多くのランナーが「タイムを縮めたい」「速く走れるようになりたい」と日々トレーニングを重ねていると思いますが、ただ走る量を増やしてみたり、何となく腹筋や背筋を鍛えてみたりといったトレーニングばかりになっていないでしょうか。「そもそも筋トレが必要なのか?」といった疑問もあるかと思います。
今回は筋トレを行うことでランニングにどのような影響があるのか、また、パフォーマンスアップに必要なおすすめの筋トレについて解説していきます。
筋トレがなぜ必要なのか?
通常、ランニングには持久力が必要とされています。
持久力強化には、心肺機能を高めるトレーニングがもっとも有効です。約20年前まではその考え方が当たり前とされており、多くのランナーが走る距離や時間を増やしていました。筋トレと言っても「腹筋」「背筋」くらいで専門的なトレーニングを行っていたのは、トップランナーでもほんの一部の選手だけでした。
しかし、ここ近年の、トップ選手のスピード化によって筋トレの重要性が示されたことで、多くのランナーが筋トレを導入するようになりました。
さまざまな研究で、速く走るために必要なものは「パワー(筋力)」「ランニングエコノミー(走りの経済性)」「スピード(神経伝達効率)」と言われています。この三つの要素が揃うことで速く走ることが可能になるのです。
そのなかでも筋力が重要とされ、エネルギーを作りだす筋肉量の差が、走りの快適さや効率を左右するとも言われています。筋トレで走るための筋肉を鍛えることで、むだのないフォームの獲得や、スタミナの向上、スピードアップなどの効果が期待できます。
筋トレで得られるメリット
身体が強くなる
速く長く走るためには、身体の強さがなければ走れません。
筋トレを行うことで走るために必要な筋肉がつきます。筋トレを行うことで筋肉だけではなく、骨の強化にもつながりフレーム(体幹)全体が強化されます。
ランニングと並行して適切な筋トレを行うと、故障のリスクを軽減できます。
速く動けるようになる
筋トレは無酸素運動ですので、走る動作には必要ないと考えがちですが、速く走るためには速筋繊維がないと速く走ることはできません。
速筋繊維の比率を上げることで、ストライドも伸び、スピーディーに脚を動かすことが可能になります。
筋持久力がアップする
筋トレを行うことで、筋持久力も向上します。やり方にもよりますが、身体を連動させて筋トレを行うことで、持続的に筋エネルギーを出すことが可能になります。
そうすると、身体全体でエネルギーをつくり出すことができるので、長時間のランニングも可能になります。
ランニングエコノミー(走りの経済性)の向上
筋トレを行うことで、フレーム(体幹部)が安定し効率よく筋肉が使えることによって、ランニングエコノミーが向上します。むだなく身体を扱い、エネルギーを効率よく使えるので、短い距離から長い距離まで幅広く対応することができます。
ランニングと筋トレの組み合わせ方
筋トレがランニングに良いと言っても、闇雲に筋トレを行っていては効果を得ることができません。ここでは、効果をだすために必要なことについて解説していきます。
同じ日にやらない場合
まず、ランニングを行う日、筋トレの日と分けて行います。
一日おきでも良いですし、平日は筋トレを行い、週末はランニングという感じで行うと身体への負担も少ないので、ビギナーの方も取り組みやすいと思います。
同じ日にどちらも行う場合
同じ日に行う場合は、ランニング後に筋トレ、筋トレ後にランニングのように連続して行わないようにしましょう。
基本的には午前中はランニング、午後に筋トレといった感じで行う方が、それぞれに集中して行うことができます。
もちろん、逆でも構いませんが、エネルギー効率を上げるために朝にランニングを行い、筋力アップのために成長ホルモンの分泌が活発な夜に筋トレを行った方がもっとも効率的です。
強度を変える
組み合わせる場合、ランニング、筋トレ共に強度には気をつけましょう。
特に、同じ日に行う場合は注意が必要です。
たとえば、午前中ハードなインターバル走を行い、午後は高重量を扱うような筋トレを行うと、身体は回復が追い付かず、最悪ケガに繋がってしまいます。ランニングの強度が高ければ筋トレの強度を落とす、ランニングの強度が低ければ(ジョグなど)筋トレの強度を上げるという感じで行うことが大切です。
同じ日にやらない場合は、身体の疲労具合をみながら、調整して行えば問題ないでしょう。
ランニングにおすすめの筋トレ
まとめ
以前は、「長距離ランナーに筋トレ(高強度)はいらない」と言われており、多くのランナーが、自重トレーニングや軽めの負荷でのトレーニングを行ってきました。
しかし、近年は走るだけでのトレーニングに限界を感じ、多くのトップランナーが筋トレを行うようになりました。その結果、長年破られることのなかった数々の世界記録が更新されるようになりました。
市民ランナーの間でも、「筋トレを取り入れてからタイムが上がった」「ケガをしなくなった」など、効果がでているようです。特に、高負荷を使ったスクワットやランジなどを取り入れることで、全身の連動性と強さが向上し、パフォーマンスアップにつながっています。
今までは補強トレーニングとして、筋トレは脇役的存在でしたが、現在は立派なランニングトレーニングと言えるでしょう。