お尻の筋肉は、体の中心に位置しており、人体最大と言われている筋肉になります。体の中心であるお尻の筋肉が衰えることでもっとも注意すべき点は、「お尻だけでなく、その他すべての筋肉が衰えること」です。要は連動するのです。われわれの体はお尻に見合った体になっていきます。
今回は、お尻の筋肉の衰えを防止するためのトレーニング法をご紹介いたします。
お尻の筋肉が衰えるとどうなる!?
年齢とともにどうしてもやってくる衰えですが、お尻の筋肉はわれわれ人間にとって、もっとも重要な筋肉になります。
お尻の筋肉が衰えることで体にどのような影響があるのかを三つあげたいと思います。
太りやすい体になる
お尻の筋肉を人体でもっとも大きな筋肉です。そして、お尻の筋肉だけが衰えるということは考えられず、そのほかすべての筋肉が低下していると考えます。
すると基礎代謝が落ち、太りやすい体になってしまいます。また、お尻の筋肉が衰えると体力レベルも低下します。体を動かしたくても動かせない、すぐに疲れるなど運動量が減ることも太りやすくなる原因となります。
姿勢が悪くなる
お尻の筋肉とお腹の筋肉は連動して働くという体の構造となっているのですが、お尻の筋肉が衰えることでお腹の筋肉も衰えます。
お尻とお腹の筋肉は『抗重力筋』といい、重力に耐え姿勢を維持するために不可欠な筋肉になります。これらの筋肉が衰えることで、重力に負け、姿勢が崩れてしまうことが考えられます。
体を痛めるリスクが高まる
お尻の筋肉が衰えている時点で、普段の動作でお尻の筋肉が使えていないことが予想できます。お尻を普段の動作で使うには股関節中心の体の使い方を身につける必要があります。
お尻の筋肉が衰えている方は、強靭な股関節以外の比較的弱い関節を使っています。腰や膝、足首、首、肩などに負担をかけることになりますので、注意が必要となります。
お尻の筋肉の役割
お尻の筋肉でもっとも重要な役割は、「全身の筋肉を連動させること」です。人体の中心に位置しているため、下半身の力を上半身に伝え、また上半身の力を下半身に伝えるという役割を担っています。全身の筋肉の連動性が高まることで力をうまく全身に繋げ、より強い力を生み出すことが可能となるのです。
アスリートのお尻が一般人に比べて発達しているのはそのためです。そして一般人に比べてパフォーマンスが高いのもそのためです。どの競技においてもお尻を中心として体を動かし、全身の筋肉を連動させて動作しています。
では、お尻の筋肉が使えていないとどうなるかと言うと、連動が途切れます。お尻の筋肉が衰えることでその他の筋肉も衰え、まったく力もでません。よって、お尻の筋肉を鍛えることが最重要なのですが、実はただ鍛えれば良いということではなく、正しい鍛え方があるのです。
鍛えるよりも使えるようにする
近年では、「尻トレ」「美尻」といった様にお尻に注目が集まっています。お尻の重要性に気付く方も増えたように思います。
しかし、多くのトレーニング法を見てみると、お尻だけを鍛えてしまっているやり方が多いように思います。お尻を正しく鍛えるには、「鍛える前に普段の動作で使えるようにしなければならない」のです。そのためにトレーニング種目を選択する際のポイントとして二つあげ、ご説明していきます。
日常生活やスポーツ動作に直結したトレーニング
われわれは普段の何気ない動作の時に、無意識に全身の筋肉を連動させて体を動かしています。たとえばお尻の筋肉だけで歩くことは不可能なのです。お尻やお腹、太もも、ふくらはぎ、胸、背中、腕の筋肉をすべて使って体を動かしています。
このことを考えれば、トレーニングで行う種目も全身の筋肉を連動させた種目を選択することは極々自然なことです。
トレーニングは多種多様でなかには、お尻だけ、太ももの前だけ、胸だけなどと各部位に分けて刺激を入れるトレーニングもありますが、このようなトレーニングを行っているのは、自然界で人間だけです。かなり不自然なトレーニングだということがお分かりかと思います。
そのためトレーニング種目を選択する際には、股関節を中心とした動作で、一種目で全身の筋肉を連動させるようなものを選択するようにしましょう。
人間以外の動物たちは筋トレをしません。筋トレなどしなくとも普段の動作で自然と体が鍛えられ、必要な部位に必要なだけ筋肉がつき、動作しているかぎり筋肉量が低下することはありません。
われわれ人間も日常生活やスポーツ動作の際に全身の筋肉が連動する状態になれば、筋トレなどしなくとも筋肉が落ちることはなくなるのです。
股関節中心の連動性を高めるトレーニング
股関節を中心とした日常生活やスポーツ動作に直結した動作とは、ズバリ「スクワット」になります。日常生活では、歩く、走る、立つ、しゃがむ等の動作で、スポーツでは、走る、跳ぶ、投げるなどの動作で股関節、お尻の筋肉を使います。
そしてこの動作の根本に、実はスクワットが隠れています。これらの動作でお尻の筋肉が使えるようになれば、自然にお尻が鍛えられます。しかし、スクワットが正しくできていなければ全身の筋肉が連動しません。股関節を中心としたスクワットを行ってみましょう。
※参考動画より動作をご確認ください。
まとめ
お尻の筋肉を鍛えるためには、いかに全身の筋肉を連動させるかが鍵となります。そのためには、「股関節中心の正しい体の使い方」をスクワットで身につけていきましょう。
またスクワットもさまざま種類があり、より日常生活やスポーツの動作に近いものをたくさんあります。その動作を身につけ、日常生活でどのように生かせれているのかを見つけてみてください。意外といろんな場面でスクワットが隠れていますよ。
体づくりのポイントは、筋トレのための筋トレではなく、筋トレを日常生活に生かすことで日常生活を筋トレにすることが大切です。そうすれば日常生活の動作でも十分お尻の筋肉を鍛えることができます。普段の何気ない動作を改めて見直し、股関節中心の動作で生活できるように頑張ってみましょう。