日本人が一日に座っている時間の平均は、約7時間と言われており、多くの方が一日の活動時間の半分以上を座った状態で生活しています。
長時間座った状態が続くことで、肩こりや腰痛など身体に不具合が起きやすくなります。
今回は姿勢の良い正しい座り方について解説していきます。
正しい座り方のポイント
まず、正しい座り方というのは「体への負担が少なく疲れにくい」ことを言います。座り方のポイントを押さえることで長い時間座っても疲労しにくくなります。
坐骨で座る
坐骨とは読んで字のごとく座るための骨です(腿裏とお尻の境目あたりを手で押すとわかります。坐骨神経痛でお馴染みの骨です)。
坐骨で座ると、自然と背骨が理想的なS字湾曲になり、良い姿勢になります。普段座っている椅子の上に硬い板などを敷いて座ると坐骨が感じやすくなります。
お腹の力で体を支える
最小限の筋力は必要です。そして、おもに使う筋肉はお腹の奥の筋肉(腹横筋)であることが理想です。
いわゆる「いい姿勢」をしようとすると、多くの人が腰を反り、胸を張り、背中側を緊張させすぎてしまいます。この姿勢では、長時間キープしていると背中側が疲れてしまいます。
疲れないためには、背中側とお腹側の筋肉のバランスが取れていることが大事です。そのため、お腹側に自然に力が入り、腰や胸の反りがなくなり、自然なS字を維持できることが大事なポイントです。
リラックスする
坐骨で座り、お腹で支えることができてくると、余計な力みなくリラックスして座れるようになっていると思います。
正しい座り方のポイントを押さえつつ、その姿勢を最小限の筋力で維持できるように、息を吐きながら力を抜いて行ってみましょう。リラックスするほど、長い時間疲れずに座っていられるようになるはずです。
- 座面に対して坐骨が均等に乗るよう、骨盤を垂直に立てる
- 椅子に深く腰掛ける
- お腹に自然と力が入るよう、上半身の傾きを調節する
- 太ももを床と平行にする
- 足裏全体を床につける(つかない場合は台を使う)
以上のポイントを意識して椅子に座ることで、長時間座っていても疲れにくくなります。
しかし、必ずしも疲れないわけではありません。さすがに正しい姿勢で座っていたとしても同じ姿勢で長時間座り続けると血流も悪くなり、疲労が溜まってきます。
できることなら最低でも1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かす(簡単なストレッチなど)ことを行うと疲労も溜まりにくくなり、肩こりや腰痛を予防することができます。
床などでの座り方
床に座るときもポイントとなるのは「骨盤を立てる」ことです。
骨盤を立てやすい正しい床の座り方ということで、ここでは「正座」「あぐら」「長座」についてご紹介していきます。
一つの座り方に縛られず、疲れを感じてきたら正座や長座、あぐらを気分で変えてみるのが、骨盤を立てて床に座るコツです。
正座
正座をすると骨盤をしっかりと立てることができるうえに腰への負担も少ないので、腰痛持ちの方におすすめです。
ポイントはかかとの上に坐骨をのせ、親指を少し重ねる程度で座ります。
あぐら
骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなってしまいやすい座り方なので、股関節が硬い方は坐骨の下にたたんだタオルや座布団などをしいて骨盤を高い位置に置くとまっすぐ座りやすくなります。
足首はなるべく90°に曲げて、膝をしっかり曲げてすねをクロスします。太ももの外側が、足の内側(親指側の側面)の上に乗っている形になります。
長座
長座とは足を前方に伸ばして座る姿勢のことです。しかし、長座は太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が柔らかくないと、背中が丸まってしまうことがあります。そのため、正しい姿勢で長座を保つにはハムストリングスの柔軟性が重要です。
もし長座をしても背筋が真っ直ぐに保てない場合は、無理をせず、他の座り方を選択しましょう。また、ハムストリングスのストレッチを日常的に取り入れることで、徐々に柔軟性を高め、長座姿勢を快適に保つことが可能になります。長座は柔軟性の向上にも役立つため、継続的な練習が効果的です。
注意したい座り方
注意が必要な座り方として、以下のような姿勢が挙げられます。
- 足を組む
- 前のめりになる
- 椅子に浅く腰掛け、背もたれに寄りかかる
- 椅子に浅く腰掛け、背中を反らせる
- 横座り
- ぺったんこ座り
- 体育座り
これらの座り方を続けると、背骨や骨盤が歪んでしまい、首の痛み、肩こり、腰痛、股関節痛などの原因になる可能性があります。また、姿勢の崩れが肥満や体型の変化を引き起こすこともあります。
普段から正しい姿勢を意識し、健康的な体を保つために心がけていきましょう!
普段から意識して正しい姿勢で座るよう心がけましょう!
まとめ
良い姿勢とは、筋肉がリラックスできるポジションを保つことです。そのためのコツは、筋肉を無理に使うのではなく、骨を上手に活用することにあります。多くの人が筋肉を過剰に使用し、常に緊張した状態でストレスを抱えています。このような悪い姿勢のままでは、体のあちこちに痛みが出やすくなります。
しかし、良い姿勢が体に負担をかけにくいと理解できても、それが楽に感じられる人は少ないでしょう。なぜなら、長年続けてきた姿勢の「記憶」が体に染みついているためです。そのため、良い姿勢を取ると最初は違和感を覚えるかもしれません。
毎日少しずつでも、良い姿勢を意識することが大切です。続けることで、やがてその姿勢が自然に身についてくるでしょう。日々の意識と継続が、健康的な体づくりに欠かせません。