トレーニングジムで多くの方が着用しているトレーニングベルトですが、皆さまはどのような理由で使用していますか?腰痛予防やパフォーマンスアップのため、またカッコいいからという理由までさまざまあると思います。
今回は、トレーニングベルトに関する正しい知識とメリットやデメリットをお伝えしていきます。
トレーニングベルトとは
現在では、日常生活で着物を着用する方はあまりいませんが、以前は普段着として着用している時代がありました。着物を着る時は、お腹周りにはしっかりと帯を締め、体幹を安定させていたのです。そして、帯をしているせいか体幹部の意識が自然と高まり、現代人よりも姿勢は良くなり、体は小さいものの力はしっかり出ていました。
現在はどうでしょうか?
現代の洋服ではお腹周りは基本的には何もなくゆるゆるの状態です。そのために体幹部の力が抜け、姿勢が崩れている方をよく見かけます。
動作する際に真っ先に使う筋に筋肉は「腹横筋」という筋肉です。天然のコルセットとよばれ、着物で言う帯の役割をしている筋肉があります。その体幹部の力が抜けることで体の筋肉の連動が途切れ、まったく力がでないし、腰や首などのあらゆる関節に負担をかけ痛みを抱えている方が多くいらっしゃいます。
トレーニングベルトは単に体の負担を減らしたり、トレーニングや競技中のパフォーマンスアップをさせるためだけではなく、「日常生活で体幹部を使えるようにする」という意識を高めるためにも使用していただきたいです。
その状態になることで、帯は締めていないけど、自然と天然の帯が締まっていて、自然と姿勢が良くなり、パフォーマンスアップし、痛みの予防・改善につながります。
トレーニングベルトのメリット
トレーニングベルトのメリットはさまざまありますが、今回は三点解説いたします。
怪我のリスクを軽減させる
トレーニング種目のなかでも、ビック3とよばれる、ベンチプレス、デッドリフト、スクワットの三種目はトレーニング経験を積めば積むほど高負荷を扱うことになるかと思います。
ある一定の負荷以上になるとどうしても筋肉や骨だけでは支えられなくなってしまいます。その際は筋肉+トレーニングベルトを使用することで怪我のリスクを軽減することが可能になります。
力の発揮がしやすくなる
前述したとおり、動作を行う際に真っ先に使用する筋肉は、天然のコルセットである「腹横筋」という筋肉になります。
腹横筋に力が入ることでその他の筋肉も連動して働きやすくなりますので、使用する筋肉が増えます。その分、力の発揮の量が増えますので、結果パフォーマンスが向上します。
動作のなかで腹横筋などの体幹部の筋肉の意識が低いというトレーニング初心者の方もトレーニングベルトを着用することで自然と意識がしやすくなります。
精神的な安心感がある
トレーニングレベルが向上し、高負荷を扱うようになると、いかにも重そうなバーベルを目の前にして、少し不安になった経験はありませんか?
やはり、トレーニングを行う時に心配なのは怪我をすることです。怪我をしてしまうとしばらくトレーニングができなくなるので、せっかく今まで鍛えてきた体力や筋力が落ちてしまいます。また怪我をしなかったとしても、不安を感じながらのトレーニングでは、正直効果的に体を鍛えることはできません。
そんな時はトレーニングベルトをするだけ怪我のリスクが軽減できるので安心してトレーニングを行うことが可能になります。トレーニングベルトをすることで怪我のリスクが0%になるわけではありませんが、少しでも怪我リスクを軽減させることでメンタルが強くなり、集中力が増し、パフォーマンスも向上させることが期待できます。
トレーニングベルトのデメリット
続いて、トレーニングベルトのデメリットを三点解説いたします。
トレーニングベルトに頼りすぎてしまう
トレーニングベルトを着用していると、どうしても無意識で頼ってしまいます。すると、自身の筋肉を使わずにトレーニングベルトに頼りすぎてしまい、体幹部の筋肉が使えなくなってしまうことが考えられます。
トレーニングベルトを着用する際は、あくまでも補助と考え、自身の体幹部の筋肉の意識をしながら行うようにしましょう。トレーニングベルトをお腹で押すようにして動作することで体幹部の筋肉の力が抜けずに行うことが可能になります。
トレーニングベルトがないと不安になってしまう
一度体を痛めた経験がある方はおわかりになるかと思いますが、やはり再発に対する不安が大きくなるものです。
たとえば肩や肘、腰、膝、足首などの関節を痛めた際にサポーターやコルセットをすると少し痛みが軽減したり、安定して動けるようになったと思います。もちろんサポーターやコルセットは痛みが強い場合は着用することをお勧めします。
しかし、そうでない場合にも着用しなくては不安で動けないといったように「依存」しすぎるのは問題です。トレーニングベルトもこのように依存しすぎて、ないと不安でトレーニングができないということにならないようにしましょう。
たとえば自重でのトレーニングや低負荷でのトレーニングの際にはトレーニングベルトを使用する意味はほとんどありません。初めのうちは、どの程度の負荷で使用するべきかがわからないと思いますので、パーソナルトレーナーなどの体づくりの専門家に指示を仰ぐことをお勧めします。
体の使い方の意識が薄れる
まず大前提としてトレーニングベルトをしないと不安でトレーニングができないという時点で、トレーニングは行わない方が賢明です。
その場合は、高負荷のトレーニングを行う前に正しい体の使い方を身につけることが重要になります。重量にもよりますが、本来正しく体が使えていれば、トレーニングベルトなどしなくとも動作中に体は安定しますし、関節に無理な負担などかかりません。
もちろんトレーニングベルトをしながらトレーニングを行っていただいても良いのですが、その場合にもトレーニングベルトに頼りすぎずに正しい体の使い方を意識するようにしましょう。根本的な体の使い方が間違っているとトレーニングベルトをしていても体を痛めるリスクは高まります。
トレーニングベルトの種類
トレーニングベルトにはさまざまな種類があります。素材や形状が異なり、用途によって使い分ける必要があります。今回は代表的な2種類をご紹介いたします。
トレーニングベルト、ウエイトリフティングベルト
トレーニングベルトはおそらく一番見慣れたベルトではないでしょうか。腰に当たる部分が幅広で、お腹に当たる部分は幅が細くなっています。素材はナイロンや革でマジックテープやピンバックル式になっています。
ナイロントレーニングベルトは、洗うことも可能で、装着も簡単にでき、軽量で持ち運びもしやすいタイプになります。ただ革製のトレーニングベルトと比べるとホールド感が低いというデメリットもあります。とはいっても、一般の方が健康目的でトレーニング行う場合は十分なサポート力だと思います。
一方、革製トレーニングベルトはナイロントレーニングベルトよりも高いホールド感があります。しかし、カビが生えやすく管理に手間がかかる、ナイロン製よりも重い、またこのタイプはピンバックル式しかないため、着脱に少々時間がかかるという難点があります。
パワーベルト、パワーリフティングベルト
本格的にスクワットやデッドリフトを高負荷で行う方が使用するベルトになります。オリンピック等のパワーリフティング競技で使用されているベルトです。
素材は革。ベルト幅は腰部も腹部も同じベルト幅になります。非常に頑丈で、トレーニングベルトよりもベルト幅、厚みがあるので、サポート力が増し、腹圧をかけやすくする効果があります。
スクワットとデッドリフトに特化したベルトになりますので、ベンチプレス時には向かないなどのトレーニング種目が限られます。
まとめ
トレーニングベルトを着用してトレーニングを行うことで、体幹部の「腹横筋」の意識が高まり、パフォーマンス向上が期待できます。また、お腹周りをしっかりサポートしてくれますので、怪我の予防に効果的です。
注意点としては、頼り過ぎてしまうことがあげられます。
トレーニングベルトをすることで、自らの筋肉を意識しなくても意識しやすくなったり、本来自らの筋肉で体を支えるべき局面で、トレーニングベルトが支えてくれることになります。トレーニングベルトはあくまでも補助として使用しましょう。
自身の筋肉をしっかり使うことをメインとして考え、そのうえでトレーニングベルトを使用すると良いと思います。ご自分に合うトレーニングベルトを見つけてみてください。