿勢が悪くて代謝が悪くなるパターンとは逆で、腹式呼吸で心肺機能が上がると、血流が良くなり、代謝がアップします。腹式呼吸をエクササイズに取り入れると、脂肪燃焼が促進され、さらにシェイプアップ効果が倍増されます。
日常的には胸式呼吸が多いようですが、寝ている間は自然と腹式呼吸になると言われています。下腹を膨らますイメージで呼吸してみてください。ボイストレーニングやアナウンサーの発声練習に良く取り入れられる呼吸法です。
〇腹式呼吸の三つのポイント
① 「吐く」ことを意識して行う
二酸化炭素を出し切ることがポイントです。横隔膜を上にあげ、肺の空気を出し切るイメージです。そうすることで、自然にまた空気を取り入れることができます。
② おなかに手をあてて行う
下腹に手を当てながら行ってみてください。手を当てることで、おなかの膨らみやへこみを意識しやすくなります。慣れてきたら、手は当てずに行ってみましょう。
③ 体の余計な力は抜いて行う
特に肩など、余計な力は入れずに全身リラックスして行いましょう。
まとめ
ドローインは、たった数秒~数十秒でできるとてもシンプルなエクササイズです。筋トレのように、気合いを入れすぎなくても、ふと気付いた時にすぐその場で、おこなうことができます。
どんなに優れたエクササイズでも、継続できなければ、効果は得られず、また元も状態に戻ってしまいます。せっかく痩せたのにリバウンド・・・なんてことも。
ドローインエクササイズには、特別な道具も、長い時間も必要ありません。場所も選びません。いつでもどこでも思い出した時に行える手軽で継続できるトレーニングですので、ぜひ続けておこなって、理想のスタイルを手に入れましょう!