理想の身体を目指して、日々トレーニングを頑張っていても、なかなか思いどおりに筋肉が成長しないと感じている方も多いと思います。
今回は、ただ闇雲に重いものを持ち上げたり、筋肉を追い込んでみたりと、筋肉に刺激は入っているけど、「大きくならない」「パワーが出ない」という悩みを解消するために、筋肉の特性、構造、成長させるために必要なことを解説していきます。
筋肉の種類
筋肉には、大きく分けると「内臓筋」「骨格筋」「心筋」の3種類があります。
内臓筋
内臓筋とは食道、胃、腸、血管などを構成する筋肉(おもに内臓)で組織学的には「平滑筋」に分類されます。
内臓筋は自律神経によって支配されているので、自分の意思では動かせない筋肉です。「不随意筋」ともよばれています。
骨格筋
骨格筋とは、骨格に沿って付いている筋肉のことで、組織学的には「横紋筋」に分類されます。骨格筋は、自分の意思で動かすことができる筋肉で、「随意筋」ともよばれています。
筋トレで鍛えていくのは、自分の意思で動かすことができる「骨格筋」になります。
体を動かす際には、骨格筋が主動筋や拮抗筋という二つの役割に分かれ、前者は文字どおり主軸として動き、後者は主動筋と真逆の動きをします。
心筋
心筋とは心臓壁を構成する筋肉のことで、組織学的には骨格筋と同じく「横紋筋」ですが、自分の意思で動かない内臓筋と同じく「不随意筋」になります。
激しい運動をした時には心臓の拍動が速くなり、安静時には拍動が遅くなるといったように、心筋の運動は自律神経によって調節されていますが、随意的に支配されているわけではありません。いわば、心筋は内臓筋と骨格筋のハイブリッド筋といえます。
心筋細胞は分裂する能力を持っていないため、心筋梗塞などで損傷・壊死すると再生することはできません。
筋肉の構造
筋肉は、「筋束」とよばれる束で構成されています。さらに筋束は、「筋線維」とよばれる長い線維が束になり構成されています。この筋線維の1本1本が、骨格筋の細胞に該当します。
また、骨格筋においてはほかの細胞と比べて長く、全長50cmに達するものもあります。そして、筋線維の細胞質には、「筋原線維」とよばれるタンパク質の束が詰まっています。
筋線維は性質により、「速筋線維」「遅筋線維」「中間筋線維」の3タイプに分かれます。
速筋線維は白筋とも言われ、短距離選手のように瞬間的に大きな力を必要とする運動に適しており、遅筋線維は赤筋とも言われ、マラソンなど持久力を必要とする運動に適しています。
中間筋線維は速筋と遅筋の中間的な性質をもっている筋線維です。筋肉の質は、個人差があり、生まれながらにして速筋線維と遅筋線維の割合が決まっています。もちろん、環境により左右もされます。
人間は、速筋や遅筋のどちらか一つの筋線維のみということはなく、速筋も遅筋も両方持ち合わせています。どちらかが優位ということは生まれつきの要素が大きいですが、環境によって割合は変化していきます。
筋肉を成長させるためには?
筋力トレーニング
まず、筋肉を成長させるためには、筋繊維に強い刺激を与える必要があります。
強い刺激を受けた筋繊維は、次に同じ刺激を受けても大丈夫なように太く強くなります。それを繰り返すことで、筋肉が少しずつ成長していきます。
では、どれくらい強い刺激を筋繊維に与えれば良いのでしょうか?
一般的には、80%以上の筋力を使う刺激を、繰り返し与える必要があります。
普段の生活だけでは、わずか20%〜30%程度の筋力しか使っていないと言われており、筋肉を成長させることはできません。
ただし、弱くても筋繊維に刺激を与えることは、筋肉量の維持にはとても有効です。
栄養補給
筋肉を成長させるためには、食事やサプリメントによる栄養補給も必要です。
筋トレによって筋量を増やしたり維持したりするためには、筋肉の原料であるタンパク質が必要不可欠です。また、筋肉の合成などにも必要なビタミン、ミネラルも必須です。
特にタンパク質の吸収・合成に欠かせない、ビタミンD、ビタミンB1,B2,B6は積極的に摂りましょう。
休養
筋肉を効率よく成長させるためには、休養も必要です。
休養に関する重要な理論の一つが「超回復理論」です。
筋肉はトレーニングで受けたダメージによって損傷します。損傷といっても目に見えないくらい細かい傷がつく程度です。筋トレ後、適切な休養と栄養補給を行うと、トレーニングをする前よりも強い筋肉が作られます。これを超回復といいます。
超回復は時間と密接な関係があり、筋肉がダメージを受けてから、より強い筋肉をつくるまで48~72時間程度(二日から三日程度)の休養が必要だと言われています。
関連動画
まとめ
筋肉の特性や機能を理解しておくと、質の高い効果的なトレーニングを行うことが可能になります。そして、筋肉を効率よく成長させるためには、「筋力トレーニング」「栄養補給」「休養」をバランスよく行うことが大切です。
闇雲に筋トレを行なうことは、思うような効果が得られないだけでなく、ケガのリスクも高まります。正しい知識を持って、筋トレに励みましょう!!