トレーニング前後のサウナは筋肉にどのような影響を及ぼすのか?

トレーニング前後のサウナは筋肉にどのような影響を及ぼすのか?

サウナの発祥はフィンランドとされ、日照時間の少ない土地で厳しい寒さを乗り越えるため、また労働による疲労を回復させるために考えられたのがサウナの起源となります。

1936年のベルリンオリンピックにおいて、フィンランド代表が選手村にサウナを持ち込んだことを皮切りにヨーロッパ全土に広がり、その後日本にサウナが広まったのは1964年の東京オリンピックに選手村にサウナ施設を設けた時からだそうです。

一般の方よりも日々激しいトレーニングを行っていて、身体のメンテナンスに対して人一倍こだわりを持つオリンピック選手がサウナを取り入れるということは、筋肉に対する影響にはメリットが多いことをもの語っているのではないでしょうか。

今回は、トレーニング前後にサウナに入ることで筋肉に与える影響についてお伝えしていきます。

トレーニング前にサウナに入るメリット

トレーニング前や、スポーツ競技前にサウナに入る場合は、長時間入り汗をどっぷりかいたり、疲労感がでるほどの強度でサウナを利用することは避けましょう。

目安はサウナに入っている時に「つらいな」と感じる前に出るようにしましょう。トレーニング前の準備運動と同じように、軽く汗を流す程度に留め、適度に体が温まる程度にしましょう。

トレーニング前に「体が硬いな、重いな」と感じる時に、筋肉をほぐす目的でサウナを利用すると良いでしょう。特に冬場は体が冷え筋肉が硬直していますので、サウナで体を温めることで血流が良くなり、筋肉が柔らかくなります。

また、精神的な安定を図るうえでも非常に効果的とされています。いまいちやる気がでない時、集中できない時などに入ると気持ちがリフレッシュされ、トレーニング効果を向上させる手助けとなります。

トレーニング後にサウナに入るメリット

トレーニング後にサウナを利用する際には、できるだけ「直後」は避けるようにしましょう。

近年では、スポーツジムにサウナを設けている場所もあるためすぐに入ることが可能ですが、トレーニング後は心拍数や体温が高まっていて、体内の水分量も汗をかくことにより減少しています。

軽く汗を流す程度のトレーニングであればさほど心配する必要はないかと思いますが、高強度のトレーニングを行い、疲労感を強く感じる時などは注意が必要となります。この状態でサウナを利用すると、余計疲労を溜めることになり、逆効果となります。

疲労回復効果

トレーニング後にサウナを利用する際には、30分~1時間はしっかり休息を取り、心拍数や体温を元の状態に戻し、スポーツドリンク等の水分を摂取してから入るようにしましょう。

正しい方法で、トレーニング後サウナを利用することで血流が良くなり、疲労回復効果が促進され、筋肉の修復が早まることが期待できます。

ヒートショックプロテインが増加する

また、体温が38℃以上の状態が一定時間あることで「ヒートショックプロテイン(HSP)」というたんぱく質が増加すると言われています。

HSPを一言で言うと、「ストレスから身を守るためのホルモン」です。
トレーニングにより筋肉や関節、内臓その他すべてにストレスがかかっています。HSPが増加すると、そのストレスが軽減することが期待できるため、トレーニングによる疲労軽減、筋肉痛の軽減が期待できます。

安眠効果

サウナに入り体温が上昇することで、「セロトニン」というホルモンが増加します。

セロトニンは脳から分泌される睡眠ホルモンで、通称「幸せホルモン」とよばれています。心身のリラックス効果を高め、ストレス耐性を上げてくれます。トレーニングで傷ついた体は睡眠中に修復しますので、睡眠の質を上げることがとても重要なのです。

しっかり寝る時間は確保しているものの、朝起きても疲れが取れていないという方が多くいらっしゃいます。仕事や家庭のストレスなどで気持ちが落ち着かず、精神的にリラックスできていない状態だと良い睡眠が取れず、疲れが取れません。

サウナによってセロトニンが増加すると精神的にリラックスすることができ、眠る時に副交感神経が活発になることで、深い睡眠が取れることが期待できます。

温冷浴の効果

温冷浴とは、熱いサウナと水風呂を交互に入浴する方法のことです。

サウナに入ることで血管が拡張し血流が良くなります。その後、水風呂に入ると拡張した血管が今度は収縮します。何度かこれを繰り返すことにより、血管が収縮弛緩を繰り返すことになります。

これにより、温冷浴をする前よりも血管が柔軟になり、血流が良くなることで疲労回復や酸素や栄養素が効率よく運ばれ、体が軽くスッキリします。また温と冷の繰り返しにより、交感神経と副交感神経が交互に刺激を受け、自律神経の改善も期待できます。

温冷浴の方法としては、サウナと水風呂だけを交互に行うと心拍数が落ち着かず、逆に疲労が溜まってしまうので、「サウナ→水風呂→外気浴」という順番がおススメです。心拍数を外気浴(休憩)で完全に落ち着かせてから、再度サウナに入るようにしましょう。

温冷浴の注意点として、健康やトレーニングによる疲労回復等に効果的とされてはいますが、急激な温度変化は、当然のことながら、体に多大なる負荷を与えています。持病(循環器系の疾患など)があったり、体調不良の際などは、決して無理をしないようにしましょう。

温冷浴の効果

サウナに入る前にしてほしいこと

サウナに入ることでさまざまなメリットがありますが、残念ながら失うものもあります。

それはビタミン・ミネラルです。
トレーニング後に入ることを考えると、余計に失っていることが予想されます。特に、水溶性ビタミンが体から失われますので、免疫力の低下、ストレス抵抗力減少などが起こりえます。

近年では、失われたビタミンやミネラルを補給するサウナドリンクが販売されていますので、それを飲んでいただいても良いです。それでなくとも、近年では、ドラックストアなどでサプリメントが購入できます。

特に、サウナ前にはビタミンCを取ることをおススメします。ミネラルはマグネシウムを取ると良いです。サプリメントでもいいですし、筆者はにがり(海の天然ミネラル)を体に塗り、経皮からマグネシウムを取り入れてからサウナに入るようにしています。

サウナ前にこれらを取り、できればサウナ後も同様に摂取するようにすると良いです。

まとめ

サウナは心身のストレスを除去する最高のツールと言えます。
ただし、利用方法を誤ると逆効果になることもありますので、注意が必要です。

サウナに入る時間、水風呂に入る時間、外気浴の時間には個人差がありますので、パターンを変えていろいろとお試しいただき、自分の最適なサウナタイムを見つけてください。

その時その時の体調によっても入浴時間は変わってくるかと思いますので、決して無理はせず、「ちょっとものたりないかな」くらいに留めておきましょう。

しっかり休憩と水分補給を取りながら、サウナを楽しんでください。

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