筋トレで下半身を引き締めようとしていてもなかなか脂肪が落ちてくれない部位が太ももやお尻だと思います。下半身についている脂肪は、皮下脂肪で「つきにくいけど落ちにくい」という特徴があります。
また日常生活での体の使い方や筋トレで行っている種目やフォームによって、「筋肉太り」をしているケースも多く見受けられます。下半身を引き締めるには、単に引き締めたい筋肉に刺激を入れればよいということではなく、正しいトレーニング方法が存在します。
今回は、下半身太りを改善させるお尻瘦せの筋トレ法をお伝えしていきます。
なぜ下半身に脂肪がつくのか?
下半身に脂肪がつく原因としておもに三つあげたいと思います。
「お尻の筋肉を意識できていない」
「お尻の筋肉が普段使えていない」
「お尻の筋力が低下している」
という三つが考えられます。
それぞれ別に感じますが、実はすべて連動しています。それぞれご説明していきます。
お尻の筋肉を意識できていない
お尻の筋肉は裏側に位置しているため、意識することが実は難しい筋肉になります。なぜなら、われわれ人間の目は正面を向いており、常に前を見ているからです。
目に見えている部分を意識することは容易にできるのですが、目に見えない部分の意識を高めるのは困難なため、それなりの訓練が必要になります。筋力が低下したり、脂肪が付くのは「意識の薄い箇所」が多く、そのほとんどが体の裏側です。お尻、背中、太ももの内側と裏側、二の腕が代表的です。
お尻の筋肉が普段使えていない
お尻の筋肉を意識できていない方は、お尻の筋肉を日常生活やトレーニング中に使えていないことが予想されます。
人体で一番大きな筋肉であるお尻を使えていないということは、非常にもったいないことです。歩く、走る、立つ、しゃがむ等のすべての日常生活動作で、本来お尻の筋肉を使うのですが、残念ながらほとんどの方が使いていません。またお尻の筋肉を使って動作するということさえも意識していない方がほとんどです。
お尻の筋肉の意識を高め、動作中にお尻の筋肉を使うためには、正しい体の使い方を学んで身につけるための訓練が必要になります。
お尻の筋力が低下している
お尻の筋肉を意識することができていないと、日常生活の動作やトレーニング時に使うことができません。そのためお尻の筋力が年を重ねる毎に低下してしまうのです。お尻の筋力が低下すると、重力によりお尻の筋肉や脂肪が垂れ下がり、下半身全体のシルエットがぼてっとして太く見えるのです。
お尻の筋肉(お腹の筋肉も)は「抗重力筋」とよばれ、重力に耐えるために必要な筋肉になります。お尻の筋肉が低下して、重力に対抗することができなくなると、その他の筋肉も同じように垂れ下がります。お尻だけが垂れるのではなく、「全部垂れる」のです。その結果、筋肉量が低下し、脂肪だけが付きます。それほどにお尻の筋肉というのは、われわれ人間にとって重要だということになります。
筋肉太りしている方の特徴
下半身太りをしている方のなかには、「筋肉太り」をしているケースも多々見受けられます。
下半身が筋肉太りをしている方は「太ももの前側」を日常生活やトレーニング中にメインで使用していることが特徴です。太ももの筋肉は大腿四頭筋とよばれています。この大腿四頭筋はふくらはぎの筋肉と連動していてどちらも「大きく発達する筋肉」になります。太ももの前側の筋肉をメインとして使用すると大きく発達してしまうので、下半身が太く見えるようになります。
そして太ももの前側の筋肉を使用するような体の使い方をしていると、全身の筋肉の連動が途切れます。要するにお尻の筋肉が使えずに筋力が低下してしまいます。そのため下半身痩せのためには、太ももの前側の筋肉を必要以上に使わないようにする必要があります。
反対に下半身痩せのためには「お尻と太ももの裏側」をメインで使う必要があります。これらの筋肉は大きく発達するよりもキュッと締まり細くなります。日常生活やトレーニング中にどこの筋肉を使用しているかで体のシルエットは大きく異なります。
では太ももの前側の筋肉は必要ないのか?
太ももの前側の筋肉の役割としては、車でいう「ブレーキ」となります。
日常生活やスポーツでは、前に進んだり、前に力を発揮するなど、ブレーキではなくアクセルを使用することのほうが圧倒的に多いのです。ちなみに車でいうアクセルの役割を担う筋肉は「お尻と太ももの裏」となります。つまりわれわれは太ももの前側やふくらはぎよりもお尻や太ももの裏側をメインで使うことのほうが自然なのです。
だからと言って太ももの前側やふくらはぎは必要ないのかというと決してそのようなことはありません。体には必要のない筋肉などありません。重要なことは「必要最低限あればよい」ということです。歩いたり走ったしている時に立ち止まる、急な方向転換を行うなど、ブレーキを使う機会もあるからです。
しかしアクセルを使う頻度よりブレーキを使うことのほうが少なくなるのでメインで使う必要はありません。お尻やふとももの裏側の筋肉をメインで使い、太ももの前側の筋肉はサブで「お尻を使うことで自然とももの前が使われるという体の使い方を身につけましょう。すると下半身は自然と痩せてしまうのです。
股関節を使えるようにする
股関節を英語表記すると「Hip Joint」となります。直訳すると「尻関節」となります。股関節は、漢字では「股」と表記するため、「股関節はどこ?」という問いに対して鼠径部を示される方が多くいらっしゃいます。 股関節はどこ? という問いに対しての答えは「お尻」ということになります。
要するに股関節=お尻となります。そして股関節を日常生活のなかで「使えるようにする」ことが重要となります。近年ではお尻の大切さが浸透してきており、「鍛える」方が多くなりました。お尻を鍛えることに関しては非常に良いことです。しかし優先順位として、まずは「使えるようにする」ことを第一に考えて体づくりをしていただきたいです。
お尻を締めることから始めよう
今までお尻の筋肉を意識してこなかったという方は、まず「お尻の筋肉を締める」ことからはじめてみてください。
バレエの動きで「プリエ」という動きがあります。まずはこの動作でお尻にしっかり力を入れ、お尻の筋肉を硬くしてみましょう。そしてそれを感じてください。手で触って硬くなっていることを感じることもおすすめです。「触れる」という行為も意識を高めるうえで、非常に有効な手段です。
※音声がでますので、ボリュームにご注意ください。
お尻の筋肉の伸び縮みを感じよう
筋トレ種目でいうと「スクワット」「ランジ」という動作になります。お尻の筋肉を硬く、締めることが第1ステップなら、次の第2ステップとしては、「動作中にお尻の筋肉の伸び縮みを感じること」を実践してみてください。
スクワットでしゃがむ時にお尻やもも裏の筋肉が伸びます。そして立ち上がった時は、プリエ同様硬く締まります。それを感じながらスクワットを行ってみましょう。スクワットの動作中も両手でお尻の筋肉を触りながら行うのもお勧めです。
※音声がでますので、ボリュームにご注意ください。
日常動作でお尻を使えるように訓練しよう
第3ステップとしては、「日常生活動作でお尻を使えるようにすること」を実践してみましょう。
歩く、走る、立つ、しゃがむ、階段昇降などの際にお尻の筋肉が使えるようになると「日常生活がお尻のトレーニング」になります。この状態になれば、「お尻が普段から鍛えられ、自然と下半身は痩せてしまう」という好循環になります。トレーニングジムで筋トレを行っている時間よりも日常生活で体を動かしている時間のほうが圧倒的に多いので、それだけで十分な刺激を入れることが可能になります。
ではトレーニングジムに行かなくても良いのかというとそうではなく、日常生活動作だけでは少々負荷が軽いので、普段ない負荷で筋肉や関節に刺激を入れることも必要になりますので、それをトレーニングジムで行うと良いでしょう。
※音声がでますので、ボリュームにご注意ください。
まとめ
お尻痩せのために最も大切なのは、「お尻の意識を高めること」です。お尻を引き締めるためには、その筋肉を意識的に使うことが必要です。
そのためには、「股関節を中心とした正しい体の使い方」を身につけることが重要です。股関節をしっかり使うことで、効率よくお尻の筋肉を活性化できます。これにより、筋トレが効果的なトレーニングに変わり、筋肉の成長を促します。
筋トレでは、特にスクワットやランジが効果的です。これらのトレーニングは股関節を使う動作がメインとなり、お尻の筋肉に直接働きかけます。フォームを正しく保つことが重要です。
また、筋トレの動作を日常生活に取り入れることも効果的です。立ち上がる時や階段を昇る時に股関節を意識的に使うことで、お尻の筋肉を日常的に鍛えることができます。普段の動作でお尻を使えるようになると、自然とお尻は引き締まります。
毎日の生活の中でお尻を意識的に使うことが、お尻痩せに繋がります。