筋トレを始めると、いかに効率的に体を変えられるかということを考えるのではないでしょうか?いろいろな方法があるなかの一つに「栄養」があります。
規則正しい食生活は言うまでもなく大切ですが、体づくりを行ううえで必要な栄養素をしっかり摂取できるかというと疑問です。
基本的には食事から栄養素を摂取することが理想ではありますが、すべてを食事から摂取しようとするとものすごい量の食物を食べなければなりません。短期間なら可能かもしれませんが、続けることが困難になります。
また必要な栄養以外の栄養も余計に摂取することになり、肥満の原因ともなります。その際に、摂りたいものを摂りたいだけ摂取することのできるサプリメントを活用すると非常に楽ですし継続することが可能です。
今回は、トレーニングの効果を向上させるためのサプリメントをご紹介していきます。
プロテイン「人間の体はたんぱく質でできている」
初めにプロテイン(たんぱく質)ってなに?ということをご説明します。
われわれ人間の体の約60%は水分でできていますが、15〜20%はたんぱく質でできています。たんぱく質によって筋肉や内臓、肌、爪、髪、体内のすべてのホルモンや酵素、免疫物質を作ります。
たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されています。アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類を「必須アミノ酸」と言います。体内で必要量を合成できないため、食事から摂取する必要があります。
プロテインの摂取方法
体は日々、「同化と異化」を繰り返しています。髪や爪が伸びるように新しく作られますが、少し視点を変えると目に見えないところで筋肉や臓器など古くなった部分は分解されて体外へ排出され、食事から摂取した新しいたんぱく質で再合成を繰り返しています。
そのため、体を日々新しく作り変えるために「常に体にたんぱく質を満たしておく」ことが大切です。日々、満たすことで、筋肉量の維持、増加の助けになります。
肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品を一日の中でバランス良く取り入れましょう。一日に必要なたんぱく質の量に関しては、性別や体重などにより異なりますが、目安としては体重×1〜2gで考えると良いでしょう。するとなかなか食事だけから必要量を摂取することが難しく、短期間ならばできるとは思いますが、長期に渡って継続することが困難になります。
食事での摂取が難しいという方は、プロテインドリンクを活用することがオススメです。コンビニやスーパーなどで手軽に手に入りますし、良質なたんぱく質だけを摂取することができるのもメリットです。
プロテインの種類
プロテインは大きく三つに分けられます。ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインです。
一般的にコンビニやスーパーなどで販売されているプロテインは大抵ホエイプロテインになります。ホエイプロテインは母乳に成分が近く、体内に吸収されるスピードが早く1〜2時間で吸収されるのが特長です。
カゼインプロテインは吸収が緩やかなのが特長です。またソイプロテインもカゼインプロテインと同様、吸収がゆるやかという特長があります。ホエイプロテインの3〜4倍ほどの時間がかかると言われています。
どのプロテインでも20種類のアミノ酸を補給することが可能です。必須アミノ酸の含有量で比較するとソイプロテインよりホエイプロテインのほうが多くなりますが、どれが良いとか悪いとかということはなく、どのプロテインも良質なたんぱく質を摂取することが可能ですので、ご自身の飲みやすいものを選択することをお勧めします。
BCAA「筋肉のエネルギー源」
BCAAとは(Branched-Chain Amino Acids:分岐鎖アミノ酸)バリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。BCAAのおもな働きとしては、運動時の筋肉でのエネルギー源となります。
骨格筋を動かすには、ATP(アデノシン三リン酸)を生成する必要があります。ATPを簡単に言うとエネルギーを蓄えたカプセルのようなものです。このATPは筋肉を動かす等でエネルギーが必要とされているところで、エネルギーを放出し、ADP(アデノシン二リン酸)になります。
そしてまたADPからATPに再合成し、またエネルギーを放出して筋肉を動かすということを繰り返し行い、筋肉を動かしています。 そしてADPからATPに再合成させるためにBCAAが必要になります。
プロテインの中にもBCAAは含まれていますが、BCAAは必須アミノ酸の3種類だけに特化しておりプロテインよりも体内への吸収が早いです。
BCAAは筋肉の分解を抑制する
日々の食事で肉や魚などといったたんぱく質を摂取すると、体内でアミノ酸となり体を動かすエネルギーになったり、筋肉や髪、爪、皮膚等、体を構成させる物質になります。
また摂取したアミノ酸は体内に溜められます。遊離アミノ酸としてどこか一箇所に溜まるのではなく、血液中や骨格筋内、肝臓に貯蔵されていて、必要な時すぐに必要な箇所に補給できるようにたくさん溜め込んでいます。日々の食事でたんぱく質を取ることも非常に大切ということです。
そしてBCAAは使用される順番が決まっています。まず血液中のBCAAが使用され、足りなくなると筋肉中に貯蔵されているBCAAが使用されます。 筋肉中のBCAAがエネルギー源として使用される時に、筋肉が分解されます。
そのため筋トレで筋肉増強を目的としていても、体内のBCAAが不足しているとすれば、むしろ筋トレを行う度に筋肉減弱するということになります。これを防止するには、血液中のBCAA量を増やす必要があり、そのために運動前や運動なかには、即時血液中に吸収されるBCAAのサプリメント使用が好ましいです。
筋疲労の回復に効果的
先に述べたように運動中にBCAAが体内で足りなくなると、筋肉を分解してエネルギー源にされ、筋損傷や筋疲労につながることが知られています。運動前後に BCAAを摂取することでこれを抑制することが可能になります。
EAA「9種類の必須アミノ酸」
EAAは「Essential Amino Acids」の略で、必須アミノ酸を指します。
アミノ酸は全部で20種類あり、体内で合成できる非必須アミノ酸が11種類(NEAA)、体内で合成できず、食事やサプリメントで摂取しなければならない9種類の必須アミノ酸(EAA)に分類されます。
BCAAとの違いについてよくご質問をいただきますが、BCAAのご説明の際にお伝えしたとおり、BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンの総称になり、この3種類で構成されています。その点EAAはその他6種類のアミノ酸を含有しておりその違いとなります。
おもにEAAを摂取する目的に関しては、BCAAと同様と考えて良いかと思います。
BCAAとEAAどちらを飲めば良いのか?
ほんの少しおさらいをすると、BCAAは必須アミノ酸の中の3種類のバリン、ロイシン、イソロイシンの総称で、EAAは必須アミノ酸全9種類のメチオニン、リジン、フェニルアラニン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシンの総称になります。
筋トレ中のアミノ酸摂取サプリメントは、以前はBCAAが全盛でした。その理由としては、必須アミノ酸の中でもバリン、ロイシン、イソロイシンが重要とされていたためです。特にロイシンは必須アミノ酸の中でも筋肉量の維持、増加につながるたんぱく質同化作用が強いことが知られていますので、BCAAのサプリメントの多くは、ロイシンの含有量が多くなります。要するに一部のアミノ酸に特化しているということになります。
近年では、EAAは9種類すべての必須アミノ酸をバランス良く摂取することができることが注目されており、必須アミノ酸のバランスを考えるのであればEAAを摂取する方が無難です。
まとめ
食事で摂取したたんぱく質がアミノ酸に分解されて、体内に吸収するスピードは約3〜4時間と言われています。その点サプリメントを使用するとすでにアミノ酸に分解されていますので、体内に吸収するスピードは速くなります。
プロテインは20種類すべてのアミノ酸を摂取することが可能で、体内に吸収するスピードはホエイプロテインの場合1〜2時間、カゼインプロテインやソイプロテインの場合はホエイプロテインの3〜4倍をかけてゆっくり吸収されると言われています。
BCAAは3種類の必須アミノ酸、 EAAは9種類の必須アミノ酸を摂取することが可能です。体内に吸収するスピードは30分〜1時間と言われています。
トレーニングを行う際は、これらの吸収時間を逆算して筋トレの前にサプリメントを摂取すると効果的です。
もちろんすべてのサプリメントを飲む必要はなく、むしろ筋トレの3時間前に食事でたんぱく質を摂取したのであればサプリメントを取る必要はありませんし、1時間前にプロテインを摂取したのであれば、BCAAやEAAを摂取する必要はありません。状況に応じて、飲むようにしましょう。
プロテインやBCAA、EAAのサプリメントは、飲めば急激に筋肉が発達するような魔法の粉ではありません。そのためサプリメントで必須アミノ酸を摂取しているからと言って、普段の食生活が疎かになっていては効果も出にくくなります。
優先順位としては、普段の食生活でしっかり肉類や魚介類、卵類、大豆製品、乳製品を積極的に摂取するようにしましょう。そのうえでさらにレベルアップを目指す方がサプリメントを摂取するようにすると効果的です。
あくまでもサプリメントは栄養補助食品ですので、基本的にはリアルフードから必須アミノ酸を摂取するように心掛けましょう。