トレーニング中に音楽を聴くことのメリット・デメリット ~目的別選曲方法~

トレーニング中に音楽を聴くことのメリット・デメリット

日常生活のなかで、よく耳を澄ますとさまざまな所で音楽が取り入れられています。われわれはその音楽を何気なく聴いていて、知らず知らずのうちに音楽の影響を受けています。トレーニングジムでも必ず音楽が流れています。ランニングやウォーキング中にも音楽を聴いている方も多いのではないでしょうか。

はたしてトレーニング中に音楽を聴くことにより、トレーニングにどのような影響があるのかを今回はご紹介いたします。

音楽を聴きながらトレーニングをするメリット

音楽を定義するには、三つの要素が必要だと言われています。

それは「リズム・メロディー・ハーモニー」です。三つの要素のうちわれわれ動物が最初に体感するのは、「リズム」です。要するに母親のお腹の中にいた時に、心拍によりリズムを認識していたのです。

そしてトレーニングにはこのリズム(心拍)を音楽によってうまくコントロールすることで効果的なトレーニングを行うことが可能になります。

音楽を聴きながらトレーニングをするメリットを5つご紹介いたします。

気分転換になる

人間の心拍数は、1分間に平均60~100と言われています。音楽のリズムも60~100bpmのリズムが心地よいリズムと言われています。

心地よいリズムを感じている時は、「ドーパミン」という脳内ホルモンが分泌され、ワクワクした喜びの感情が生まれます。ドーパミンが出ることにより幸せな気持ちになり、トレーニングに対する意欲を向上します。また集中力がアップし効率的にトレーニングを行うことができます。

精神安定効果

トレーニング中に音楽を聴くことで、ドーパミンやセロトニンといったホルモンが分泌されるため、精神安定効果が得られ、気持ちをコントロールしやすくなります。その結果、トレーニングによる痛みや辛さを和らげる効果や集中力を高めてくれます。

トレーニングに限らず、たとえば医師や看護師がリラックスして手術に臨めるように執刀中に音楽を流す医師も多いようです

三つのリズムの調和

たとえばランニング時には、心拍リズム・呼吸リズム・運動リズムが刻まれています。

この異なる三つのリズムが相互に作用して一つに同調する現象を「カップリング」と言います。トレーニング中に音楽を聴くと自然と音楽のリズムに合わせた動きになっていくため、カップリングが起こりやすくなります。

モチベーションの維持

日々のお仕ことなどで疲れているなどでトレーニングを行う気力がない時でもモチベーションが引きあがるような音楽を聴くことにより、気分を運動モードへと切り替えることにもたいへん有効です。

好きな音楽を聴きながら運動を行うことで辛さが和らいだり、音楽の方へ意識が向かい時間を忘れて運動し続けることができ、長く感じやすいトレーニングの時間を短く感じさせ、苦痛の低減に効果的となります。

カロリー消費が向上する

音楽を聴くことが直接脂肪燃焼に影響を与える訳ではありませんが、音楽を聴くことで運動による辛さが紛れて、パフォーマンスが向上することが期待できるため、同じ時間でのトレーニングの場合、音楽を聴きながら実施することにより運動量が向上し消費カロリーが増えることが期待できます。

音楽を聴きながらトレーニングをするメリット

音楽を聴きながらトレーニングを行うことによるデメリットももちろん生じます。聞く音楽の選択を間違うとすべてのリズムを狂わせてしまうということです。

するとメリットでお伝えしたことの、まったく反対の結果につながりますので注意が必要です。音楽を聴きながらトレーニングをするデメリットを三つご紹介いたします。

リズムを狂わす原因となる

音楽のテンポは、トレーニングのリズムに影響を与えています。

特にランニングやウォーキング等のシンプルな動作を繰り返し行う際、走るペースや目的によってそのトレーニングにあったテンポの曲を選択することが大切です。聴いている音楽のテンポが変わると走るペースが狂い、スピードを維持することができず、余計な疲労を蓄積することにもつながります。

近年では、トレーニング用の音楽が販売されていますし、動作サイト等でもテンポやトレーニングの目的に合わせられるように、各bpmで音楽が手軽に聴けるようになっていますので、うまく活用してみてはいかがでしょうか。

音楽に気を取られてしまう

トレーニング中に聞く音楽は、歌詞が聞き取れない曲を選択するようにしましょう。

J-POPの日本語の歌詞が耳に入り、無意識で脳内で自然に歌ってしまうことがあります。すると音楽を気にしすぎて、トレーニングに対する意識が薄れ、集中力が散漫になってしまいます。そのためJ-POPよりも洋楽のように、歌詞があまり理解できない曲を選択した方が集中できます。

また歌詞の内容で曲を選択するよりも心地よいテンポで曲を選択するようにすると良いです。

正しい動作の意識が薄れる

慣れていないトレーニングや複雑な動作を身につけるなどのトレーニングでは、音楽を聴き入ってしまうと正しい動作の意識が薄れる可能性があります。

また使っている筋肉を意識することもトレーニングではとても大切なことですが、その意識も薄れてしまうこともあります。

トレーニングの目的別選曲方法

ウォーミングアップ時

トレーニング開始前は、いかにモチベーションを高めるかが重要になります。

「この曲を聴けばテンションが上がる」という一曲を見つけてみてください。また好きなスポーツに関係している曲は、聴くだけでその瞬間を思い出し、モチベーションが高まります。

オリンピックやワールドカップの際に流れていた曲もその瞬間の興奮を思い出し、ご自分の好きな曲を選択するよりもよりいっそうトレーニングへのモチベーションが高まります。

筋トレ時

筋トレ中は、動作や使用している筋肉の意識を高めることが大切になります。

またつらい、きついという瞬間はどちらにしても音楽を聴いている余裕はありません。そのため筋トレ中に聴く音楽としては、自分の好きな音楽というよりは、あまり意味が聞き取れない洋楽でアップテンポな曲を選択するようにしましょう。

英語が聞き取れる方はその他の言語の曲を選択するようにします。

有酸素運動時

有酸素運動は単調な動作になるため、いかにトレーニング時間を短く感じさせるかで曲を選択すると良いでしょう。屋外でランニングやウォーキングを行うのであればまだ景色を見たり、知らないところに行くなど楽しめると思います。

しかし特にトレッドミル等の室内でマシンを使用した有酸素運動の場合、ついどのくらい運動したかを確認するなど時計を見てしまうと時間が長く感じます。有酸素運動時には自分の好きなアーティストの曲、思い出の曲を聴くことで時間を短く感じさせることができます。

また目的とする運動強度の心拍に合わせた曲を聴くようにすると走るスピードを一定に保つことができます。

クールダウン時

クールダウン時に聴く音楽としては、心拍を抑えリラックスできるようなヒーリングミュージックを活用しましょう。波の音や風の音、川のせせらぎの音など自然の音を聴くことで心が落ち着き、効果的なクールダウンが行えます。

まとめ

トレーニング中に音楽を聴くことは、気分転換や集中力向上、精神安定効果など多くのメリットがあります。心地よいリズムを感じると、脳内で「ドーパミン」や「セロトニン」が分泌され、気分が向上しトレーニングへの意欲が高まります。リズムにより心拍や運動リズムが整えられ、効率的に動けるようになるため、トレーニングの持続性が上がり、結果としてカロリー消費も向上します。しかし一方で、音楽がリズムを狂わせる原因となったり、集中力を妨げるデメリットもあります。特にテンポの合わない曲を選ぶとペースが崩れ、余計な疲労を感じることがあります。また、歌詞が理解しやすい音楽だと無意識に歌詞に集中してしまい、動作や筋肉への意識が薄れやすくなるため、慣れていない動作や複雑なトレーニングでは注意が必要です。トレーニングの種類や目的に合わせた音楽を選び、メリットを最大限に活用しましょう。

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