私たち人間は、年を重ねることによる体の変化、つまり老化を止めることは残念ながらできません。
なぜ、私たちの体は老化していくのでしょうか。
その大きな原因の一つが “活性酸素” です。その活性酸素が身体にダメージを与える有害物質・老化物質だ…ということは、近年広く知られるようになってきました。
今回は、活性酸素とはどういうものか、活性酸素が発生する原因や、それを消すためにはどのようなことが必要かなど、活性酸素について解説します。
活性酸素とは
私たちの体はなぜ、老化していくのでしょうか?
たとえば、リンゴを切ってそのままにしておくと、切ったところの色が黄色く変色していきます。これは空気中の酸素に触れて、リンゴが酸化してしまうからです。それと同じようなことが私たちの体でも起きているのです。その体を酸化させる大きな原因が『活性酸素』だと言われています。
活性酸素とは簡単に言うと、体内にとり込んだ酸素の燃えカスやサビみたいなもので、呼吸をしているだけでも発生しますし、紫外線やストレス、喫煙などによってもさらに増えていきます。
活性酸素は、約50年以上前にアメリカの生化学者フリードリッヒ博士の研究により、解明されたと言われています。さらに世界各国で研究がされた結果、病気の原因の約90%が活性酸素によるものということがわかっています。
私たちの体を構成する細胞はおよそ60兆個あると言われていますが、その細胞一つひとつが元気で正常であれば、健康を維持できるのですが、活性酸素が細胞を攻撃して酸化させると、体の不調や老化が生じてしまいます。
たとえば、血管の細胞が酸化されると、血管系の疾患を患ったり、皮膚の細胞が酸化されると、皮膚疾患になるというようなイメージです。このような酸化という現象が、目や胃、腎臓、脳などすべての臓器に同じようなことが言えます。
活性酸素の分類
活性酸素は大きく分けると、善玉活性酸素と悪玉活性酸素の二つに分けることができます。
善玉活性酸素
体内に侵入してきた細菌やウイルス、有害物質などを排除します。風邪や病気などから身体を守る免疫作用があります。
- スーパーオキシド
細菌やウイルスから身体を守ってくれる働きをする。エネルギー代謝の過程や体内に細菌やウイルスなど異物が侵入した際に、最初に大量に発生する。 - 過酸化水素
スーパーオキシドからの反応により、体内で常に発生している。
悪玉活性酸素
正常な細胞や遺伝子をも攻撃してしまう。強い酸化力で身体をサビさせ、老化や病気を誘発します。
- 一重項酸素(いちじゅうこうさんそ)
紫外線など光の刺激により、皮膚や目に発生する。皮膚を形成しているたんぱく質や脂肪を酸化・変質させる。肌にハリを保つコラーゲンの網目や、みずみずしさを保つヒアルロン酸の鎖を切断してしまう。これによって肌がたるみ、肌がカサカサしてシワやシミが増える仕組みになっている。 - ヒドロキシラジカル
過酸化水素がさらに反応して発生し、手当たりしだいに酸化反応を起こす。遺伝子や細胞膜を傷つける発ガンの張本人を言われており、スーパーオキシドの数十倍の活性を持っているとされる。
活性酸素が発生する原因
呼吸をすることで酸素が体内にとり込まれると、赤血球によって細胞に運ばれ、体内で栄養分を分解します。脂肪や糖分を燃焼させて生きていくためのエネルギーを作り出します。そのエネルギーを作り出す働きをするのがミトコンドリアで、エネルギーを作り出す過程で同時に約2~3%の活性酸素を作り出してしまいます。
普通に生活をしていても活性酸素は発生してしまいますが、とくに食生活の乱れやストレス、運動不足、逆に激しすぎる運動、食品添加物、放射線などが原因となって過剰に発生してしまいます。この発生した活性酸素の中から悪玉活性酸素となり、体に悪い影響を与えるものがでてきます。
悪玉活性酸素が引き起こす症状
悪玉活性酸素は強力な酸化力で細胞や遺伝子を破壊し、コラーゲンや酵素などを作り出すたんぱく質などに障害を与えてしまいます。そして体中で病気や老化の症状を引き起こしてしまいます。
【血管系疾患】
血管の老化、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞、高脂血症、高血圧症
【内科系疾患】
ガン、糖尿病(白内障)、肺炎、胃炎、胃潰瘍、大腸疾患、肝臓疾患
【皮膚系疾患】
アトピー性皮膚炎、しみ、しわ、そばかす、肌荒れ、白内障、呼吸器疾患、甲状腺疾患
【その他】
パーキンソン病、関節リウマチ、花粉症、鼻炎、冷え性、肩こり、便秘、疲労、二日酔い
抗酸化物質について
抗酸化物質
抗酸化物質とは、酸化されやすい物質の事で、体が酸化されるよりも優先的に酸化されます。抗酸化物質自身が酸化されることで、体を酸化から防御してくれていることになります。
体内には、活性酸素の働きを抑える酵素が存在し、身を守ってくれています。そして、ビタミンC、ビタミンE、カテキンなどをはじめとする抗酸化物質も活性酸素を押さえてくれる働きがあります。
ただし、抗酸化物質は正常に機能している善玉活性酸素にも反応してしまいます。それによって善玉活性酸素が減少してしまうという現象が生じてしまいます。
水素
水素は善玉活性酸素には反応せず、細胞にダメージを与える悪玉活性酸素にだけ反応し、除去してくれます。
水素には副作用がありません。そればかりか、下記の化学式のように、悪玉活性酸素のヒドロキシラジカルに水分子を渡して無害な水に変身させます。
水素はビタミンCの176倍、ポリフェノールの221倍、カテキンの290倍、ビタミンEの431倍という驚くべき強力な抗酸化力があるにもかかわらず、副作用がないので、摂取しすぎても問題ありません。
老化を防ぐ抗酸化物質
- ビタミンC
水溶性の抗酸化物質。レモン、アセロラ、ゴーヤー、ブロッコリーなどに豊富に含まれる。 - ビタミンE
脂溶性の抗酸化物質。アーモンド、アボカド、ほうれん草、トマトなどに含まれる。 - ポリフェノール
植物の抗酸化物質。炎症を抑える効果、疲労回復、ストレス解消、美肌効果などがあり、ブルーベリー、赤ワイン、カカオ、ナッツ類に多く含まれる。 - グルタチオン
体内で合成される抗酸化物質。活性酸素を除去するだけでなく、毒素や有害物質を体外に排出する働きも持っている。アボカド、ニンニク、ターメリックなどの食品に含まれる。 - カロテノイド
色素の一種であり、抗酸化物質。βカロテン、リコピン、ルテインなどがある。免疫力の強化や白くの改善にも効果がある。ニンジン、カボチャ、トマトなどに含まれる。 - セレニウム
体内で合成することができない抗酸化物質。グルタチオンペルオキシダーゼという酵素を活性化することで活性酸素を取り除くことができる。魚介類、肉類、穀類などの食品に含まれる。 - ポリアクチノール
海藻や魚卵などの食品に含まれる抗酸化物質。血管強化効果もある。 - ウコン
黄色い色素成分であるクルクミンを含む根幹部分が利用される。 - グレープシードオイル
ぶどうの種から抽出された抗酸化物質。抗炎症作用や血液改善効果があるとされている。 - アスタキサンチン
藻類やエビ、サケなどの赤い色素成分で、強力な抗酸化作用を持つ。免疫力の強化や疲労回復効果があるとされている。 - リコピン
トマトなどに含まれる赤い色素成分で、強力な抗酸化作用を持つ。
動脈硬化やがんの予防にも効果があるとされている。 - セレノプロテイン
セレンというミネラルと結合してできるたんぱく質の一種で強力な抗酸化作用を持つ。ブラジルナッツに多く含まれています。 - クロロフィル
緑色植物に含まれる色素成分で、抗酸化作用だけでなく、解毒作用もあるとされている。ホウレン草や小松菜などの緑黄色野菜に含まれる。 - カテキン
緑茶や紅茶に含まれるポリフェノールの一種。細胞老化や動脈硬化の予防効果があるとされている。緑茶や紅茶を摂取することで、ストレスや疲れの緩和にもつながるとされている。 - アントシアニン
ブルーベリーやイチゴ、ラズベリーなどの赤紫色の果物や野菜に含まれる色素成分。目の疲れや視力低下の予防、動脈硬化の予防に効果があるとされている。 - クエルセチン
天然に存在するポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つ。血管内皮作用や血圧の低下にも関与しているとされている。炎症やアレルギー反応を抑制する作用もある。赤ワインやリンゴ、玉ねぎ、お茶に含まれている。ガンの発生や進行を抑制する可能性があるともされている。
まとめ
私たちの体にダメージを与え、老化の原因となる活性酸素には、善玉と悪玉が存在します。病気や老化の原因となる悪玉の活性酸素を除去し、健康で若々しい体でいるためには、抗酸化物質を含む新鮮な果物や野菜を食べたり、水素を取り入れたり、適度な運動を行ったりすることが大切になります。