スポーツに活かす筋トレの考え方

スポーツに活かす筋トレの考え方

プロ、アマ問わず、スポーツのパフォーマンスアップを目的に、筋トレを取り入れている方は多くいると思います。しかし、思うように成果が上がらず、逆にパフォーマンスがダウンしてしまったという話も耳にします。

今回は、スポーツのパフォーマンスアップのためには、どのようなことに注意して筋トレを行えばよいのかを解説していきます。

筋トレをしても効果が上がらない理由

スポーツで使う筋肉は、複合的に使われます。要するに一つの筋肉が単独で動くのではなく、複数の筋肉(ほぼ全身)が連動して動くのです。

そのため、直線的または平面的な動きはほとんどありません。複合的に、そして対角螺旋的に動くのです。簡単に表現すると「ひねり」という動きが多く使われるのです。

マシンを使った筋力トレを例にするとわかりやすいかもしれません。マシンを使った筋力トレは、ある特定の部位に絞って鍛えることが多くなります。「胸」や「腿」などの筋肉を特定して鍛えるのです。特定の筋肉を絞って鍛えるために動きとしては直線的な動きになります。

もし、スポーツのようなひねりを入れた動きで筋力トレをすると刺激が分散されて、特定の部位を発達させることはできません。複合的で連動する動きはスポーツそのものであり、これを筋力トレに転換させるのは至難の技です。

そればかりか、特定の筋肉を力んでトレーニングした結果、通常のスポーツでも力む癖がつき、しなやかで力強い動きができなくなってしまうこともあることは事実です。このことから、筋力トレで特定の筋肉を強くしたら、それを連動させる動きも並行して行わないと、スポーツにおいて筋力トレーニングが有効になることは少ないのが現実です。

しかし、上記の欠点を補うことを考えてトレーニングを行えば、有効なパワーアップを行うことは十分可能です。筋力トレーニングは「やり方」が、すべてなのです。

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スポーツにおいて主役になる筋肉

たとえば、ランナーの方からよくある相談の一つに、5~6キロくらい走ると膝周りが痛くなって走れなくなるというものがあります。この場合、大抵の人が走る量が足りないから痛くなるのだと結論づけることが多く、さらに走り込みを行って強い足をつくると考えることが多いようです。

しかし、走って膝が痛くなるのは、そのような対処では、なかなか解決できるものではありません。まず、このような人に行うトレーニングで必要なことは、走り方(身体の使い方)を変えることにあります。

5~6キロ走って膝周りが痛くなり走れなくなるのは、おおよそ運動不足や筋力不足だからではありません。ですので、走る量を増やしても、解決しません。答えは、「走る際に使う筋肉」を変えなくてはいけないということです。膝周りが痛くなるというのは、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)をメインに使っているのです。

それでは、どこの筋肉を使えばいいのかというと、答えはお尻の筋肉(股関節周りの筋肉)になります。この筋肉は、そもそも前に進むための筋肉なので、走るための筋肉とも言えます。

反対に、太ももの前の筋肉は止まる時や固定する際に使う筋肉になります。ブレーキに使う筋肉を使って走るというのはやはり無理があるのです。

このように、使う筋肉を変えるだけで、いきなり数倍走れるようになったという例は多くあります。ゴルフや、テニス、野球などのスポーツにも同じことが言えます。太ももの前の筋肉を多く使う人は、体幹部が使えないので、手打ちになる傾向があります。

その反対に、お尻の筋肉というのは、体幹部と連動して動くという特性があるために、この筋肉を使える人は、手打ちではなく身体全体で打つことができます。

このように、スポーツにおいて主役となる筋肉は、お尻の筋肉そして、体幹部の筋肉になります。それが理解できると、筋トレのやり方も明確になります。

日常生活の動きでスポーツは上達する

日常生活の動きでスポーツは上達する

スポーツでの身体の使い方と日常生活での身体の使い方は、基本的に同様の動きをします。同じ筋肉、そして同じ関節を用いて行う動作になりますので、考えてみると当然のことなのかもしれません。

たとえば、日常生活でもしゃがむ際は、スクワットと同様に膝から曲げていくのではなく、股関節から曲げていき(股関節の屈曲)外旋を意識する動きができるようになる必要があります。その際に、体幹部が働いている必要もあります。

そう考えてみると日常生活の動きは、スポーツと同じ動きになります。違うのは、出力の差になります。日常生活は、基本的には歩いて、しゃがんで、物を持つ(時には小走りをする)程度の動きになりますので、非常に出力は少ないといえます。

しかし、スポーツは、それとは異なるダイナミックな動きをすることが必要になる場合があります。出力の差こそあれ、要素はまったく同じなのです。ですから、日常生活での癖は、スポーツを行ううえでの癖となってあらわれます。

このことから、定期的なトレーニングで動きの修正などを繰り返すというのがスポーツの技術を向上させる上で必須になります。その動きは、やがて定着しスポーツにも日常生活にも生きてきます。それが、上達するということです。

そう考えるとトレーニングの時だけが、スポーツのためになるというのではありません。日常生活の動きも、ていねいな動きを繰り返すことで、立派なスポーツのトレーニングになるのです。

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行っているスポーツ自体で筋トレをするという発想

スポーツにおけるパフォーマンス向上を目指す筋トレの方法として、競技そのものを活用するという発想も非常に効果的です。これは、特定の筋肉を鍛えるだけでなく、スポーツに必要な動きを強化しながらトレーニングする方法です。

たとえば、野球を例に挙げると、バットスイング自体が優れた筋トレ方法となります。スイングを繰り返すことで、体幹や肩、腕の筋肉が強化され、さらにスイングスピードやコントロールが向上します。また、重いバットや抵抗のある器具を用いることで、通常のスイングよりも負荷をかけ、筋力を効率的に鍛えることができます。

ゴルフやテニスなどでも同様に、スイング動作を中心にトレーニングすることで、実践的な筋力を向上させることが可能です。

たとえば、ゴルフではスイングの際に股関節の動きや体幹の捻りが重要となるため、これを繰り返し行うことで、スポーツ特有の筋肉の強化につながります。また、テニスではラケットに抵抗を加えるトレーニングやラリーを繰り返すことで、腕力や体幹の安定性が養われます。

ランニングにおいても、ただ筋肉を鍛えるために重りを持つのではなく、実際の走行中に坂道ダッシュやスプリントを行うことで、脚の筋力と瞬発力を高めることができます。

このように、実際の動作に負荷をかけることで、自然な動きの中で筋力を鍛えることができ、スポーツに直結した成果が期待できます。

さらに、水泳の場合は水中での抵抗を利用して筋肉を鍛えることが可能です。たとえば、泳ぐ際にフィンやパドルを使用することで、腕や足にかかる負荷が増し、筋力トレーニングの効果が高まります。

このような方法は、筋肉だけでなく、技術的な向上やフォームの改善にもつながります。

こうしたスポーツ自体を活用したトレーニングの利点は、筋肉を鍛えると同時に実践的な動きを習得できる点です。特定の筋肉を集中的に鍛えるジムでの筋トレとは異なり、スポーツ特有の複雑な動きや筋肉の連動性を自然に強化することができます。

また、競技そのものをトレーニングとして行うため、楽しみながら続けられるというメリットもあります。

このアプローチでは、体幹や股関節といったスポーツの基本となる部分を重点的に鍛えることがポイントです。競技に直結する筋肉の使い方を意識しながらトレーニングすることで、動きがスムーズになり、パフォーマンスの向上が期待できます。

つまり、スポーツ自体を筋トレとして捉えることで、競技力の向上と筋力強化を効率よく両立することが可能になるのです。このような発想もとても大切になります。

まとめ

間違った筋トレは、スポーツにとって必要のない箇所を筋肥大させるので、動きのうえでマイナスになる場合があります。人間の筋肉は、「ここを使えばここが使われなくなる」というようにできているために、スポーツにとって必要のない筋肉を使えば、必要な筋肉は使われなくなるのです。

筋トレを行う際は、何の目的の筋トレを行うのかを考える必要があります。

ムキムキな体型を目指す筋トレは、「ボディーメイク」という分野になります。このボディーメイクは、あくまで見せるための筋肉になりますので、見た目が勝負になります。効率的に動けるとか、最大限のパワーを発揮するとか、痛みを改善させるなどの効用は期待できない分野です。

スポーツのために行うトレーニングとは、目的が違うということを理解しなければなりません。スポーツのための筋トレを行うはずなのに、ボディーメイクをしていたら、見た目は向上するかもしれませんが、スポーツの上達は望めないのです。

筋トレを行う際は、何の目的で行うかを明確化して行う必要があるのです。

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