良い姿勢とは?という問いにはっきりと自信を持ってお答えできるでしょうか?多くの場合、姿勢についてまったく考えていないか、もしくは間違った理論を身につけてしまっている方が多くいらっしゃいます。
実は正しい姿勢とは、その姿勢になっているだけで自然とその姿勢が筋トレになっています。この筋トレを行えば良い姿勢になるという訳ではありません。良い姿勢というのは本来簡単に身につけることができ、きっと今までよりも体が軽く楽に感じることと思います。
今回は正しい座り姿勢と立ち姿勢を明確にお伝えしていきます。
良い姿勢とは?
皆さまは普段の生活のなかで、良い姿勢を意識していますのでしょうか?そもそも良い姿勢とは何か?を明確にお答えできる方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。
良い姿勢とは、「関節や筋肉に無理な負担がかからない、楽な姿勢」が理想になります。良い姿勢を「胸をしっかり張る」「顎を引く」「壁に背中、かかと、お尻、背中、頭をすべてが壁にペタッとつく」などと勘違いされていることが多いです。
正しい体の使い方で座る、立つことを意識すると結果そのように見えるのです。自分の筋力でなんとか良い姿勢にする意識があると筋肉が緊張し、疲れやすい姿勢となってしまいます。これは、学生時代の経験からくるもので「気を付けの姿勢」が良い姿勢であると認識されている方が多くいらっしゃいます。
実は気を付けの姿勢は「緊張状態」にあり、筋肉が硬直するため、非常に疲れやすい姿勢になってしまいます。この世に生まれて、初めて椅子に座った時、初めて立った時に猫背になっている人はいません。胸を張って、顎を引いている赤ちゃんがいるでしょうか? 気を付けの姿勢で緊張状態でいる赤ちゃんがいるでしょうか?
大人になり、筋肉が付くことで正しい姿勢からズレが生じ、間違った姿勢でも体を支えることができてしまいます。また情報を間違って受け取ってしまうことも問題の一つになります。
赤ちゃんは、ほとんど筋肉はないし、知識もありません。なのに良い姿勢になっているのは、本来自然な状態で正しい体の使い方を行っていれば、自然と良い姿勢になることを暗示しているのではないでしょうか。われわれ大人はどこか「不自然」なってしまったのです。
正しい座り姿勢
正しい姿勢を語る上でもっとも大切なことは、「重心の位置」です。正しい重心の位置を意識することで自然と正しい座り姿勢になります。
坐骨で座る
骨盤は体の土台となります。その土台が崩れることですべてが崩れます。「坐骨」の位置をご存じでしょうか?
椅子に座り(座面が硬いとわかりやすい)骨盤を垂直に立ててお尻の下に両手を入れ、お尻を左右前後に動かしてみましょう。するとゴリゴリと手に当たる骨が坐骨です。
その際、骨盤が立ちすぎると(骨盤前傾)反り腰となり、腰痛の原因となります。また反対に骨盤が倒れすぎると(骨盤後傾)猫背となり、同じく腰痛の原因やバランスを取るため、頭が前に出て(ストレートネック)首痛や肩こりの原因となります。
坐骨の上に頭を持ってくる
良い姿勢になるためには、始まりと終わりを整える必要があります。
座り姿勢の場合、坐骨が始まりだとすると終わりは頭になります。そして頭が坐骨の上に来なければ、重心が坐骨に乗りません。
もし坐骨の上に頭の位置を持ってくるのが、わかりにくければ、背骨の上に頭を持ってくる意識でも構いません。実は背骨の位置は、思っているよりも後ろ側に位置しています。お腹を前から押しても背骨を触ることはできません。後ろからでしたら簡単に触ることができます。
そのため、目線が正面にあると頭が背骨からズレるため、背骨の上に頭を乗せるには少々上を見ることになります。顎の下にこぶし一個分が入るくらいです。「顎を引きなさい」と多くの方が教わったことかと思いますが、この理論は残念ながら間違っているということになります。
骨盤と頭の関係性を変えない
普段の生活では、デスクに向かい作業をすることがほとんどかと思います。その場合の多くは、目線が下になります。その際、上を向いていると作業ができません。
そんな時は、坐骨と頭の位置の関係性を変えずに前屈してみましょう。イメージとしては「スクワット」です。スクワットを行う時の姿勢が体に負担が少なく、日常生活にも生かすことのできる、良い意識の仕方になりますので、ぜひ試してみてください。
※別の章でスクワットについてご説明いたします。
正しい立ち姿勢
われわれは当たり前のように立っているので、「自分が間違っている」とはあまり考えません。ぜひこの機会に基本的な立ち方を学んで日常生活に生かしてみてください。
くるぶしの真下に重心を持ってくる
座り姿勢での重心は坐骨でした。立ち姿勢の場合、「地に足がつくため」重心は足の裏になります。
4つ足動物であれば重心は自然と「点」になるので、重心の位置など意識する必要はありません。そのため人間以外の動物に正しい立ち方など教えなくとも自然と機能的で正しい立ち方になるのです。
しかし人間の場合、2足で立つために足が大きく発達しています。20数センチの中で重心が前の人もいれば、後ろの人もいるという様に重心の位置が人によって違いができてしまったのです。そして足の裏のその位置に重心があると良いかというと「くるぶしの真下」になります。
くるぶしの真上に骨盤と頭
くるぶしの真下重心にするには、くるぶしの真上に骨盤と頭を持って来る必要があります。座り方と同じで骨盤を床に対して垂直にし、坐骨がくるぶしの真下へ向くようにします。
そして背骨の上に頭を持って来るので、少々顎を上げます。すると足の裏にかかる荷重がくるぶしの真下に来きます。かかと過ぎたり、つま先過ぎたりすると不安定な立ち方になりますので、一番安定感がある位置が正しい位置となります。
重心が整うとお尻とお腹が使われる
座り姿勢と立ち姿勢で重心の位置が整うことで股関節周辺の筋肉を自然と使えるようになります。具体的な筋肉としては、大殿筋(お尻)と腹筋群(お腹)になります。(その他全身の筋肉も連動して働きます)
これらの筋肉は「抗重力筋」と言います。
普段あまり考えることはないかと思いますが、地球で生活しているかぎり、体には重力がかかっています。その重力に耐えるには、股関節周辺の筋肉であるお尻とお腹がしっかり使えていなければ耐えることができず、姿勢が崩れてしまいます。そのためにも正しい座り姿勢と立ち姿勢で重心をしっかり意識する必要があります。
正しいスクワットで姿勢を良くする
スクワットを行う際も重心の位置を意識して行うことをお勧めします。多くの方がスクワットの動作中に重心があちこちに移動してしまいます。
簡単に言うと「しゃがむと膝が前に出る」膝関節を使用するスクワットを行っています。膝が前に出ることで、重心の位置がつま先側に傾き、立つ時にくるぶしの真下に戻るを繰り返してしまいます。この動きを無くすことから始めてみましょう。
つま先重心になることで使用する筋肉は、「大腿四頭筋(太ももの前)」を使います。太ももの前の筋肉は、非常に体力のない筋肉で、使用することで体全体の筋肉の連動が途切れてしまいます。太ももの前の筋肉では重力に耐えることもできないため、姿勢がみるみる崩れてしまいます。反対に重心の位置をくるぶしの真下にするとお尻とお腹の筋肉を使用します。
正しいスクワット行うことでお尻とお腹の筋肉を使う感覚を養い、刺激を入れることで、座り姿勢と立ち姿勢の際に自然とお尻とお腹の筋肉が使えるようになります。
※参考動画にて動作をご確認ください。
まとめ
良い姿勢とは、「関節や筋肉に無理な負担がかからない、楽な姿勢」です。そして重心の位置が整うことで正しい座り姿勢、立ち姿勢に自然となります。
良い姿勢を維持するには、股関節周辺の筋肉をしっかり意識することも大切になります。メインとなるのは「お尻とお腹」です。
良い姿勢になると自然とお尻とお腹の筋肉を使いますので、ぜひ意識してみてください。スクワットでお尻とお腹の感覚を高めてみましょう。